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3 各モデル地区における防犯環境設計に基づく防犯診断
(1)大津市〜西大津駅周辺地区
(1)地域特性および犯罪特性
ア 地域特性
 西大津駅周辺地域は琵琶湖の南西岸に位置し、西側に比叡山や比良山などの山系、東側は琵琶湖を望み、四季の変化を多彩に映し出す風光明媚な土地柄である。
 西大津駅は京都から約10分、湖西の玄関口としてJR湖西線最多の乗降客数を誇り、駅前では大規模小売店舗や高層マンションの建設など、近年市街化が進められている。一方で、西側の山上町は旧来からの集落であり、古い造りの民家が立ち並ぶとともに、付近には古墳や天皇陵などの史蹟がある。
 地域人口は7,031人(平成15年大津市住民基本台帳)であるが、駅前のマンション建設を反映して平成14年以降急激な人口増加が進み、とりわけ20代〜40代の若い成人世代や、10歳以下の児童人口が全国平均と比較しても多く、若い世帯の流入をうかがうことができる。
 西大津駅周辺の環境としては、住宅地周辺に競艇場、競輪場、パチンコ店など遊興施設があること、JR線と京阪電鉄が交差するガード下など、夜間に明かりやひと気がない箇所が多いことから機会犯罪がおきやすい状況にある。また、西大津駅は改札が2階にあり、階下に人の目が届きにくく、駅前に交番もないことから少年たちがたむろする場となりやすい。さらに、駅前の大規模小売店舗やその周辺において、けんか、万引き、車上ねらいなどの犯罪が発生している。
 
図表2-1 西大津周辺地域の概況
(拡大画面:156KB)
 
図表2-2 西大津駅周辺地区 基礎データ
【人口】 7,031人(対H10比 42.8%増)
【1世帯当り人数】 2.3人
  (資料:平成15年度住民基本台帳)
【老年人口比率】 13.8%(市全体14.9%)
【定住率(H7-12)】 67.4%
【産業別人口比率】 注)分類不能を除く
第1次0.9%:第2次22.8%:第3次76.3%
(市全体第1次1.3%:第2次28.4%:第3次68.7%))
出典)総務省統計局「平成12年国政調査報告」より作成
 
図表2-3 人口構成比較(全国・西大津駅前地区)
出典)総務省統計局「平成12年国勢調査報告」より作成
 
図表2-4 西大津駅前地区 人口動態
出典)大津市住民基本台帳資料より作成
 
イ 犯罪特性
 平成8年以降、大津市および西大津駅周辺地区において認知件数が急増している(駅前に大規模小売店舗が出店(平成8年11月))。
 認知件数の大半は窃盗犯であり、平成11年までは約90%前後を占めている。平成12年以降、粗暴犯(傷害、暴行、脅迫、恐喝等)の増加傾向が見られる。
 また、少年犯罪の割合が高く、大津警察署における検挙人員の約6割が少年である。補導活動が行われているが、深夜徘徊・たむろが減らず、犯罪の温床(万引き、ケンカ、車上ねらい、オートバイ盗等の犯罪行動へ発展)となることが懸念されている。
 
図表2-5 大津市における刑法犯認知件数の推移(総数、窃盗犯、窃盗犯以外)
出典)滋賀県警察本部「犯罪統計情報−発生地域からみた刑法犯認知状況」より作成
 
図表2-6 西大津駅周辺地区における刑法犯認知件数の推移
(総数、窃盗犯、窃盗犯以外)
出典)滋賀県警察本部「犯罪統計情報−発生地域からみた刑法犯認知状況」より作成







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