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「多様な在宅療養スタイルの実現のために」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 患者の高齢化・重症化、平均在院日数の短縮に伴い在宅療養者の重症化が進んでいる昨今、末期がん患者やALS患者に代表されるような、高い医療ニーズをもつ在宅療養者を支えていくための看護技術の向上が訪問看護師には求められている。私自身受講の動機として、高い医療ニーズをもつ在宅療養者やその家族に対して専門的看護技術・知識を提供できるというのが一つにあった。
 医療機器を在宅で使用しながら生活するハイテク在宅ケアによって、多様な療養スタイルが選択でき、利用者の希望に応じた在宅療養を可能にしていくことが訪問看護師としての役割であると考える。そのような中で、人工呼吸器や医療機器を使用しての技術演習を高い専門性をもつ講師の方々や、医療機器の技術者の方々から専門的な情報や指導が実際に受けられたことは大変貴重であり恵まれた環境にあったことを実感している。また、演習をとおしてグループのメンバーからテキストにはないこれまでの経験を互いに分かち合うことができたことは大きな実りでもあった。
 しかし、忘れてならないのは、看護が対象とするのは機器を使用しながら生活をしている人である。私たちはひとりの人として全人的なケアが必要であることを認識し、利用者や家族を含めたニーズに対応していくことが必要なのである。利用者・家族の希望する多様な在宅療養スタイルの実現に向けて、柔軟に対応できる看護師として今後周囲に実践を示していきたいと考える。今回研修を受けることによって、今後看護師を続けていくうえで大きな学びを得ることができた。
 
「学外研修を振り返って」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 この6ヶ月長いようで短かった印象があります。久しぶりの授業を緊張し受け始めたのも、ついこの間のように思えます。6ヶ月間学内授業に加え学外研修もたくさんあり毎日が充実していました。
 テルモの技術演習は神奈川県の秦野でありました。演習前から何度も打ち合わせを行い、演習日を迎えたと聞き、朝早くからの準備等担当の方のご尽力には大変感謝しています。充実した技術演習内容・富士山の見える環境、通うには少し遠く温泉に1泊した事も思い出の一つになりました。
 呼吸療法の演習では米国呼吸療法士の小原先生の分かりやすい講義で大変勉強になりました。実際にNPPVを装着し患者様の気持ちにもなれたように思います。退院調整研修は北里大学にお世話になりました。担当の方の熱意を感じ、今後の自分のあり方も考えなければならないと感じました。
 学外研修を含め研修を受け入れて頂いた施設・担当の方には大変感謝しています。色々な方のお陰で無事にこの6ヶ月間の認定看護師教育課程が修了したと感じています。今後6ヶ月間に学んだことを自施設に戻り実際に役立てていきたいと思います。
 
「課外実習について」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 この半年間の教育課程の中で、たくさんの講師の先生方から講義を受け、訪問看護の学びを深めることができました。呼吸療法とテルモ研修センターでの講習では、人工呼吸器や在宅酸素・輸液ポンプなど在宅療養において、今後ますます利用増加が考えられる最新機器や豊富な資材を手に取りながら、デモンストレーションを行うことにより、実践に役立つ学びを得る事ができました。退院調整については、北里大学病院総合相談部で一日実習を行い、医師や病棟看護師・ケアマネージャーの連携などのあり方を学ぶ事ができました。どちらの施設でも講師や指導者は、在宅療養者や家族・多職種についてなど熟知する訪問看護師の役割の重要性について、熱く私たちに語ってくださいました。
 訪問看護師は、質の高い訪問看護を提供する役割を基本として、退院調整や医療機器の使用方法の指導など、多くの役割が求められています。広い視野を持ちながら、在宅医療を担う重要な役割が担える訪問看護師となれるよう、今後も学んでいきたいと思います。このような、多くの学びを得る機会を与えていただいたことに感謝いたします。
 
