VI-4 拡散シミュレーションの実施
1 計算条件
拡散シミュレーションの計算ケースを表VI-4.1に示す。
全ての計算は、計算時間間隔を1分、パーティクル分割数を5,000個として、16年9月20日午前8時から72時間後まで行った。
表VI-4.1 拡散シミュレーション計算ケース
計算ケース |
流出形態 |
流出継続
時間[分] |
流出油量[kl] |
気象条件 |
海象条件 |
水温・気温[℃] |
風向 |
風速 |
流向 |
流速 |
ケース1
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連続流出
朝8時流出
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15
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10
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東北東
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7m/s
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東南東
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0.5ノット
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気温25.2
水温27.7
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ケース2
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30
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50
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ケース3
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60
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100
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●共通項目 |
流出地点 |
八丈島南東沖 |
流出油種 |
アラビアン・エキストラ・ライト |
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2 計算結果
計算結果として、9つの項目(拡散長さ、拡散幅、拡散面積、油層厚さ、動粘性、含水率、比重、油量、蒸発量)について時系列変化をまとめた。初めに各項目の定義をまとめ、そのあとに各項目のグラフを示した。
シミュレータにおいて流出油の物理的挙動は、ある個数に分割された粒子の挙動として表現される。これらの粒子は、主に移動と拡散の過程によって漂流し拡がっていく。流出油の移動と拡散のイメージを図VI-4.1に示す。
各粒子は、流出地点から風速の3%と海流のベクトル和によって移動するのと同時に、流出油の中心から同心円状に拡散をする。
図VI-4.1 流出油の移動と拡散のイメージ
拡散長さ、拡散幅、拡散面積は、図VI-4.1の変数を用いて、以下のように定義した。
流出油は粒子の塊として近似的に表現されているため、粒子の存在範囲に、25メートル四方のメッシュ(油膜メッシュ)を想定し、各メッシュに存在する油粒子の油量から各メッシュの油層厚さを計算する。油膜メッシュと油粒子の関係を、図VI-4.2に示す。
図VI-4.2 油膜メッシュと油粒子の関係図
(1メッシュに存在する油量が多いほど、油層厚は厚くなる)
油層厚さは、図VI-4.2の変数を用いて、以下のように定義した。
なお、ここでの油層厚さは、油が取り込んだ海水も含んだ油量を使用した。
(油層厚さが0より上のメッシュ全てで、油層厚さの平均値を算出)
シミュレータにおいて、流出油の化学的性状変化はRasmussen(1985)に従って、蒸発量[kl]、含水率[%]、比重、動粘性[cSt]が計算される。油量[kl]は、流出油が取り込んだ海水も含んだ油の体積と定義した。
(1)拡散長さ[km]
計算結果を図VI-4.3に示す。
図VI-4.3 拡散長さ(ケース1、ケース2、ケース3)
拡散長さは、風と海流で一意に決まるため、油量によらず同じ結果となる。
(2)拡散幅[km]
計算結果を図VI-4.4に示す。
図VI-4.4 拡散幅(ケース1、ケース2、ケース3)
ケース1は約2時間後、ケース2は約4時間後、ケース3は約6時間後にFayの式による拡散幅の増加が終わり、海の乱流拡散による拡散幅の増加へと転じている。
(3)拡散面積[km2]
計算結果を図VI-4.5に示す。
図VI-4.5 拡散面積(ケース1、ケース2、ケース3)
(4)油層厚さ[mm]
計算結果を図VI-4.6に示す。
図VI-4.6 油層厚さ(ケース1、ケース2、ケース3)
流出後の変化を見るため、流出後6時間までの結果を図VI-4.7に示す。
図VI-4.7 油層厚さ(ケース1、ケース2、ケース3)
油層厚さは、流出から約3時間で、どのケースも0.1mmを下回る結果となった。
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