1. ハンドブックの使い方
このハンドブックは、東京港で見ることができる生きものを紹介しています。みなさんが観察に行くときは、「観察の注意」のぺージをよく読んで、ケガなどのない楽しい時間をすごしてください。観察に出かけたら、生きものがすんでいる場所や環境(かんきょう)などを調べて、写真で確認しましょう。名前が分かったらチェックシートに書きいれてください。
また後ろのほうに「自分で作るぺージ」があります。これを参考(さんこう)にして自分だけのオリジナル観察日記を作るのも楽しいですね。もし、ハンドブックにのっていない生きものを見つけたときは、写真に撮って(とって)見つけた場所や環境(岩の隙間(すきま)、砂の中など)をメモしておき、図鑑などで調べてみましょう。写真を撮るときには防水性(ぼうすいせい)のカメラや、水中用のケースを使うと安心して海にカメラを持っていけますよ。
海には潮の満ち引きがあり、月日や時間によって観察できる条件(じょうけん)が異なり(ことなり)ます。何月何日の何時ごろが引き潮かは、釣具屋さんなどで潮汐表(ちょうせきひょう)を手に入れると自分で調べることができます。引き潮の時は、たくさんの生きものに出あえる確率(かくりつ)が高くなります。春から夏にかけては、昼間に潮が引き、また気温も高いのでしこ季節の最干潮(さいかんちょう)前後の1時間ほどが、観察のタイミングとしておすすめです。生きものの観察はとても楽しいことです。
しかし、引き潮の後には満ち潮になります。生きものの観察や撮影(さつえい)に夢中(むちゅう)になりすぎて、岩場などに取り残されないように、注意してください。
引き潮の葛西海浜公園の様子
・水辺では思わぬ事故(じこ)が起こることがあります。一人で水辺に近づくのはやめましょう。友達や大人に見守ってもらいましょう。行き先はお家の人に伝えて(つたえて)から出かけましょう。
・立ち入り禁止(きんし)のところは危険がいっぱいです。立ち入らないようにしましょう。
・海岸のカキ殻(がら)やフジツボは、フチがするどいのでよく切れます。靴(くつ)・靴下(くつした)とズボンをはいて、足元の保護(ほご)をしましょう。
また、軍手(ぐんて)などの手袋をつけて、手を守りましょう。
・小さな水そうがあると、生きものの観察がしやすくなります。
・網(あみ)があると便利ですが、むやみに持ち帰るのはやめましょう。海の生きものは一生懸命(いっしょうけんめい)生きています。
・筆記用具(ひっきようぐ)とノートがあると、観察した生きものの記録を残しておけます。少し濃い目の鉛筆がおすすめです。
・虫メガネがあると、生きものの細かいところもよく見えます。
・海には危険な細菌(さいきん)がいます。ケガをしたら真水で洗って消毒しましょう。大きなケガをしたら病院(びょういん)にいきましょう。
東京港は東京都の海の玄関(げんかん)です。ここは20世紀の中頃(1950年頃)までは遠浅(とおあさ)の海で、海苔(のり)やハマグリ、アサリ、シバエビなどがたくさん獲れる(とれる)江戸前(えどまえ)の漁場でした。しかし、産業の発展とともに貿易港や都市用地そしてゴミの処理場として埋め立てられ、今では昔の面影(おもかげ)はありません。東京港は埋め立てによりできた人工的な海岸ですが、東京湾に生息(せいそく)するいろいろな生きものが今でもすんでいます。地形的には隅田川の河口にあたり、都市河川(かせん)や生活排水(はいすい)の影響(えいきょう)を受けて水質は決して良好とはいえません。
夏になると、深いところは汚染(おせん)の影響で酸素(さんそ)がなくなり、生きものはすめなくなってしまいます。でも、海岸の浅いところでは酸素が豊富(ほうふ)な環境が用意され、生きもののくらしが続きます。
東京港には、お台場海浜公園や、葛西海浜公園など海と親しめる海岸があります。また、何もいないように見える護岸(ごがん)でも、いろいろな生きものがいます。このガイドブックをもって、海岸の生きものを探してみてください。カニやハゼ、貝たちがみなさんの訪問(ほうもん)を待っています。
レインボーブリッジから見たお台場海浜公園
お台場と葛西には人工の海浜があります。葛西の沖は干潟になっています。このような砂地にすむ生きものは、とても臆病(おくびょう)です。いつも砂の中に隠れて(かくれて)くらしています。
でも、生きものがいるところでは砂の表面に小さな穴があいていて、そこでじっと待っているとカニが出てくることもあります。砂を掘る(ほる)と貝やゴカイが出てきます。砂地に隠れている生きものを探してみましょう。
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