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図4.19 鹿児島県枕崎市の紹介記事
 
 
4.1.3 海洋環境貢献活動プロジェクトの今後
 平成14年度に開始した「地域の海洋環境貢献活動プロジェクト」は、今年度まで約3,600名の小中学生・幼稚園生とその父兄を中心に、地域の方々が参加して頂いた。
 地域の方々が主体となり、計画の立案や実施等、多くの方々の協力で海浜清掃の実施、清掃の参加者への環境チケットの配布、そのチケットで海の工作セットを用いた海の工作教室を開催し、参加者には大変好評であった。
 今年度は、プロジェクトを実施しようとする地域にある工作材料を集めると共に、他の地域で集めた材料を組み合わせ、工作教室の始めに活動を実施してきた他の地域の環境、歴史等の説明を行った。また、一度活動を実施した地域が周辺地域の活動拠点となり、独自で活動プロジェクトが開催できる様、工作教室の道具一式をパッケージ化して拠点地域に貸し出すことを試みた。
 海浜清掃と海の工作教室を組み合わせることで、参加者に山と川と海とゴミの関係を分かりやすく説明し、ゴミがどこからくるのか、また日常生活で海を汚さないためにはどうしたらよいかを考える場を、子供達を中心に実践活動を通じて提供してきた。
 海の工作教室を活用した海浜清掃プログラムは、一般の人に海に興味を持たせ、地域に海洋環境への貢献活動を広めるための有効なプログラムであった。
 本活動プロジェクトで取り入れた環境チケットは、近年各地で運用している「地域通貨」の様に、画一的な決まりを求めず地域で取り入れ安い形態とし、その運用は地域の主体性に任せることとし、既に運用している地域通貨と協働する事も可能である。
 本活動プロジェクトが地域で広がるためには、有力な事務局が必要であるが、事務局は地元の生活に密着している商工会や観光協会が主体となり、自治体がそれをサポートし地元の人材を育てることが望ましい。特に最近は、地域の環境を大切に守ろうとするNPO組織が立ち上がっており、その方々が既存の組織と協力し合い、非常に良い関係を作り上げている。
 また、事務局に過大な負担を求める様なシステムは、活動を継続的に長く進めることが難しく、環境チケットの利用範囲も、最初は海や海に関係する物やサービスの利用に限定し、徐々に他の分野に広げた方が、海洋に対する意識高揚に役立つと思われる。
 海洋環境貢献活動プロジェクトが地方のメディアや新聞などで話題になり、工作教室以外にも、四季を通じて楽しめる海や海辺を活用したプログラムを開発することで、海に対する意識が高まり、継続的な活動につながると思われる。
 今後、3年間で構築してきた地域の拠点を大事に育て、更に周辺地域への活動の広がりを期待して、活動拠点地域間のネットワークを構築すると共に、お互いの情報交換を行うための連絡拠点作りを行い、海洋ゴミ問題解決のための海洋環境を守る社会活動システムの普及を図ることと致したい。


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