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平成16年8月2日
 
各位
調査のお願い
社団法人 日本青少年育成協会
専務理事 近藤 正隆
 
 多くの方が指摘されておりますように、今学校にも、地域にも、家庭にもさまざまな問題があり、それぞれがかなり崩壊していると言われております。その中で、子どもたちを取り巻く環境も日々変化し、大変厳しい状況に立たされております。「学級崩壊」がそうでありますように、「不登校」「ひきこもり」もまた生きにくい環境に対する子どもたちなりの表現方法の一つであると考えられます。
 文部科学省発表の学校基本調査によりますと、全国の不登校生は13万1千人を数えており減少に転じたとのことですが、その勢いは止まっていないのが現状のようです。
 本協会では9年前から「もう一つの進路相談会」という形で、全国各地で不登校生、高校中退者の進路の相談にのってまいりました。当初は学校に行けなくなった人の進路相談が中心でしたので、不登校生、中退生を受け入れている教育機関の先生方に呼びかけ、相談にのって頂き対処してまいりました。
 ところが、ここ3年程相談内容が大きく変わってきたことは歪めません。第1に相談者年齢が小学生から40代まで拡がってきたことです。第2に、これに伴う「ひきこもり」「高校生・大学生の不登校」「卒業後、退職後のひきこもり的無業者」「フリーターという無業者」等の相談が複雑に交差してきました。第3に自閉症、強迫神経症、摂食障害、対人恐怖、LD、ADHD等の広汎性発達障害かなり専門的な領域が増加し、社会参加が困難となる人の相談が激増してきたことです。
 これら全てが不登校と因果関係があるとは言えませんが、その多くは不登校の原因となるか、あるいは不登校の結果、その延長線上にあると推測されます。
 一方、これらの複雑化、複合化している問題に対応するため、様々な教育機関、相談機関がご尽力下さっていることは周知の事実です。しかし、残念ながら学校案内、施設案内と実態ごとにズレが生じている所もございます。又、各教育機関の趣旨や内容が充分に伝わっていないということがあります。そこで、従来のようにアンケート調査だけでなく、直接お伺いしてお話を聞くという方法の必要性も感じております。本協会ではこれらの内容を踏まえまして、実態調査及び聴き取り調査(訪問インタビュー)をお願いしたいと考えております。どうか調査の趣旨をご理解いただきご協力いただければ幸に存じます。調査の結果が少しでも多くの子どもたちの幸せに寄与できますことを願っております。
 お忙しいところまことに申し訳ございませんが、本調査の質を高め立論の根拠を確かなものにさせていただくべく、できるだけ多くの方々に調査にご協力いただきますよう重ねてお願い申し上げます。
 
不登校生等受入教育機関に関する実態調査
社団法人 日本青少年育成協会
専務理事 近藤 正隆
 
 昨年も同様の調査を実施し、その結果を「自分で決める進路」というガイドブックにまとめ学びリンクから出版しました。不登校・中退等でお悩みの方々には大変役立つ情報が出来たと考えております。主な成果は以下の3点です。
 
1. 全国100ヶ所の不登校生等受入教育機関の訪問調査を実施し、実態が客観的に把握できた。
2. 受入教育機関の専門分野が把握でき、ミスマッチを防ぐ情報提供ができるようになった。
3. 上記ガイドブックを地域分冊として、公的機関も入れた東北、関東、関西、中国、九州、沖縄の地域版パンフレットを作成し、各方面特に教育委員会、教育センターが喜ばれている。
 以上のような経緯から、今年度も実態調査を実施いたします。調査結果はガイドブックに掲載し、地域版パンフレットは、今年は北海道、北関東、中部、四国の4分冊をまとめる予定です。これらの情報は情報センターに置き、相談を受けた場合の資料として情報提供されます。
 
 この調査の目的は、不登校の子どもたちなどを受け入れている「教育機関」の実態をとらえ、多様な現実をふまえながら各地の情報センターづくりに生かしたいと考えております。お忙しい中誠に恐縮ですが、調査の趣旨をご理解の上ご協力いただければ幸いです。なお、回答にあたりましては、以下の点にご留意いただきますようお願い申し上げます。
 
(1)回答は、「教育機関」の代表者もしくは代表者に相当する方にお願い致します。
(2)調査の趣旨につきましては、別紙「調査のお願い」をご参照ください。
(3)特に断りのない限り、2003年度(平成15年度)の活動に関してお答えください。
(4)ご記入済みアンケート用紙は、同封の返信用封筒にて平成16年8月31日(火)までに必ずご返送ください。
(5)アンケート用紙2ページの専門スタッフは非常勤又は外部スタッフでも結構です。
 
【連絡・お問合せ先】
日本青少年育成協会
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-35-1 教育センタービル2F
近藤 正隆・加藤 恭子
TEL: 03-3269-8411/FAX: 03-3269-8414/E-mail: info@jyda.jp
 
不登校生受入教育機関についてのアンケート
 
 
(3)アンケート調査の分析と訪問調査先の決定
 
 当協会では相談室の情報と地域版パンフレットの作成を考え、毎年不登校生受入教育機関に、アンケート調査を実施している。昨年は191ヶ所から回答が寄せられたが、今回は209ヶ所となった。その理由としては
1 質問項目に「受入専門分野と専門スタッフ」「教員免許取得スタッフ数」「カウンセラー資格取得者数」があり、専門スタッフのいないところは、その時点で「自分の所は調査対象外であろう」と思われてしまった。
2 アンケートを依頼した6月には、同様のアンケートがいくつか重なっていた。
3 不登校、障害児、ひきこもりの分類に反発して回答しない(分類は差別に繋がるという考え方の所もある)
4 何らかの評価をされるのではないかという危惧を感じて――などが考えられる。
 更にその回答の中でも、2ページの質問用紙に対して上記の部分を避けて1ページしか答えていないところが37ヶ所に上った。質問の最後に「訪問インタビューを希望するか」という項目をつけたが、訪問を希望する施設はアンケート回答者の約38%であった。
 訪問調査は2回目となるため、昨年訪問したところはすべて割愛した。その結果、訪問調査候補施設は80ヶ所となったが、訪問のためにアポイントがなかなか取れず、昨年に比べてボランティアも少なかったため、結果として60ヶ所を訪問し、その結果を公表することになった。
 
(4)調査員の選定
 今までに登録されている相談ボランティア(不登校経験者及びその親のボランティア)の中から希望者を募り、25名を選定、不足の21名は本年度応募したボランティアの中で研修を修了した人と当協会の会員及び相談員をあてることとした。
 
(5)調査員の研修
 選定した調査員に対しての研修は昨年のビデオとテキストを基に研修を行った。
 
(6)訪問調査の実施:2人1組を基本に60ヶ所を調査
 訪問調査は昨年初めて行ったものであるが、調査対象は昨年とは異なるため、調査を受ける側としては初めてのことなので、調査段階で予期せぬことも起こった。
 調査員は客観性を保つために研修を受けてはいるが、訪問時の印象はどうしてもその調査員の立場によって変わってしまう。例えば不登校経験者は「不登校で悩んでいた当時、自分がここにきたら合うだろうか」と考え、元不登校生の親は「自分の子だったらここに来させるだろうか」と考え、サラリーマンの調査員は「ここは財政的に成り立っているのだろうか」と考えるようである。その点では今回2人1組で訪問し、レポートも2人で協議の上でまとめてもらうようにしたことは、正解だったと思う。







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