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吟剣詩舞の若人に聞く 第69回
難波初衣さん
 
難波初衣さん(十歳)兵庫県神崎郡神崎町在住
妹:難波愛さん
母:難波好美さん
祖母・師:岡山賀簪さん(吟道賀堂流)
明朗な少女から生まれる、清々しい吟詠
 平成十六年全国吟詠コンクール決勝大会幼年の部優勝の難波初衣(なんばはつえ)さんを、優勝直後の笹川記念会館にお訪ねして、ご家族を交えながら優勝のこと吟詠のことなどをお聞きしました。
 
――優勝した今の気持ちはどうですか?
初衣「はい、とっても嬉しいです」
――優勝する自信はありましたか?
初衣「いえ、ありませんでした」(笑)
――吟詠は何歳から習っているの?
初衣「四歳からです」
――きっかけはお婆様ですか?
岡山「初衣が保育園の年長のとき、四月二十九日に賀堂流の幼少年の部の発表会がありまして、それに出してくださいと言われ、初衣と妹の愛の二人を出したのが始まりです」
――それ以前は、習っていなかったのですね?
初衣「そうです」
岡山「ぜんぜん習っていませんでしたので、急遽、二月から教えだし、何とか間に合わせて出演させたわけです」
――コンクールにはいつごろから出ているの?
初衣「五歳くらいから近畿大会などに出ていました」
岡山「とんとん拍子に、入賞や優勝をさせていただき、ありがたく思っています」
――全国大会は何回目になりますか?
岡山「平成十四年から挑戦して、三回目になります。初めてのときはまるで駄目で泣きました(笑)。二回目も失敗して、三回目にして優勝できました」
――コンクールの舞台に立って緊張する?
初衣「最初はドキドキするけど(笑)、出足がうまくいけば落ち着いて吟じられます」
――他の人の吟詠を聴いてどう感じましたか?
初衣「うまいと思いました」
――その中で、優勝して名前を呼ばれたときの気分はどう?
初衣「信じられませんでした」(笑)
――二回目と今回では、吟詠の何が違いましたか?
初衣「・・・よくわかりません」(笑)
好美「舞台から降りてきて、最初の言葉が音程は狂っていなかったか、といいました。昨年、音程で失敗したので、音程をすごく気にしていたようです」
岡山「本当にうまく吟じてくれましたから、この子が舞台を降りるとき、私は泣きましたよ。昨年、もし音程が狂っていなかったら、ひいき目ではなく、よいところまでいったと思いますね」(笑)
――師としてお孫さんを見た場合、いかがですか?
岡山「私が吟詠を教えている関係で、この子が母親のお腹にいるときから、自然と吟詠が胎教になり、またこの子をおぶっているときは子守唄代わりに吟詠を聞かせていましたから、教えるようになっても世話がかかりませんでした。私がするとおりに姉妹がするものですから、皆さん大変でしたでしょ、とおっしゃってくださいますが、私としては特に大変と感じたことがありませんでした。生まれたときから吟詠のある環境でしたから、自然と吟詠に入っていったという感じですね」
――話が変わりますが、母親として吟詠をさせてよかった点は何ですか?
好美「学校へ行き、習い事をして、吟詠を習う。生活にメリハリが付いていいと思います」
――初衣ちゃんの長所や短所は何でしょう?
岡山「この子達にかかわらず、私が生徒に吟詠を教えるときは『よろしくお願いします』から始まり、『ありがとうございました』で終わります。礼儀、お行儀というのは大切なことで、二人とも礼儀正しく吟詠をしてくれるので喜んでいます」
 
インタビューに応える(写真左より)母の難波好美さん、難波初衣さん、師の岡山賀簪さん(祖母)、妹の難波愛さん
 
――吟詠の面ではいかがでしょう?
岡山「練習を嫌がることもなく、コツコツやるタイプですね」
――『汪淪に贈る』を選ばれたのは先生ですか?
岡山「はい、私です。この子の声柄として、男性的なものよりもいいかなと思ったからです」
――コンクールには皆さんで行かれるのですか?
岡山「いくら私だけが頑張っても、家族の協力がなければうまくいきませんから、みんなの協力があればこそだと思っています」
――コンクールの前などに注意されることは?
好美「風邪などは気になりますが、だんだん大きくなったら風邪も引きませんし、学校も休まず行っていますから、特に注意することはありませんね。スポーツもやっていますから、体力はあると思います」
――スポーツは何をしているのですか?
初衣「バレーボールです」
――初衣ちゃんの性格はどんなタイプですか?
好美「ナイーブな部分もあるのですが、比較的明朗なタイプですね。先ほども出ましたが、吟詠も勉強もコツコツとやるので感心します」
――詩吟をしていて面白い?
初衣「え・・・」(笑)
――それでは何でやっているの?
初衣「ずっとやっているから」(爆笑)
岡山「この歳になってからはじめるとしたら、やらないといいますよ。何にも知らない三、四歳から始めれば、嫌も何もありませんから。それに、やれば何か買ってもらえるので、今日までやってきたと思います」(笑)
 
喜びの(写真左より)祖母であり師である岡山賀簪さん、難波初衣さん、難波愛さん(妹)、難波好美さん(母)
 
――初衣ちゃんにアドバイスなりがありましたら、お願いいたします。
岡山「ここまでよく付いてきてくれたと思いますし、この子があとを継いでくれれば、とても嬉しいです。それ以外望むものはありません」
好美「今までどおりのペースで、頑張ってもらえたらいいかなと思います」
――最後に、初衣ちゃんから何か一言お願いします?
初衣「これからも一生懸命頑張ります」
――本日は優勝直後のあわただしい中、インタビューにお答えいただきありがとうございました。今後のご活躍を期待しております。


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