「貴重な経験の連続の実習」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 私の6週間の実習場所は、白十字訪問看護ステーションでした。在宅看護の歴史の中で草分け的存在のステーションに実習が決まり、秋山所長に指導を受けることができると張り切って実習に望みました。
 ターミナルや困難事例、急変の多い患者に、はじめは所長の動きを追うことさえ大変でした。スタッフの動きとそれをフォローする所長の動きが密な連絡のやり取りの中でおこなわれており、ステーションが一体化して患者を支えているといった印象でした。
 私が受け持った患者もターミナルで困難事例でしたが、じっくりと患者に向き合う中でいろんなことを学ぶことができました。所長の大きな器と深い知識に感動し、フル回転しておられるエキスパートナースを目のあたりにして自己課題をたくさん与えられました。
 これまで、日々の業務に追われながらの訪問看護でしたが、認定看護師としての学びのこの6ヶ月間、特に実習では、自分がすばらしい仕事を選択したということ、そして認定看護師として持つべき「姿勢」を学ぶことができたと実感します。これから、訪問看護の中で悩むとき「秋山所長ならどう考えるだろう」と立ち止まりながら、進んでいくのだろうなと思います。そんなすばらしい方と出会えたことは、私にとって、かけがえのない経験だったと思います。
 
「6週間の実習」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 認定看護師教育課程訪問看護学科での6ヶ月間は、これまでの経験を振り返り、これから認定看護師として、どのような活動をすべきかの方向性を示唆してくれるものになりました。その中で、6週間の訪問看護ステーションでの実習は、訪問看護の仕事に従事して20年近くになりますが、これほど長期に密着した実習ができたのは初めてであり、大変学びの多いものとなりました。6週間の中で、他施設の管理体制や独自のシステムなどを知ることができました。更には、実際にケースを受け持つことで、スタッフの質やその施設の目指す方向性も学ぶことができました。その上で、認定看護師として、コンサルテーションや、教育指導、ターミナルや高度医療の必要な患者への実践などを、意識しながら行動するきっかけになりました。しかし、実際には、他施設での実践には限界があるととも実感しましたし、それを乗り越えて積極的な実践ができなかった反省もありました。この反省を、今後自施設に復帰してから生かしていきたいと思います。また、現場からの意見では、認定看護師としての役割がなかなか見えてこないとの指摘がありました。訪問看護の対象も役割も幅広く、エキスパートとして現場でリーダーシップをとっていく為には、この指摘が今後課題になってくると思います。6週間にわたり、快く実習を引き受けてくださった施設の方々に心より感謝いたします。そして、その実習の機会を与えてくださった財団の方々、ありがとうございました
 
「実習を振り返って」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 訪問看護の世界に飛び込んで約10年、日々の業務に追われる中で、自分の行っている看護は正しいのだろうか、利用者は本当に満足しているのだろうかと考える自分がありました。その答えを求めてこの研修に参加し、座学のため看護の現場から3ヶ月間離れた後訪問看護ステーションでの実習となりました。研修生という身分でしたが在宅に出向くと自然に訪問看護師となっている自分がいて、気がつくと利用者から直接返ってくる反応を楽しんでいました。医療機関で働く私にとって、訪問看護ステーションでの実習は全てが新鮮でした。そこで働く訪問看護師が仕事に誇りを持ち自信を持って活動する姿や、訪問看護ステーションが地域に根ざしている様子を見てあらためて訪問看護の良さを実感し、利用者にとって望ましい在宅での姿を、利用者の個性に合わせて一つ一つ作り上げ実現していくことの重要性を感じました。実習先では仕事から離れ少し距離を置いた位置で自分の行動を見つめなおし、自身の現状と課題について振り返ることができました。実習の中で多くの人々と出会い多くのことを学び、その経過を振り返ると、本当にたくさんの人々に支えられ今の自分が存在しているように感じています。自分の中にある看護の知識と技術を利用者に還元し、在宅で療養する利用者のごく当たり前の望みを一つでも多く実現できるよう支援したいと思います。ご支援ありがとうございました。
 
