日本財団 図書館


5. 性能向上システム検証機による陸上効果試験
5.1 スペシャルパイプ基本性能向上システムの試験
(1)試験目的
 
 スペシャルパイプ基本性能向上システム試験は、「2.1 スペシャルパイプ基本性能向上システムの企画・検討」に示したSTEP基準をクリアーする物理条件(スリット板のスリット幅及びスリット部流速)の把握を目的とした。
 
(2)試験・観測項目
 
 試験・観測項目は、次の通りである。
 
(1)流量(スリット部流速を算出)
(2)スリットの上流及び下流の管内圧力
(3)水質(水温、塩分、水素イオン濃度(pH)、溶存酸素量(DO)、濁度(NTU)、電気伝導率(EC)、密度、吸光度(波長254、480、630、645、663、665、750nm)
(4)50μm以上の水生生物濃度(殺滅率算出)
(5)10μm以上50μm未満の水生生物濃度(殺滅率算出)
(6)バクテリア(大腸菌群数、従属栄養細菌数)の濃度(殺滅率算出)
 
(3)試験方法
 
1)試験時期
 2004年6月30日から7月30日
 
2)試験場所
 佐賀県伊万里市の臨海試験施設
 
3)試験方法
(1)試験システム・操作
 試験システムは、「2.1 スペシャルパイプ基本性能向上要素試験の企画・検討」で示したシステムと基本的に同じである。
 試験は、港湾内の海水を一旦タンクに溜め、高圧ポンプとバルブ操作により、スペシャルパイプを通過させて処理した。処理水は、容積500のプラスチック製タンクに約450注水した。処理水の入ったプラスチック製タンクは、暗所に保管して、バラストタンクを模擬した。スペシャルパイプを通過させない未処理の海水も同様にプラスチック製タンク注水し、暗所に保管した。
 処理時の管内圧力は、スリットの上流と下流に設置した圧力計により測定した。また、流量計でパイプ内を流れる海水流量を測定、スリット総面積で割ってスリット部流速を算出した。
 なお、上記操作は、下記の各試験ケースで各々3回繰り返した。
(2)試験ケース
 表II.5.1-1には試験ケース及びサンプリングの時期を示した。
 使用するスリット板は、スリット幅0.1、0.3及び0.5mmとし、スリット部流速は40m/sとした。
 サンプリングは、各試験ケースとも処理前(未処理原水)、処理直後、処理1日後、処理3日後、処理7日後で行った。これらサンプルは漲水時に処理して所定期間の航海(貯蔵)後の排出を想定したケースである。これらに加えて、漲水・排水の両方での処理を想定し、処理後7日間貯蔵した海水を再処理してサンプリングする処理7日後再処理のケースも行った。また、処理水との比較のため、未処理原水も同様の期間貯蔵した。
 なお、これら試験ケースは各々3回繰り返した。
 
表II.5.1-1 スペシャルパイプ基本性能向上システム試験の試験ケース及びサンプル
試験ケース
サンプル
未処理
原水
処理
直後
処理1日後
処理3日後
処理7日後
処理7日後再処理
スリット幅等
流速
未処理原水 - -
(未処理貯蔵1日後)

(未処理貯蔵3日後)

(未処理貯蔵7日後)

(未処理貯蔵7日後の処理)
0.1mm 40m/s -
0.3mm -
0.5mm -
各試験ケース共に、3回実施。
 
(3)観測・分析項目及び方法
 表II.5.1-2には、観測・分析項目及び概略方法を示した。
 システム運転時には、物理条件の流量及び圧力の計測を行った。また、上記、表II.5.1-1に示した各サンプルに関しては、水温、溶存酸素量、吸光度などの水質の測定、システムの処理効果を判定する50μm以上、50μm未満10μm以上の水生生物の濃度、大腸菌群及び従属栄養細菌のバクテリア濃度の分析を行った。
 なお、水質の測定方法及び生物の分析方法に関しては、以降に詳述する。
 
表II.5.1-2 スペシャルパイプ基本性能向上システム試験における観測・分析項目及び方法
分類 観測・分析項目 観測・分析方法
物理条件 システム運転時の管内流量 超音波式流量計による計測
システム運転時の管内圧力 ひずみゲージ式圧力計による計測
水質 水温
塩分
水素イオン濃度(pH)
溶存酸素量(DO)
濁度(NTU)
電気伝導率(EC)
密度
水質メーター(HORIBA、U-21XD)による測定
吸光度
波長254、480、630、645、663、665、750nm
吸光光度計(Thermo Electron、Genesys10UV)による測定
生物分析
(STEP基準対象項目等)
50μm以上の水生生物数 顕微鏡下における計数(未固定)
50μm未満10μm以上の水生生物数 顕微鏡下における計数(未固定)
大腸菌群数 平板培養法
従属栄養細菌 平板培養法


前ページ 目次へ 次ページ





日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION