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1 主催者挨拶
(財)全国防犯協会連合会理事長 鈴木良一
 全国防犯協会連合会の鈴木でございます。本日の研修会開催にあたりまして一言ごあいさつを申し上げたいと思います。皆様には平素から、防犯ボランティアのリーダー格として各地区で大変なご活躍をいただいておりまして、この機会をお借りいたしまして心からお礼を申し上げたいと思います。
 さて、日本の犯罪情勢でございますけれども、皆様もご存じのとおり、平成に入りましてから激増してまいりまして、平成14年には過去最高となり、平成15年からは若干減少し始めまして、今年の上半期も前年に比べて若干減少するという傾向が続いております。その原因にはいろいろなことがありますが、やはり民間の皆さんのご努力がこういう結果に結び付いているのではなかろうかと私は思います。
 とは申しましても、まだ依然として犯罪は昭和の時代の2倍近い状況です。そういう意味で、減ったとは言いましても依然として厳しい状況にあることは間違いないわけであります。そういう中で、今、民間の防犯ボランティア団体が急速に増えておりまして、警察庁によりますと、一昨年暮れは全国で約3,000団体であったのが、昨年暮れに約8,000団体になっています。
 しかしながら、こういう自然発生的に結成された団体の中には、その活動のあり方、あるいはノウハウについて自信が持てないまま、苦労しているケースが多いんですね。そういうことで私どもは、昨年からこの研修を始めたわけですが、専門の講師の方々のお話を、皆さん方と一緒に活動している方々にも紹介していただいて皆様方の活動の更なる糧にしていただきたいと考えております。
 それから皆さん方は、いろいろなご経験をお持ちであるわけですが、それを是非、発表いただきまして、お互いに参考にしていただく。それから皆さん方がこの研修会が終わったあとでも、この研修を通じて築かれたネットワークを今後の活動に生かしていただくというのが私の願いです。どうか私どもの意とするところをご理解いただき、皆様方の活動にさらなる磨きをかけていただくようお願いしたしまして、研修会開始のご挨拶といたします。
 
2 「中央研修会」参加者(20名)の活動報告
司会(全国防犯協会連合会事務局長 佐藤 守)
 皆様お集まりでございますので、体験発表をこれから始めさせていただきたいと思います。この研修は、ご承知のとおり防犯ボランティアリーダーの方々の、全国的なネットワークづくりのきっかけを提供するということもその目的の一つとしておるところでございます。研修会参加者の皆様の自己紹介を兼ねて、平素の活動状況、あるいは日頃感じている問題点などにつきまして御発表をいただきたいと思います。
 
活動報告
平塚和彦(宮城県)
 宮城県からまいりました平塚和彦と申します。私は、仙台中央国分町地区防犯指導隊という組織で活動させていただいており、かつ、国分町地区防犯指導隊の隊長を兼ねながら、宮城県の防犯指導隊連絡協議会の会長もやらせていただいております。
 私どもの活動の特徴は、国分町という地域の特性から繁華街、風俗街の環境浄化活動に主力を置いていることです。昨年10月頃にNHKで「ご近所の底力」という番組がありまして、そこでピンクチラシ20年戦争という、20年にわたった戦いの中で完璧にピンクチラシを根絶したという活動のもとになったのが、私ども防犯指導隊でございます。活動は夜8時頃から11時頃まで、その地域を守ろう、自分の町は自分で守ろうという意識の方々約23名が4班編成で、ほぼ毎日活動いたしました。なかなか難しい活動でしたけれども、住民の協力によりまして、その活動が成果を見たというところでございます。
 それからもう1点、国分町交番が今年3月に新築されました。その折、我々の活動の拠点を何としても作りたいということで県警とも交渉しながら、国分町交番の2階に地域活動室と言いますか、そういった部屋を作っていただきまして、現在は交番の2階に活動の拠点を置くというところまでいきました。それから3月に新築をした折に、地域で何かできないかということで、「国分町A-Net」というコンシステムを導入いたしました。これは市民の方が、いろいろな店の場所とか何かで聞きに来られたときに、コンーに店の名前を入れ込むと、その場所がわかるような、そういったシステムでございます。
 その国分町A-Netにはそのほかに、いろいろな犯罪情報を登録した人(我々防犯指導隊とか防犯協会とか学校、関係の機関)にリアルタイムで情報を流すというようなシステムを導入して活用をしております。私のメールにも携帯にも、「何々がありました、お気をつけください」とか、「婦女暴行未遂がありました、気をつけてください」「ひったくりがありました、気をつけてください」というのがすぐ入るようになっております。そんな活動をしながら地域、最終的には自分の町は自分で守るということの活動をしながら町のために役に立ちたいと思っております。(拍手)
 
