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II-4-2 実海域における挙動の調査
 装置を実海域に浮かべ、スキマーで回収した水を任意の高さ及び角度で放出させ、回収時の装置の挙動の調査を行った。
 
1 環境条件
(1)実験場所 海上災害防止センター防災訓練所(横須賀)前面海域
(2)天候 晴れ
(3)風向・風速 北北東の風 3.5m/s
(4)外気温 13.2℃
(5)水温 15.8℃
(6)湿度 75%
(7)波 1
(8)波浪 なし
2 使用資機材等
 表II-4.1に示すほか、作業船1隻
3 実験方法等
(1)装置及びスキマー等を作業船に搭載し、訓練海域(防災訓練所前面海域)まで移動した。
 モデルには、あらかじめ回収用のロープを取り付けておいた。
(2)訓練海域到着後、装置を海中に投入し、作業船にロープで固定するとともに、スキマーヘッドをクレーンで海中に投入した。
(3)スキマーを運転し、ホースからの吐出水を装置内側に放出した。
(4)海面上からモデルのフロート部等の挙動を観察した。
(5)観察終了後、モデルを作業船に回収した。
 実験の準備の状況等を写真II-4.1〜写真II-4.6に示す。
 
写真II-4.1 装置の積み込みの状況
 
写真II-4.2 装置の投入の状況
 
写真II-4.3 実験の状況1
 
写真II-4.4 実験の状況2
 
写真II-4.5 回収ホースの固定金具
 
写真II-4.6 固定金具
 
4 計測項目
(1)モデルのフロート部等の挙動の観察
(2)気象・海象
5 実験結果
 装置の挙動を観察した結果、潮流の影響によりスカート部が沖側に50cmほど捲れることがあったが、装置全体は安定して海面に浮かぶことが確認された。
 今回、回収ホースの先端は、1m程度の長さの木の棒に金具で固定を行い、人力により支えていた。今後は、安全かつ効率的に作業を行うために、装置フロートの上部に板を渡し、その上に回収ホースを固定する方法などの検討が必要と考えられる。
 また、装置を人力で海上に投入した際に、斜めに投入したため、スカートと海面との間に隙間が生じて空気が入り、海上でスカートが直立しなかったため、投入時には注意する必要がある。
 
II-4-3 まとめ
 実際の現場に近い環境で装置の実験を行うため、波浪をおこした訓練水槽や実海域に浮かべ、スキマーの吐出水を投入して装置の挙動等の調査を行った。
 調査の結果、装置スカート部は水流や潮流の影響を受けて水平方向に捲れることもあったが、フロート部については、模型と比較して大きく設計しているために十分波浪に耐えることができ、水面(海面)上で安定していることが確認された。
 今後は、スカート部の捲れを抑えるために、スカート下部の錘の重量の調整を行う検討や、回収ホースの固定方法として装置フロートの上部に板を渡し、その上に回収ホースを固定する方法をとるなどの検討を行えば、海上で回収した混合油水の簡易分離装置として、十分実用化できるものと考えられる。


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