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MARPOL附属書Iの下のガイドライン見直し
 
12.7 当委員会は、事務局が、MARPOL附属書Iの2002年合併整理版に引用されているガイドラインを特定しており、かつ、改正MARPOL附属書Iに対応して講ずるべき予定措置について提案していることを銘記した。(MEPC 51/12/2)
 
12.8 また、当委員会は、MEPC 51/12/2がMARPOL附属書Iに付随するガイドラインを特定している一方で、改正附属書Iの再編成のためもはや正しくなくなったMARPOL附属書Iの既存諸規則の相互関係を含む、かなり数の関連MEPC決議及び回章が存在することも銘記した。
 
12.9 当委員会は、改正附属書I発効時に、これらの決議、ガイドライン及び回章の順調かつ妨害のない履行を確保し、同時に不必要な重作業義務を回避するため、以下の措置を講ずることにで合意した。
 
.1 附属書Iに付随する決議、ガイドライン及び回章については、改正附属書Iの下に新規則の番号付けと調和した相互関係をもたらすということを唯一の目的として改正されるものではないこと。
 
.2 これらの決議、ガイドライン及び回章については、附属書Iの最新の修正に沿った最新化の必要性があるか又は技術進歩への適応の必要性がある、時代遅れの規定を含場合にのみ改正されること。
 
.3 事務局に対し、次回MEPC会期における審議のため、“新”“旧”規則間の相互関係一覧表を記載したMEPC回章案を作成するよう指示したこと。
 
.4 また、事務局に対し、CASの相互関係の照合及び訂正についても指示したこと。
 
.5 加盟諸国に対し、上述.2の措置に関する提案を提出するよう要請したこと。これらの提案については、議題“改正附属書I及び附属書IIの追跡検討”の下でMEPC自体が審議するか、あるいは必要に応じてBLG小委員会へ回送し検討されることになる。
 
 新たに番号を付けられた第35規則“貨物として重油を運送中の油タンカーからの油汚染の防止”に関するコメント
 
12.10 IACSは、IACS提出書(MEPC 51/12/3)において、重油を運送する600〜5,000載貨重量トンの油タンカーのdouble hull要件に係る諸規則の不一致に関する懸念を表明した。IACSは、第35.4.2規則に従ってdouble bottom及びdouble sidesダブルサイドを備えている船舶については、第19.6.2規則が、700m3以下の貨物タンク容積を備えている船舶に対し、サイドタンク内での重油以外の油類の運送を容認すると解釈されるべきであると主張した。
 
12.11 審議の後、当委員会は、改正MARPOL附属書I第19.6.2規則について、以下のような統一解釈で合意した。(本書附属12参照
 
33 double side wing tanksの定義
 
第19.6.2規則 33.1 第35.4.2規則に応諾する目的で、第19.6.2規則によりタンクの全長にわたり保護が要求されるwing tankについては、個々のタンク容積が700m3以下となるようにアレンジされた貨物タンクを持つ船舶の場合、重油以外の油類の運送に利用することができる。
 
改正MARPOL附属書IIの結果から最新化が要求されるガイドラインの特定
 
12.12 当委員会は、事務局が、2002年MARPOL附属書II合併整理版において引用されている諸ガイドラインを特定しており、また、改正MARPOL附属書IIを受けて見込まれる措置についての提案をしていることを銘記した。(MEPC 51/12/1)
 
12.13 これに関連して、当委員会は、提案措置については、以下の3つに分けられることを銘記した。
 
.1 目下ESPH作業部会で改正中のMEPC/CCirc.265(ばら積み輸送液体の暫定的評価ガイドライン)への、諸ガイドラインの合併
 
.2 種々の理由に対する措置は不必要
 
.3 改正MARPOL附属書IIへの相互関係の修正
 
12.14 結果として、当委員会は、ESPH作業部会に対し、MEPC 51/12/1の附属において提案されている措置に着手し、その結果をBLG 9に報告するよう指示した。BLG 9の結論は、審議のためMEPC 53に提出されなければならない。
 
13 条約の進捗状況
13.1 当委員会は、海洋環境保護に関するIMO条約及び他の法規の状況、特に文書MEPC 51/13より提供された、以下の、MARPOL 73/78、MARPOLの修正、1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約(OPRC Convention)、2000年OPRC/HNS議定書及び2001年AFS条約の実情についての情報を銘記した。
 
.1 海洋環境保護に関するIMO条約及び他の法規の、2004年2月1日現在の状況(附属1)
 
.2 MARPOLの、2004年2月1日現在の状況(附属2)
 
.3 MARPOL修正の、2004年2月1日現在の状況(附属3)
 
.4 1990年OPRC条約の、2004年2月1日現在の状況(附属4)
 
.5 2000年OPRC-HNS議定書の、2004年2月1日現在の状況(附属5)
 
.6 2001年AFS条約の、2004年2月1日現在の状況(附属6)
 
13.2 また、当委員会は、2004年2月6日の文書MEPC 51/13の発行後、事務局により提供された以下の情報についても銘記した。
 
.1 豪州が、MARPOL附属書IVの批准文書を寄託したこと。
 
.2 マルタが、MARPOL附属書III及び附属書Vの批准文書を寄託したこと。
 
.3 バヌアツが、MARPOL附属書IV及び附属書VIの批准文書を寄託したのこと。それゆえ、計13ヵ国が附属書VIを批准したことになり、発効要件を満たすには、わずか2ヵ国のみの批准が必要であること。
 
