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届かない人々にメッセージを届かせる
WHOハンセン病制圧特別大使
日本財団理事長
笹川陽平
 
 以前にもご報告したとおり、インドは、世界のハンセン病患者の七〇%、約四十万人を有する最大の蔓延国です。私はハンセン病制圧特別大使として、このインドを制圧の最重要国と考えて、昨年も五回に渡って訪問しました。このインドにおける制圧活動のむずかしさは、人口の半分以上が貧困層で、多くの人々が都市においてはスラム、地方では山岳部、森林地帯、州境の辺境地帯などに住んでいて、届かせたいメッセージやサービスが届かないところにあります。
 
本年1月、インド・チャティスガール州で、ハンセン病の親を持つ子供達の学校を訪問
 
 インドにはヒンディ語の他に公用語が十七あり、異なる言語を使う部族が数百あると言われ、非識字率も農村部などでは男子が三〇%、女子が六〇%以上と高く、新聞も読まず、ラジオやテレビも理解できない人々が億単位でいるという状況です。
 ハンセン病は、今や治る病気であり、薬も無料で手に入るのですが、このような基本的な情報がスラムの住民や辺境の地の人々には届きにくいのです。そして、自分から治療を受けに行く機会を逸して、手遅れとなり身体に障害を生ずる患者も多く、それが病気に対する社会的偏見を強めるという悪循環が起こっています。この病気にかかった患者の家族や子供たちは、若くて健康であっても、社会の偏見が根強いためにいつまでも隔離病院や、施設にとどまり、教育、結婚、就職という基本的な人間の権利を享受することもままなりません。
 今インドの政府や医療関係者はNGO(民間援助団体)の力も借りて、このような届かないところにいる人々にどのようにメッセージを届かせるかに腐心しています。地方の村々では、ヘルスワーカーと呼ばれる保健担当者が一人で五千人以上の住民の世話をしています。このヘルスワーカーたちが、あるときは自転車で、あるときは徒歩で野を越え山を越えて移動をして、正しいメッセージを伝え、住民の健康管理をしているのです。そして、地域のNGOやソーシャル・ワーカーたちも人形劇や歌舞音曲などを駆使して、懸命にハンセン病についての正確な知識を住民に知らせる努力をしてくれています。新たな患者を発見するためだけでなく、社会からハンセン病に対する偏見を取り除くためにも正しい知識を伝えて行く努力が重要です。
 昨年十一月に、マハラシュトラ州の東、ワルダーという町にあるマハトマ・ガンジーが一九三六年から居住した修道場を訪ねました。ガンジーは、ここで、インド独立の構想を練り、差別に苦しむ人々の生活の向上のために祈り、そして、ハンセン病の患者の面倒をみました。ガンジーの言葉に「ハンセン病の仕事というのは、単に医療的な救済を意味するのではない。それは、人生における不満を献身の喜びに変えるものであり、個人的な渇望を自己を忘れた奉仕に変えるものである」というのがあります。
 マハトマ・ガンジーを生んだインドがハンセン病を制圧できないはずがありません。私は、今年も日程の許す限りインドを訪問し、そして《届かない人々にメッセージを届かせせる》、そのお手伝いをする決意です。
 
ハンセン病回復者支援事業に引き続き協賛戴きました
 現在、開発途上国におけるハンセン病回復者自立支援事業における「(財)日本吟剣詩舞振興会」を通じてご寄付いただいた額は、二、三三三、六七五円(二月末日現在)となっております。これまでにいただいたご寄付は、回復者の子女教育のため或いは家畜等の購入など回復者の起業支援に使用させていただいております。今後ともご協力の程よろしくお願い申し上げます。
 皆さまからお預かりした寄付金は、一〇〇%被支援者のために使われます。この事業に係わる事務経費等はすべて寄付以外の自己財源で賄われています。
■募金の振込についてのご案内
 ハンセン病回復者自立支援募金は、本誌最終頁に貼付の「専用振込用紙」をご利用いただき、最寄の郵便局からお振込ください。送金手数料はかかりません。皆さまの温かいご支援をお願いします。
ハンセン病回復者自立支援事業 スタッフ一同
 
