4. 質疑応答
(1)MSST
(1)Q: What is your mission?(主な任務はどのようなものですか。)
A: To enhance the presence and response capabilities of the world's premiere maritime security force and maintain a heightened vigilance throughout the national Maritime Transportation System.
Employing dedicated teams to interdict and neutralize potential threats with a force possessing unique skills, capabilities, and expertise to perform a broad range of port security and harbor defense missions, both domestic and foreign.
To detect and intercept criminal or catastrophic events well before they threaten our shores by providing an integrated force that will guarantee our internal and external security. This unparalleled law enforcement presence will protect vital national interests and infrastructure.
(まず、世界の主要な海事保安能力を高めること、そして国家の海上輸送システムに対する意識の高まりを維持することです。
次に、国内外の双方における、幅広い港湾保安や港湾防衛作戦の遂行のため、部隊が備えている特有の技術と能力、専門的知識を活用し潜在的な危険を阻止し、無効なものにすることです。
最後に、わが国の内外双方の保安を保障する統合された部隊により、犯罪や壊滅的な事件が、わが国の海岸を脅かす前に検出し、これを防ぐことです。この不均一な法執行の存在が国益や経済基盤を守っています。)
(2)Q: Who do you work for?(誰の指揮下で任務を遂行しているのですか。)
A: Commander, U.S. Coast Guard Atlantic Area
Local Coast Guard Captain of the Port or Group Commander (upon request thru District)
Force Apportionment Process
(USCGアトランティックエリア司令官、地元港湾のCG指揮官または管区の部隊運用プロセスを経た出動要請によるグループの司令官の指揮下で任務を遂行しています。)
(3)Q: How many times have you mobilized?(今まで何回くらい出動しましたか。)
A: We have never mobilized. But it's good. Because when we mobillze, something happened.
(1度も出動したことはないですが、それは良いことです。なぜなら、私たちが出動するときは何か事件が起きたときだからです。)
(2)TACLETs
(1)Q: What kind of training do you practice?(どのような訓練を行っていますか。)
A: Mainly we do two type training. One is Specialized training, another is Monthly training.
Specialized training is consist of seven training which is Basic and Advanced SWAT Tactics Training, Basic and Advanced Rappelling, Police academy Courses, Street Survival Seminars, Close Quarter Battle Training, Hand to Hand/Edged Weapons and Vertical Insertion.
Monthly training, is consist of seven training which is Range Dates, Middle East Operations Work ? Ups, Basic and Advanced SWAT, Basic and Advanced Rappel, Defensive Tactics, PT Tests and Work Life & Other Required Training.
(主に2種類の訓練があります。それは特殊訓練と月別訓練です。特殊訓練は7つの訓練から構成されています−SWATの戦術訓練(基礎・応用)、ラペリング訓練(基礎・応用)、治安維持課程、サバイバル演習、近接戦闘訓練、逮捕術訓練、垂直移動による進入訓練。月別訓練は7つの訓練から構成されています−射撃訓練、中東での作戦任務の研究と情報更新、SWATの訓練(基礎・応用)、ラペリング訓練(基礎・応用)、護身術、体力検定や勤務態度、その他必要な訓練。)
(2)Q: Could you ask us TACLETs' behavioral pattern of a day?(一日の業務を教えて下さい。)
A: (ホワイトボードを使用して以下のように回答)
・Team Work Hours 0700-1300
・Staff Work Hours 0700-1500
・Mandatory Work Out 0700-0900
・Team Training 0900-1300
・New Member Training 1300-1500
・No Duty Except Ready Team
5. おわりに
MSSTは「米国同時多発テロ事件」を契機として作られた組織であり、その主たる任務はテロ対策である。任務の概要としては港湾等の警備やオリンピックなどの大規模イベントの際の警備、ときには海難救助も行い、その任務は多岐にわたる。米国沿岸警備隊の「海事セキュリティ戦略」によれば、米国沿岸警備隊は港湾や海域の重要度、危険度に沿った比重で各地に沿岸警備隊の組織を配置することになっており、MSSTもその重要度、危険度が高い地域に設立されていることがわかる。また、その技能、装備、訓練は特殊であり、テロ対策においてその存在は意義深く、「テロリストに屈しない」というアメリカの方針及び「米国同時多発テロ事件」以降世界情勢に適応した組織であるといえる。
TACLETsは、軍艦等に上乗りチームとして乗船し、麻薬取締りを行うという特殊性を持っている。法執行活動を行うことのできないNAVYの他にUSCGの隊員も軍艦に乗船させることで、軍艦を使用しても法執行活動を行うことができるようになる。これは、麻薬捜査や取締りにおいて軍艦のもつ展開力を有効に活用することができるようになるという意義がある。加えて、彼らは臨検のスペシャリストの部隊であり、それに係る訓練を日々行っているので、麻薬取締には非常に有効であると言える。また、TACLETsは臨検のスペシャリストであるので、不審な船舶の臨検等を行い、密入国や武器の密輸を未然防止することも可能であり、麻薬によりテロリストが資金を得ている可能性もありうるということを考慮すると、テロリストのヒト、モノ、カネの流れを阻止することができ、テロ対策とも無縁とは言いがたい。
MSSTとTACLETsはその業務内容に差異はあるが、米国の国民、国土、財産等を守る上ではどちらも有効な組織であると考える。
今回の「短期在外調査・研究」では、日本で文献を読んでいるだけでは決して知ることのできない実際の活動内容、訓練の様子、装備などを調査・研究することができた。
また、私たちの特別研究のテーマは「米国における海事セキュリティ」であり、実際に米国に赴くことで米国のセキュリティを体感できたことは大きな収穫であった。例えば、米国には「THREAT ADVISTORY」という、テロ攻撃の危険性を5段階で表すものがあり、これを受けて海事領域でのテロ攻撃の危険性を3段階で表す、「MARSEC」レベルというのがある。米国で港に行った際にこの「MARSEC」レベルを実際に見ることができた。また、空港では靴を脱いでセキュリティチェックを受け、TSA(運輸安全局)の職員が空港内を警備している姿を見ることができた。
最後に、このような有意義な調査・研究、貴重な体験の機会を与えてくださった日本財団、海上保安協会、海上保安庁、海上保安大学校の関係者の方々に心より感謝いたします。
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