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3・2・3 用語の意義
 船舶安全法において使用される用語の意義は、次のとおりである。
(1)旅客船
 旅客船とは、旅客定員が12人を超える船舶をいう(法第8条第1項)。
注:旅客船についての定義は、他の海事公法において、その定義を定めていないものについては上記定義{船舶職員法(昭和26年法律第149号)別表、電波法(昭和25年法律第131号)第50条第1項、特に定めているものについても、上記内容を規定している、海上運送法(昭和24年法律第187号)第2条第4項}を使っているが、この定義は、海上における人命の安全のための国際条約と同義である。
(2)国際航海
 国際航海とは、一国と他の国との間の航海をいう。この場合、一国が国際関係について責任を有する地域又は国際連合が施政権者である地域、たとえば、植民地、保護領、委任統治地は、それぞれ別個の国とみなされる(施行規則第1条第1項)。
(3)漁船
 漁船とは、次のいずれかに該当する船舶をいう(施行規則第1条第2項)。
(イ)もっぱら漁ろうに従事する船舶(附属漁船を用いてする漁ろうを含む。)
(ロ)漁ろうに従事する船舶であって、漁獲物の保蔵又は製造の設備を有するもの。
(ハ)もっぱら漁ろう場から漁獲物又はその加工品を運搬する船舶
(ニ)もっぱら漁業に関する試験、調査、指導若しくは練習に従事する船舶又は漁業の取締りに従事する船舶であって、漁ろう設備を有するもの。
注:(1)この定義は、海上における人命の安全のための国際条約の定義よりは広くなっている。すなわち、同条約では、「魚類、鯨類、あざらし、せいうち、その他の海洋生物資源を採捕するために使用する船舶」を「漁船」と定義している。これは、同条約においては、その適用を除外する観点から、業態が本質的に運搬具に属さない漁ろう船に限定したものと解されるが、船舶安全法においては、その適用を除外するものではなく、一般商船との間に運用上の差を設けるという観点から、水産国であるわが国の漁船の操業実態と、これに対する保護政策、漁船法の漁船等に留意して、漁ろう船と直接的に関係の深い船舶をも含めることとしている。なお、漁船について、前記条約によって特別に規制する場合は、その適用を条約上の「漁船」に限定している船舶防火構造規則(昭和55年運輸省令第11号)第27条の2の2、船舶救命設備規則(昭和40年運輸省令第36号)第1条の2、船舶消防設備規則(昭和40年運輸省令第37号)第1条の2、海上における人命の安全のための国際条約及び満載喫水線に関する国際条約による証書に関する省令(昭和40年運輸省令第39号)第1条の2、無線従事者の操作の範囲等を定める政令(平成元年12月18日政令第325号)第2条第1項。
注:(2)漁船は、その業態の特殊性にかんがみて、技術基準に特例が設けられて、また、操業区域についても、一般商船の航行区域制とは別に業務の種類に応じて定められる等の特例が認められるところから、ただ単に、運搬用として一般商船の用途に使用することは認められていないので、漁船であるかどうかの認定に当たっては、「もっぱら」の解釈は、漁船登録票の有無にかかわらず、厳格に行われることになっており、臨時的とはいえ旅客又は貨物の運搬に従事する間は、漁船でないものとされ、また、「漁ろう場」の解釈は、実際に漁ろうをする場所を指すことになっており、集荷港又は漁船基地からの運搬に従事する船舶は、漁船でないものとされる。
(4)危険物ばら積船
 「危険物ばら積船」とは、危険物船舶運送及び貯蔵規則(昭和52年運輸省令第30号)第2条第1号の2のばら積み液体危険物を運送するための構造を有する船舶をいう。(施行規則第1条第3項)
(5)特殊船
 特殊船とは、原子力船(原子力船特殊規則第2条第1項に規定する原子力船をいう。)、潜水船、水中翼船、エアクッション艇、海底資源掘削船、半潜水型又は甲板昇降型の船舶及び潜水設備(内部に人員をとう載するものに限る。)を有する船舶その他特殊な構造又は設備を有する船舶で告示で定めるものをいう。(施行規則第1条第4項)
注:告示で定めるものとは、水陸両用船
(6)小型兼用船
 小型兼用船とは、漁船以外の小型船舶のうち漁ろうにも従事するものであって、漁ろうと漁ろう以外のことを同時にしないものをいう。(施行規則第1条第5項)
(7)小型船舶
 小型船舶とは、総トン数20トン未満の船舶をいう。(法第6条の5)
(8)管海官庁
 管海官庁とは、
 原子力船及び危険物船舶運送及び貯蔵規則第45条に規定する船舶(以下「原子力船等」という。)については国土交通大臣を、
 本邦にある船舶(原子力船等を除<。)並びに船舶安全法(以下「法」という。)第6条第3項の物件及び第65条の5第1項の物件についてはその所在地を管轄する地方運輸局長(運輸監理部長を含む。以下同じ。)(その所在地を管轄する運輸支局(地方運輸局組織規則(平成14年国土交通省令第73号)別表第2第1号に掲げる運輸支局(福岡運輸支局を除く。)を除く。)、同令別表第5第2号に掲げる海事事務所又は内閣府設置法(平成11年法律第89号)第47条第1項の規定により沖縄総合事務局に置かれる事務所で地方運輸局において所掌することとされている事務のうち国土交通省組織令(平成12年政令第255号)第212条第2項に規定する事務を分掌するものがある場合は、その運輸支局の長、その海事事務所の長又はその沖縄総合事務局に置かれる事務所の長。第15条において同じ。)を、
 本邦外にある船舶(原子力船等を除く。)及び法第6条第3項の物件については関東運輸局長をいう。(施行規則第1条第14項)
(9)日本小型船舶検査機構
 日本小型船舶検査機構とは、小型船舶に係る船舶安全法第1章に定める検査(特別検査及び再検査を除く。)に関する事務(命令で定める小型船舶に係る事務を除く。)を行う法第2章の規定により設立された機関をいう。
注:命令で定める小型船舶とは、施行規則第14条で定める次の船舶をいう。
イ. 国際航海に従事する旅客船
ロ. 法第3条の規定により満載喫水線の標示をすることを要する船舶
ハ. 危険物ばら積船
ニ. 特殊船
ホ. 結合した2の船舶(第13条の6の規定の適用を受けるものに限る。)
ヘ. 係留船
ト. 本邦外にある船舶
 なお、上記イ〜トに掲げる小型船舶に関する事務は管海官庁が行う。
(10)指定検定機関
 指定検定機関とは、法第6条の4第1項の規定により国土交通大臣が指定した者で国土交通大臣の型式承認を受けた物件の検定を行う者をいう。
注:(財)日本舶用品検定協会
(11)船令
 船令とは船舶の進水の年月から経過した期間をいう。(施行規則第1条第15項)







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