二月中にご寄付いただいた方のお名前(敬称略)
〔北海道〕
桂 心豊
〔宮城〕
佐藤 宮子
磯谷 渓龍
佐藤 喜代
遠藤 利子
岡部 渓秋
佐藤 渓雨
鈴木 フク
大槻 敏子
大内 渓芳
〔栃木〕
後藤 昔勝
佐藤 霞雲
児玉 暁雲
〔埼玉〕
篠原 良信
〔千葉〕
仲野かつ子
天野 秀子
大久保
〔東京〕
奥井 貴
藤間 章作
竹内 雅子
鈴木 洲玉
中村 拓郎
昊陽流吟詠総本部
飯塚 珠鵬
齋藤 外吉
昊陽流昊春吟詠会
植島 昊春
榊原 静慧
〔神奈川〕
高橋ミヨ子
星野 紫虹
西形 興信
神奈川県吟剣詩舞道総連盟
小林 玲舟
白井 紅舟
全国朗吟文化協会 会長代行 小倉契秀
匿名希望一名
〔新潟〕
伊藤ヨシイ
〔富山〕
本多 岳秀
〔石川〕
森田 洋子
石川県吟剣詩舞道総連盟
〔山梨〕
中村 国男
〔静岡〕
松浦 東道
藤森 秋子
渡辺 桜虎
〔愛知〕
清水 照鵬
成田眞秀子
雅芳流鯱邦吟詠会会長会
倉内 奐城
不朽流吟詠会
菅野 満
村橋 青旭
〔大阪〕
土田美智子
若柳 翠泉
大前 国哲
〔奈良〕
船津 菖禄
〔鳥取〕
木下 武夫
〔広島〕
加藤 瑾峰
井出口久則
西本 栄
〔愛媛〕
高橋美恵子
山内 雅恵
加藤 久雄
〔福岡〕
翠鳳流朗詠道ちむろ館 館長 亀谷 鶯風
平兮 宗賢
近藤 江楓
福岡県吟剣詩舞道総連盟
〔熊本〕
河喜多ヨシ
〔大分〕
伊地知隆輝
 
財団法人 日本吟剣詩舞振興会関連行事予定表(5月)
時間 大会名 開催場所 責任者
5日(祝) 9時00分〜17時30分 平成16年度全国名流吟剣詩舞道大会 静岡市民文化会館大ホール 中部地区連協静岡県総連盟
23日(日) 9時00分〜19時00分 楠公祭奉納全国吟詠大会 千代田区公会堂 佐々木朝鵬
23日(日) 13時00分〜16時00分 第30回藤上南山作舞リサイタル「ふるさとの歌暦」 倉敷市民会館大ホール 藤上南山
30日(日) 9時00分〜18時00分 日本吟詠総連盟第51回全国吟詠剣舞詩舞大会 札幌厚生年金会館ホール 笹谷城俊
 
四月NHKラジオ
FM吟詠放送
「邦楽のひととき」
●放送日時
四月十五日(木)午前十一時〇〇分〜同三〇分
●再放送
四月十六日(金)午前五時二〇分〜同五〇分
●吟題と出演者
一、和歌・吹く風を (源 義家)
吹く(ふく)風(かぜ)を勿来(なこそ)の関(せき)と
思へども(おもへども) 路(みち)もせに散る(ちる)
山桜(やまざくら)かな(繰返し)
八幡公 (頼 山陽)
〈吟〉横田 岳
二、和歌・久方の(紀 友則)
久方の(ひさかたの) ひかりのどけき
春(はる)の日(ひ)に しづ心(こころ)なく
花(はな)のちるらむ(繰返し)
山房春事(岑 参)
〈吟〉藤原光伶子
三、清明 (杜 牧)
花に対して旧を懐つ (釈 義堂)
〈吟〉志塚 心彰
四、蘇台覧古 (李 白)
夜直 (王 安石)
〈吟〉橋本 龍淙
五、逸題 (山内 容堂)
烏衣巷 (劉 禹錫)
〈吟〉三田 梅鳳
六、落花 (鱸 松塘)
〈吟〉北瀬 美岳


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