資料 6 福祉有償運送 共同設置運営協議会等の手続きの流れ
【プロフィール】
兼坂 誠 (福)佐倉市社会福祉協議会 地域福祉課長
大学卒業後、社協一筋で24年。地域福祉に関するさまざまな業務を経て、平成10年在宅福祉係長、本会介護保険事業立ち上げに携わる。平成14年より現職。本会介護保険事業・支援費事業管理者。
*事務局外での主な役職
・佐倉市市民公益活動運営協議会委員
・佐倉市代表者地域ケア会議委員
・佐倉市在宅介護支援センター運営協議会委員
・佐倉市障がい児者地域療育・生活支援システム研究会運営委員
佐倉市社協の活動
〜“ひとりの声”を“地域の声”にするために〜
・地区社協活動の推進
・ボランティアセンターによるボランティア活動の推進
・各種在宅福祉サービスの実施
・地域福祉権利擁護事業(さくら広域後見支援センター)
・福祉資金貸付事業
・福祉総合相談所による相談事業の実施
・福祉ニーズに関する調査、情報提供
・介護保険事業、支援費制度サービスの実施
緊急フォーラム「運営協議会が開かれると地域は変わるか」発言要旨
佐倉市社会福祉協議会 兼坂
1. 佐倉市における移動サービスの必要性
(1)住民の声(高齢者、障がい者、ボランティア、介護支援専門員、民生委員他)
(2)過疎地域(高い高齢化率)を含む地域特性
(3)バスの便数が少ない
問題点:(1)交通機関は市街地に集中
(2)移動困難者にとって、大きな病院へのアクセス環境は十分でない
(3)福祉タクシーはあるが、使い勝手は?
3. 移動ニーズの現状
(1)社協では、福祉車両の貸出やボランティアによる外出支援活動を行っているが、移動ニーズに十分応えられていない。
(2)社協に対して、知的障がい者団体やボランティア連絡協議会からサービス実施についての要望書が出されている。
(3)地区社会福祉協議会では敬老の集いで移送サービステストを行い好評を得たが、地区でのサービス体制の限界から市社協でのサービス実施を訴えている。
(4)介護保険利用者、障がい者に対するアンケート調査を実施し、ニーズを数値で把握することができた。
(5)障がい児者地域療育生活支援システム研究会において検討を行っている。
(6)地域ケア会議における高齢者の声「あったらいいと思う支援」で具体的な声を聞くことができた。
(7)介護支援専門員協議会において福祉有償運送についての検討会が発足し、協議を重ねている。
4. 佐倉市社会福祉協議会の役割
社協の使命とは、「地域福祉の推進」です。これは、「誰もが安心して暮らすことができる福祉のまちづくり」を進めるということです。そのためには市民一人ひとりの生命と権利と利益を最大限に支援・擁護する取り組みが必要となります。社協は地域のさまざまなみなさんによって構成されている協議をする会です。いろいろな話し合いの中から新たなサービスを生み出すこと、また、さまざまな立場の人の出会いのキッカケづくりをし、繋ぎ、媒介させることが社協の本質だと思います。
5. 運営協議会開催に向けた進行状況
・行政関係
(1)千葉県が主催した市町村交通施策担当課、福祉施策担当課担当者を対象とした福祉輸送に係る説明会(2004.7.2)
(2)佐倉市における関係部局による福祉輸送に係る検討会(2004.7.12)開催
(3)佐倉市における運営協議会担当窓口の決定(福祉部社会福祉課)
(4)佐倉市長宛に運営協議会設置についての要望書を提出(2004.9.16)
(5)担当課と協議を重ね、補正予算計上等、運営協議会開催に向けた準備が本格化
・社協関係
(1)理事組織強化部会(2003.5〜8)において、移送サービスに関する現状と課題について協議し、予想されるガイドラインの内容と採算性、人的配置について概ねクリアできることが確認された。
(2)経営検討委員会(2003.9〜11)においてサービス実施について検討した結果、柔軟性を持った民間的な発想で取り組むことを要求される。
(3)理事会(2004.10〜12)において、前述の協議結果を報告、実施が決定しました。
(4)数字での裏付けを得るため、移送サービスアンケート調査実施(2003.12〜04.1)し、社会福祉施設、福祉団体、市営障がい者施設、養護学校、社協サービス利用者、への協力依頼を行ったところ、高齢者134名、障がい者84名、計218名からの回答が得られ、希望者の多さを確認することができた。
6. 抱えている問題点・課題点
(1)行政の認識と、当事者の抱える現状とのずれをどう是正するか。
(2)ガイドラインが既存団体を対象としているように見受けられます。よって新規事業者にとっての運営協議会への関わり方は分かりづらいように感じます。
(3)事業実施にあたり、市民との協働により体制を整えていきたいと思います。
7. 今後のスケジュール
(1)運営協議会を本年度内に開催してもらうための調整
(2)公共交通機関関係者や市民の意識を行政との連携により高める
(3)来年3月に許可を受け、4月からの実施を目指す
8. 社会福祉協議会はNPOをはじめとする地域社会資源とどのような連携を図っていくべきか。
ボランティア・NPOなど移送サービスに関係する団体と、このたびのサービス実施について、情報交換・意見交換を重ねてきました。各団体とも「やりたくてもできない」という実情の中で、社協への期待が高まっているという実感を肌で感じております。
本会では外出支援ボランティア活動を実施していますが、ボランティアセンターを訪れる熟年男性からは「運転なら自分にも手伝えそうだ」という声も多く、サービスの担い手側からも大きな期待と反響が集まっています。
社協は民間法人ですが、行政と協働してきた長い歴史があります。また、市民の方ひとりひとりの声に耳を傾け、地域の声として発信することは社協の重要な使命のひとつです。であれば、両者の声を互いに反映させることができるのは、社協ならではのことなのです。
この運営協議会設置に向けての働きかけは、単にサービス実施のための通過点ではなく、地域を再点検、再把握、再確認することのできるすばらしいチャンスです。さらに、移送サービスを行うことで、地域社会資源とのネットワーク化や、新たなニーズの発掘が期待できます。また、事業を通して、市民のみなさんひとりひとりの地域福祉に対する理解を深める機会ともなるはずです。ぜひとも実現したいと思います。
【佐倉市内の公共交通機関の状況と主な病院の位置関係】
佐倉市
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