目黒悦雄(千葉県)
 千葉からまいりました目黒でございます。私どもの町は野田市です。私どもの地域におきましては、490名近くの防犯指導員がおります。それを四つのブロックに分けさせていただきまして活動いたしております。
 私どもは中央地区でございまして、中央地区自体が平成元年度からモデル地区事業というかたちで進めさせていただいております。一番最初は自転車等の名前書き、広報活動用の標語、ポスター、それから普段のパトロールというかたちで動いております。
 野田市といたしましては、防犯だけではなく防災につきましても、各自治会ごとに防災拠点等を作ろうということで準備が進められ、防犯指導員も防災に関わるということが考えられております。と申しますのは、災害等が発生している時に事故事件が起こったというような場合、地元の消防団等が市の奉仕活動等に出てしまっておりまして、地元に残る部分が少ないということもございまして、防犯指導員が中心になりながら防災の件も考えていこうということで準備をされております。
 今現在、各自治会、1自治会に対して20万、1世帯について200円ずつの補助金を出して、防災等の準備費用というかたちで予算案もできているようでございます。各自治会におきましてもこの防犯パトロールを兼ねまして、防災に関しても話を進めていこうというふうな状況で、今現在考えているようでございます。
 私どもの市では、15年度に関宿町というところを吸収合併して、103平方キロメートルぐらいの大きさの町になりました。三方が川に挟まれており、どこへ行くのにも橋を渡らなければならないような土地でございますので、特に防災等の問題も考えていかないと、防犯の問題だけで済むような状況ではないのであります。そんなふうな中で、防犯と防災を兼ねた組織づくりをしていこうということで、現在準備させていただいております。私も4分近くになりましたので、ここで終わらせていただきます。(拍手)
 
間宮次雄(滋賀県)
 滋賀県の間宮と申します。私たちのところでは、子ども安全リーダーのほうで子ども安全110番ということをやられております。三角の道路コーンに「見たら聞いたら110番 子ども安全」と書いたものを今は付けて活用しております。
 何分、今は昔と違いまして塾に行く子どもが沢山おります。晩遅くに帰ってきますので、この三角コーンを何とか利用できないかということで、そこへ電球を入れまして、センサーを付けて、日没になったら電気が点灯し、明るくなったら消えるというものを道路に置いております。そういうことを振り出しに環境美化ローラー作戦と言いまして、駅周辺地域に貼っているポスターや違法看板の撤去作業を年に4回やっております。
 それと、全国一斉地域安全の日に防犯ポスター展を、年に1回交通安全祈願祭を二つの学区で行っているほか、全戸配布用の約1万枚のビラの作成等をしております。それと女性防犯連絡員というものを組織しております。これは家にいながら、家庭にいながら防犯活動ができるという組織であります。
 それと不法駐輪問題です。琵琶湖線の瀬田駅が昭和44年に開設されて以来、平成11年までの間、周囲の歩道が全部不法駐輪の場所になっておりまして、人が通れないという状況が続いていたわけですが、これを地元のボランティアで1年かかって2,000台の自転車と200台のバイクを整理したという実績で、今のところは数台しか置いておりません。
 それと街灯、防犯灯の増設と取り替えということを2年間で220カ所やっていただいたということなどが主な活動でございます。ところでその活動に支障をきたしているのが資金でございます。昔のボランティアですと、会社を休んで自分の金を使って自分の弁当で行こうということでしたが、今の年代になってきますと、何で会社を休んで自分の金を使って行くんだということで、お金に詰まっているのが現状でございまして、各諸団体に今、声をかけている段階でございます。以上です。(拍手)
 
新保雅敏(東京都)
 東京の新保でございます。今、六本木でセキュリティパトロール隊として活動しております。昨年の12月11日に発足しまして現在に至っております。趣意書にも書かせていただいておりますが、六本木そのものが国際都市と言われつつも、外国人が犯罪に巻き込まれるような事件もあり、一時はアメリカ大使館から六本木には行くなというようなお触れまで出てしまったというような状況です。
 そんな中で、私どももどうしたらいいかということで悩んでいましたら、渋谷のセンター街の皆さんがパトロール隊を立ち上げてやっておられました。それを私どもも勉強させていただき、そして立ち上げさせていただいたということです。
 そうは申しましても、やはり民間でできることには限りがありまして、なかなか自分たちの思うようにいかなくて、まだまだ歯がゆい思いをしている状況です。私どもの町にはオートバイが歩道中にひしめいておりまして、なおかつ歩道には、大きな看板が立ち並んでいることが多々あります。この大きな看板は、今現在ビルのオーナーと話し合いをしまして、すべてテナントに撤去させております。
 しかしながらオートバイにつきましては、夜のお店で働く方たちが多いために、夜になるとオートバイの台数が増えるという状況であり、それをどうしたらいいかということで今悩んでおります。そうやって働いている人たちをただ排除することもできないですから、今は駐輪場、バイク置き場を町の真ん中に設置するということで、警察と行政、東京都などと話し合いを持って進めております。
 それとパトロールについてですが、この地図を見ていただきますと、このように青と、黄色とに分れています。この二つの班に分かれて週1回、水曜日か金曜日にパトロールをしております。あとこの赤いラインは、小学校と幼稚園です。私は麻布小学校のPTAの会長もしている関係上、学区内、または学校の児童の通学が非常に危険なものですから、月に2回ぐらいしか立てないのですが子どもの通学路に立って子どもたちの通学の安全を守るためにやっております。
 何がひどいかと言いますと、朝に酔っ払いが、学校へ行く時間に出てくるわけです。外人、日本人合わせて相当出てきます。その連中が歩道をフラフラ歩いている。その酔っ払いの間を縫いながら子どもたちが学校へ行き、なおかつごみがまだ回収されていない状況なので、その時間にカラスが相当飛んできます。そのカラスをよけながら子どもたちが通学しているという状況なので、朝ちょっとごみを掃除するだけでもカラスがいなくなるというのが現状なので、そんなようなことをしながら、今、皆でパトロールをしております。
 もう1枚の写真は、つい最近やったのですが、皆さんの町にもあるかもしれませんが、落書きだとかシール貼りだとかそういうものをはがしました。はがしただけでもずいぶん町の雰囲気が変わりました。これも引き続きやっていこうと思っています。以上でございます。(拍手)
 