.4 2000年OPCR/HNS議定書の状況については、バヌアツが2004年3月15日に批准文書を寄託したこと。
 
.5 2001年AFS条約の状況については、スペインが2004年2月16日に批准文書を寄託したこと。
 
13.3 さらに、当委員会は、キプロスが近い将来MARPOL附属書IIIを批准する見通しであるというキプロス政府声明を、また、バルバドス政府が近いうちにMARPOL附属書VIの批准文書を寄託するというバルバドス声明を銘記した。
 
13.4 日本代表団が、条約が可能な限りの早期に発効できるように、IMO加盟国によるAFS条約の早期の批准を期待する旨表明した。
 
14 MARPOL 73/78及び関連法規の実施及び施行の促進
最近の船舶汚染対応の進展
 
14.1 当委員会は、10年を超える間、米国沿岸警備隊(USCG)が陣頭に立った、MARPOL 73/78及び関連国内法の実施するための力強い主導が、司法省により成し遂げられた、重い罰金、また事件によっては懲役刑を伴う、船舶士官を含む、船会社、船主及び用船社に対する一連の連邦刑事起訴の成功という結果をもたらしたとする米国提供情報(MEPC 51/14)を銘記した。
 
14.2 このことに関連して、米国は、当委員会と共に、以下についての調査をすることを希望した。
 
.1 旗国、沿岸国及び寄港国が、いかにしてこの問題の国際的意識を高めるのか、また、最高のMARPOL応諾を達成するのか。
 
.2 船舶からの違法な汚染の、発見、捜査及び起訴におけるの国際協力の利益
 
.3 上述問題に関するガイドライン作成の必要性
 
14.3 当委員会は、米国が惹起したこれらの事項を審議して、以下について銘記した。
 
.1 取り組むべき深刻な問題を生ずる、船舶からの意図的かつ違法な油、有毒液体物質及び廃棄物の海洋環境への排出については、取り組まなければならない深刻な問題となるという明確な合意がある。
 
.2 発言した多数の代表団が、旗国、沿岸国及び寄港国によるMARPOL応諾達成のための、かつ、船舶からの違法な排出の発見、捜査及び起訴における協力、特に情報、経験及び学んだ教訓についての共有に加えて、船舶起因汚染の認識を高めるためのガイドライン作成を支持していたが、若干数の国の代表団は、このようなガイドラインの必要性は、当面のところないと考えていた。
 
.3 若干数の代表団が、発見及び捜査プロセスをより効果的かつ能率的なものとするためには、世界的又は国際的なアプローチというよりは、むしろ地域的又は小区域的なアプローチの方が好ましいとしていた。
 
.4 若干数の代表団が、刑事処分を含む船舶汚染への執行に関連して、油及び有害物質の排出が事故によるものではなく、計画的又は意図的なものかの判別の必要性があることを強調していた。
 
.5 他の複数の代表団が、船員の権利についてのUNCLOSの第230条の関連で、船舶からの違法汚染の起訴及び処分の関する明確化を求めていた。
 
.6 一代表団が、旗国応答のためのMARPOL 73/78 (MEPC/Circ.318)の下の、強制通報要件及び旗国応答のための強制通報制度書式における規定に言及した。同代表団は、事務局による当該報告の分析及び非応答国名の公表についても示唆していた。
 
14.4 サウジアラビア代表団が、違法な排出に関する文書MEPC 51/14における米国の立場が、事故による油流出を有罪とすることを目指すものではないことを認める一方で、当委員会に対し、意図的及び事故流出の線引きについてはしばしば曖昧となり、その結果、事故汚染の場合の多くが意図的なものと間違われ起訴に結びつくことを想起するよう求めると述べた。同代表団は、事故からの油汚染が刑事訴追という結果になってはならず、また、エリカ号又はプレステージ号事故のどちらかの結果として公布された規則では、シングルハル又はダブルハルのタンカーでの同様の事故の再発防止にはならないと信じていた。さらに、同代表団は、何が必要かということについては、避難港事前承認の規則及び指定のより良い実施にあると述べていた。
 
14.5 議長は、米国提起事項及び様々な代表団からの意見を考慮して、MEPC 45において審議かつ見直された“MARPOL-How to do it”という表題のIMO刊行物が、第4.7節“犯罪の起訴”及び第19節“汚染の発見と対応”のように、行政上、民事上、また刑法上又は刑事上の制裁措置を明確にする有益な情報を含んでいることに、当委員会の注意を促した。
 
14.6 議長は、決議A.944(23)が、その附属の第3.2.2項において、信頼できる海運における船員の人的要因及び人権の役割を強調していることに、当委員会の注意を促した。
 
14.7 米国代表団が、本件に関する当委員会の徹底的な検討に感謝の意を表明し、MEPC 52に対し具体的提案を提出する意志を当委員会に報告し、かつ、“MARPOL - How to do it”という表題のIMO刊行物及び他の代表団の意見に配慮するという議長の示唆に同意した。


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