2 船舶のトン数の測度に関する法律
船舶のトン数の測度基準は、船舶の安全規制の適用基準及び各種の課税、手数料の徴収基準、その他海事に関する制度の適用基準として広く用いられている船舶のトン数(国際総トン数、総トン数、純トン数、載貨重量トン数)を算定するものである。
2・1 船舶のトン数の測度に関する法律の概要
「船舶のトン数の測度に関する法律」(以下「トン数法」という。)は、IMCO(政府間海事協議機関。現在のIMO(国際海事機関))において採択された「1969年の船舶のトン数の測度に関する国際条約」(以下「トン数条約」という。)を実施すること及び海事に関する制度の適正な運用を目的としたものであり、1982年7月18日から施行されている。
この法律はトン数条約に基づいて船舶のトン数の算定に関する技術的規則を定め、国際的に船舶のトン数を証明する国際トン数証書の発給等について規定している。
また、トン数法第2条において、トン数を使用する他の法令との関係を明確にするため、他の法令に特別の定めがない限り、トン数の測度基準は、この法律の定めるところによる旨規定している。(なお、海上自衛隊の使用する船舶については、自衛隊法第109条の規定により、トン数法の適用が除外されている。)
2・2 船舶のトン数の測度制度
我が国における海事に関する制度の基本となる総トン数の測度制度については、船舶法において総トン数の測度申請の手続に関する事項が定められており、トン数法において測度基準が定められている。
また、国際航海に従事する船舶に発給される国際トン数証書に記載される国際総トン数及び純トン数の測度制度についてはトン数法に定められている。
「1974年の海上における人命の安全のための国際条約」、「同条約に関する1978年の議定書」等の条約に基づき発給される条約証書に記載される載貨重量トン数の測度制度については、載貨重量トン数証書交付規則において測度の手続に関する事項が定められており、トン数法において基準が定められている。
日本船舶の所有者は船舶法第4条により、日本に船籍港を定めて、その船籍港を管轄する管海官庁に総トン数の測度を申請しなければならない。また、船舶法第5条により登記をした後に船籍港を管轄する管海官庁に登録をしなければならない。これによって、総トン数20トン以上の推進装置を有する船舶については船舶法、船舶法施行細則、トン数法及び船舶のトン数の測度に関する法律施行規則(以下『トン数法施行規則』という。)により管海官庁の船舶測度官が測度を実施している。
しかし、船舶法第20条により総トン数20トン未満の船舶及び端舟その他櫓櫂のみをもって運転し又は主として櫓櫂をもって運転する船には船舶法第4条から第19条は適用されない。
2・2・2 総トン数20トン未満の船舶の測度制度
総トン数20トン未満の船舶については、船舶法第20条により船舶法第4条から第19条は適用されず、船舶法第21条によりその船籍及び総トン数の測度に関する規程は命令により定められることになっている。これによって「小型船舶等の登録等に関する法律(平成13年法律第102号)」が定められ、日本小型船舶検査機構が管理し執行している。
2・2・3 国際航海に従事する船舶の測度制度
長さ(トン数条約の長さ)24メートル以上の船舶の所有者はトン数法第8条により国際トン数証書の交付を受けなければ船舶を国際航海に従事させてはならない。
したがって、船舶を国際航海に従事させようとするときは、トン数法施行規則第59条により船舶所有者は船舶が所在する管海官庁に必要な図面及び書面を添付して国際トン数証書交付申請書を提出する必要があり、この申請書の提出によって管海官庁の船舶測度官が測度を行って国際トン数証書が交付されることとなっている。
長さ(トン数条約の長さ)24メートル未満の船舶については、トン数条約において適用除外となっているが、国際航海に従事する船舶は、その船舶が国際航海する上で外国の港へ入港した場合、運航が円滑に行えるように国際トン数確認書交付申請書を提出し、国際トン数証書の交付申請の場合と同じ手順をふんで国際総トン数及び純トン数を記載した国際トン数確認書(以下「確認書」という。)が交付されることとなっている。
2・2・4 載貨重量トン数の測度制度
載貨重量トン数証書を必要とする船舶は主として国際航海に従事する総トン数500トン以上のタンカーに交付される。
載貨重量トン数証書の交付を受けようとする船舶所有者は、最寄りの管海官庁に載貨重量トン数証書交付申請書を提出すれば、管海官庁の船舶測度官が測度を行って載貨重量トン数を算定した後載貨重量トン数証書が交付されることとなっている。
2・3 国際総トン数、総トン数、純トン数及び載貨重量トン数
国際総トン数は、トン数法の規定に従って定められる基準によって算定されるトン数であり、主として国際航海に従事する船舶について、その大きさを表すための指標として用いられる指標である(トン数法第4条第1項)。
総トン数は、わが国における海事に関する制度において、船舶の大きさを表すための主たる指標として用いられる指標である(トン数法第5条第1項)。
(3)純トン数
純トン数は、旅客または貨物の運送の用に供する場所とされる船舶内の場所の大きさを表すための指標として用いられる指標である(トン数法第6条第1項)。
(4)載貨重量トン数
載貨重量トン数は、船舶の航行の安全を確保することができる貨物等の最大積載量を表すための指標として用いられる指標である(トン数法第7条第1項)。
2・4 復習問題(1)
(1)日本船舶で船舶法の適用を受けない船舶をあげよ。
(2)船舶を航行させるために船舶法上受有せねばならない証書について述べよ。
(3)次の用語について説明せよ。
(a)汽船
(b)信号符字
(c)船籍港
(4)総トン数20トン以上の船舶の測度制度は、どのような法規に基づいて、どの機関によって実施されるか。
(5)国際トン数証書はどのような船舶に交付されるか述べよ。
(6)総トン数について簡単に説明せよ。
(7)国際総トン数について説明せよ。
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