はじめに
この報告書は、2004年度秋学期に早稲田大学国際教養学部において開講された「マンガとアニメ:日本の文化・社会の表現」(Manga and Anime: Expressions of Japanese Culture and Society)と題する東京財団寄付講座の講義録です。
新しい人材や能力を発掘、育成すること、創造力や独立精神を発達させることは、生きる力となり、国の将来にとって不可欠です。東京財団は、そのために日本の大衆文化が大きな役割を果たし得るものと考え、取り分けマンガやアニメのもつ、創造性、独自性に着目してきました。
この講座も、その一環として、世界中に影響を与えている日本のマンガやアニメを紹介すること、新しい能力を開発すること、そして、創造力や独自性を更に育成することを通して、世界の平和・繁栄に寄与することを目的としています。
2002年度秋学期に、日本のマンガ・アニメをテーマとする寄付講座を初めて早稲田大学国際教育センター内別科国際部で実施し、非常な好評を博しました。マンガ・アニメを通じて海外の学生たちに日本及び日本人の心を理解してもらうという所期の目的は充分に達成することができました。
2004年度から、同大学国際教育センターが国際教養学部となり、別科交換留学生200人に加えて新たに毎年600名の正規学部生を受け入れるようになったことから、今回は、同学部の正規講座として開講いたしました。
マンガ・アニメ界の第一線で活躍する方々を講師にお招きして語っていただき、また2002年度において好評だったマンガ創作という面を勘案し、実際にマンガを描くことによってマンガ・アニメのもつ様々な側面を肌で感じてもらうようにしました。
この報告書を通じて、マンガやアニメの素晴らしさとパワーを感じていただけるものと確信しています。
最後になりますが、マンガ・アニメ講座を開講して下さった早稲田大学国際教養学部、特に講座のコーディネーターをしていただいた森川友義教授、また多忙なスケジュールの中、学生たちに熱く語って下さった講師のお一人お一人に心からの敬意と感謝を表します。
東京財団
講座名:Manga and Anime: Expressions of Japanese Culture and Society(2単位)
講義日時:秋学期(2004.9.28〜2005.1.11)火曜日5限(16:20〜17:50)。
受講者:早稲田大学国際教養学部学生、1年プログラムの交換留学生、早稲田大学他学部学生等
コーディネータ:森川 友義 教授
講義日程:
回 |
講義日 |
内容 |
講師 |
1 |
9月28日 |
講座説明 |
森川友義 (国際教養学部教授) |
2 |
10月5日 |
「キリスト教人間観と日本マンガ」
「マンガ・アニメの歴史と現状」1 |
日下公人 (東京財団会長) 森川友義 |
3 |
10月12日 |
「マンガ・アニメの歴史と現状」2 |
森川友義 |
4 |
10月19日 |
「アニメーションのプロデュースと作業の実際」 『犬夜叉』・『名探偵コナン』の場合 |
諏訪道彦 (読売テレビ エグゼクティブ・プロデューサー) |
5 |
10月26日 |
Debate: Pros and Cons of Manga and Anime |
森川友義 |
6 |
11月2日 |
Manga and Anime as Japanese Culture |
モリーン・ドノバン (オハイオ州立大学) |
7-8 |
11月6日 (土) 早稲田祭 22号館 201号室 |
「漫画家の仕事」(1) 13:00〜15:00
「声優の仕事」(2) 15:15〜16:45 |
藤田和日郎(漫画家) 有井大志(編集者)
野沢雅子(声優) |
9 |
11月16日 |
マンガのセールス |
松橋祥司 (TOKYOPOP日本ジェネラルマネージャー) |
10 |
11月30日 |
ポケモンが世界にもたらしたもの |
久保雅一 (小学館キャラクター事業センター長) |
11 |
12月7日 |
まとめと中間試験 |
森川友義 |
12 |
12月14日 |
「マンガを描く」(1) |
漫画家3名 真崎春望、橘花夜、英洋子 |
13 |
12月21日 |
「マンガを描く」(2) |
14 |
1月11日 |
「劇場アニメ主題歌と成立過程」
作品提出・プレゼンテーション |
井上あずみ(歌手)
森川友義 |
|
|