「実習で学んだこと」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 認定看護師教育課程の研修で3ヶ月の講義の集大成が実習である。共通科目や専門科目をどのように統合していくかが問われる。
 訪問看護認定看護師の目的の一つである専門的技術・知識の提供では、基本に忠実でありながら個別に対応できる即ち応用能力の重要性を学んだ。個別の障害や自宅環境により提供方法も自ずと異なってくる。それぞれに適応した工夫が要求され、その個別的な対応を瞬時に行えることが認定看護師としての提供である。継続看護では各部門との連携作り、カンファレンスをどのように進行していくか、これらによって継続看護という目的に達成度が異なってくる。ただ関係職種が集まるのではなく、その集団の中でリーダーシップを取り在宅の視点を伝えていくことが大きな役割である。コンサルテーションでは相手の思いを引き出し話の中核は何かを知ることが重要である。相手の反応を見ながら相手の成長を視野に入れてコミュニケーションをすすめていくことが必要である。単純に話しを聞き回答するのではなく、相手とともに考え意図しながら話しをすすめていくことが認定看護師には必要である。
 実習を通し認定看護師の役割である専門的技術・知識の提供、指導、相談を経験することが出来、少しずつであるが認定看護師としての自覚が持ててきたように感じている。
 
「訪問看護認定看護師教育課程を修了して」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 看護の道に入り、すでに20年以上が経ちました。大学病院から、地域の老人病院、そして訪問看護へと職場を移りつつ、たくさんの方々と出会い、生と死をみつめてきました。現在は、在宅で療養される方々を看護するために、看護師としてどうあるべきか、どのように支援ができるのか、その人にとっての本当に必要なこととは何か、と常に悩みながらも活動を続けております。
 今回はこの教育課程という学びの場に恵まれ、たくさんの講師の方々や関係者の方々のお力添えをいただき、半年間を無事に修了いたしましたこと、本当に感謝しております。
 日本看護協会ビルでの専門科目では、主任教員である角田先生より、利用者様との関わりが始まる場面から、さまざまなスキルを使ってニーズを捉えていくことの大切さを教えていただきました。訪問看護師として、もっとも基本的なことですが、この基本的なことが意外にも理解されていない現状があることを思い知らされました。たくさんのスキルとは、学び得た知識だけではなく、自分の五感を利用して、また、自分の価値観や人生観、生活習慣や社会性なども合わせた広い意味で利用できる力であると思います。これからの現場での技術・ケア提供の上で、この基本姿勢を忘れず、磨きをかけ、訪問看護に携わっていきたいと思います。有難うございました。
 
「おわりに」
認定看護師教育課程訪問看護学科
 
 表参道のけやき並木が色づき始めた昨年10月に、期待と不安の中、本課程に入学いたしました。あっという間の6ヶ月間でした。修了式を迎える今は、桜が満開です。
 北は秋田、南は九州から職場背景、経験、年齢もそれぞれの個性あふれる18名が集いました。同じ目標を持つ仲間として6ヶ月間、東京女子医科大学、看護協会ビル、各実習施設と様々な場面で苦楽を共にしてきました。課題や試験に追われ、くじけそうになったとき、認定看護師の責任の重さに悩んだときにも、クラスの仲間が支え、傍で励ましてくれました。
 私たちは卒業後、それぞれの場所へ、新たな道へと旅立ちます。離れていても私たち18人は一生の仲間、友です。これからも助け合い、支えあい、前向きに学び、刺激しあっていきたいと思います。
 今回の教育課程で学んだことを活かし、様々な看護の場で認定看護師として、一人の人間として貢献していきたいと思っております。また職種を問わず、現場のスタッフが気軽に相談できる、地域のケアチームの架け橋役を担うことも出来たらと思います。
 最後に実習をさせていただいた、ご利用者、ご家族の皆様、今日まで私たちに温かい励ましとご指導を下さいました諸先生方、スタッフ、関係者の皆様、実習、研修施設の皆様、そして日本財団の皆様に心よりお礼を申し上げます。


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