山下浄(山口県)
 私は山口県の下関から来ました山下浄と申します。私は下関防犯連絡所指導員の川中地区部会の部会長をやっております。そして、下関市の防犯の副会長も仰せつかっておりますが、私の町はほぼ90%は住宅地ということであり、世帯数が1万1000で、人口は約3万3000という町です。
 今のところ、事件のランク上位というのは自転車盗と、それから自販機荒し、侵入盗、自動車盗であり、それらの犯罪抑止のためのパトロールを5年前から始めております。地域が大変広いために、一応8ブロックに分けまして、パトロール活動を行っております。
 回数的には毎日やってくれる方もおり、月2回、3回というところもあります。それは各地域でやっていただくということで、各ブロックでブロック長を決めまして、ブロック長の指示により動いているということです。
 それから、私たちの今の目標は、何にしましてもアピールをしよう。この地区にこういう防犯活動をやっているんだというアピールを精一杯やろうということで、今は夏まつり、それからウォークとか海岸清掃とか、そういうときには必ずユニフォームを着て出席だということで、全員ユニフォームを着て人が集まるところに出ていただくということでアピールをしてもらっています。
 それから、一番問題なのは資金源です。資金源は一つもありません。年間2万4000円を市からいただくだけですが、何もできません。郵送料でほぼ終わってしまうような状態です。そういうことで3年前から自治会の連合会長を抱き込みまして、個々にお話をしまして「予算化してくれ、地域のパトロール隊に何とか予算化できないか」ということを言いましたら何とか協力しようということで、一応予算化していただき、少ないなりにも今は年間10万なら10万見ようということで活動に入りました。そういうことでユニフォーム等々も全部そろえたということでございます。あと、不足分は各単位自治会でご協力願えないかということで、そのほうも協力しようということになり何ぼかの予算的なものをいただくようにしております。
 それで、8ブロックの中で毎日やられているというような地区は車を提供していただいて、山口県で初めての青色回転灯の申請にパスしまして、今、一生懸命その方が回ってくれている状態です。
 もう一つは、警察庁から日本で100カ所という中に、私ども山口県で2カ所推薦されまして、安心安全ステーションということでユニフォーム等々の貸し出しということで、50人分そろえてお借りすることができました。これはお借りということで、あとで返すものは返さないといけないのですが、1年間着てくださいということで努力しなさいといただきました。
 あと、いろいろと皆さんと話した中ではアピールが一番大事だということで、目標と目的を決めようではないかと、今はそういうパトロールをやっております。その中で、もう一つは、交番審議委員会というものがありまして、その中で交番の所長、それから本署の署長さんとか生活安全課の方に来ていただいて、当番でない署員の方も全員出てもらって各団体の代表、婦人会とか老人会とかそういう諸団体全部の代表にも出ていただきまして、防犯についての協力を願うということで、今、ボランティア会とかそういうところがユニフォームを買って、別にまた回ってくれるような状態になっております。
 もう一つは、その交番審議委員会で言いましたけれども、何にしても、その地区で起こった事件、事故について、一つも所長から話がないので、回るにしてもどういうふうな目的で回ったらいいのか、今後そういうことを知らせていただいて、目標を決めて回りたいということを申し入れました。そういうことで、最近自転車盗が一番多いので何とか回っていただけないだろうかとか、自販機荒しが多いので何とかしていただけないかというようなことをお聞きしてその時間帯、自販機なら夜、自転車なら昼でも回れるということで、いろいろ手分けをして、そういう活動に今切り替えてやっております。だいたい主なところはそういうところでございます。ありがとうございました。(拍手)


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