日本財団 図書館


資料10: バラスト水管理条約の規則D-5規定のバラスト水管理技術の状況審査実行のための推奨事項(MEPC53/2/2、ANNEX仮和訳)
 
附属書
 
バラスト水管理条約の規約D-5に規定されるバラスト水管理技術の状況審査の実施の為の推奨事項
 
審査の為の参照条項
 
1 バラスト水管理条約の規約D-5は規約D-2のバラスト水排出基準の最も早い発効日の最低三年前に開催される委員会により審査が実施されることを規定している。
 
審査の目的
 
2 規約D-5は規約D-2に規定されている基準を達成する為、安全性・環境への受入れ・現実性・費用効果及び生物学的効果の面でこれらの技術を査定する為、また発展途上国特に小島の途上国の開発要求に関連する社会経済的効果を査定する為適切な技術が入手可能か決定するために審査を要求する。
 
審査手続き
 
3 MEPC53への提出は下に表記されている審査基準に対し提案された技術の評価を含まねばならない。評価は提出書類に特定されている適切な結論導入の手段に基づく。
 
.1 MEPC53会期で審査を実行するために審査グループ(作業グループ)が結成されねばならない。メンバー国及びオブザーバーは審査手続きに参加する適切な専門知識を有する人を同行することが要求される。
 
.2 審査グループは委員会による検討のために適切な行動を推薦する必要がある。
 
審査基準
 
4 審査は次を決定せねばならない:
 
.1 適切な技術が入手可能かどうか;
 
.2 入手可能な技術が要求される基準を満たすかどうか;
 
.3 適切な評価手段が存在するか;
 
.4 発展途上国特に小島の途上国の開発要求に関連する社会経済的効果が明確に査定されたか;
 
.5 規約B-3.7に基づき認定された別のバラスト水管理方法が存在するか。
 
一般情報
 
5 規約D-5で要求される審査を有意義なものとするために、MEPCはメンバー国及びオブザーバーより収集される情報を必要とする。メンバー国及びオブザーバーは従って審査に使用されるためMEPC53に情報を提示することが求められる。関連する情報とは次を含む:
 
.1 規約B-3の実行予定の各々の分野における現存のないしはこれから配船される船舶の数の詳細を記す情報;
 
.2 バラスト水システム承認のためのガイドラインの適用から得られた事実、基礎となるデーター及び分析;
 
.3 表記された結論を支持するために使用された方法論及び手続きの記述と併せ、この書類のパラグラフ4の各々の項目を対象とした供給者ないしは他社よりの書類。もし複数の供給者が同一のないしはほぼ同一の技術を使用してシステムを開発した場合、審査に提出される書類は個々の各々のシステムに対し雛形に規定された項目の情報を含まねばならない;
 
.4 他の試験経験および研究プログラムより得られた事実、基礎的なデーター及び分析;
 
.5 発展途上国特に小島の途上国の要求に関連する社会経済的効果の評価。
 
提出用の雛形
 
6 次の質問の概要は供給者ないしは他社がバラスト水管理システムの特徴及び正確を記載する際に使用される指導要領を目的としている。提出書類を準備するメンバー及びオブザーバーは審査の過程で記載されているシステムの理解を促す為に、データー及び必要であれば背景の議論を提供することが望まれる。下記の質問は全てを網羅することを意味していない。提出者はバラスト水処理システム及び技術の理解に適切と思われるほかの情報を提出することが要望される。
 
入手可能性
 
6.1 提出書類はバラスト水を処理する技術及び/或いはインフラの入手可能性に言及せねばならない。
 
6.1.1 システムが現在商業的に入手可能か?
 
.1 もしそうであれば、海事使用が可能か?
 
.2 もしそうであれば、システムは船上で査定されたか?
 
.3 もしそうであれば、いかなる地理的地帯で船舶の型式及びサイズ、バラスト能力及び流速は何か?
 
.4 もしそうでないのであれば、いつ船上の使用が可能となるかまたどのような型式及びサイズの船舶となるか?
 
6.1.2 もし商業的に海事使用が不可能な場合、どの産業に使用されているか?
 
6.1.3 もし商業的に海事使用が不可能な場合、予想される可能な時期は何時か?
 
6.1.4 システムないしその構成設備は広く及び常時入手可能か?
 
.1 もしそうなら、どの程度の地理的広がりか?もしそうでないならどの地域で入手
可能か?
 
.2 もし代替部品が必要ならその在庫は広く確立されているか?
 
6.1.5 システムに要求される消耗品はあるか?
 
6.1.6 システムは全ての船舶上で使用可能か或いはバラストの容量及び操作により使用が
制限されるか?
 
.1 システムはどのくらいのバラスト水流速で作動可能か?(流速は50-5,000m3/hr.に及ぶことが出来る)1立方米のバラスト水を加工する時間に関する情報が役立つ。
 
.2 航海距離、バラスト水の能力ないしは水質によりどのような制限がシステムに加えられるか?
 
.3 温度と湿度の組合せはどのようにシステムの作動に影響するか?
 
6.1.7 バラスト水処理に関するインフラは取得可能か?
 
.1 十分な製造及び造船能力が特定された日に入手可能か?
 
−新造船への建造及び設置に対し;及び
 
−既存船に対する据付
 
.2 必要な二義的支援システム及びインフラは審査された取得可能な個々の技術に対し適切と判断されるか?
 
.3 バラスト能力及び流速別に2009年及びそれ以降の予想される建造需要はどのくらいか?
 
安全性
 
6.2 システムの為の書類は船舶、乗組員、港湾の人員及び一般的な公衆衛生に対するいかなる安全への危険性も表記する必要がある。
 
6.2.1 バラスト水管理システムの工程は健康ないしは安全のリスクを呈するか?
 
.1 構成物ないしは副製品が何らかの危険性、ないしは高圧の液体やガスを呈する、例えば高圧の部品、高熱を含む加工、低温加工、放射線ないしレーザーの使用、化学的反応を含むか?
 
.2 もしそうであれば、どのような安全対策がシステムの為の設計及び作動手続きに組み込まれているか?
 
6.2.2 塩水にさらされる異質の金属を有する部品が存在するか?
 
.1 もしそうであれば、どのような安全装置が腐食及び磨耗に対し船舶の構造、パイプライン、設備、バルブ及び部品を保護する為に組み込まれているか?
 
6.2.3 システムは活性物質ないしは特別な保管ないし取扱いが必要な部品の使用を含むか?
 
.1 もしそうであれば、それらの必要性がシステムによりまた操作上補修上のマニュアルに反映されているか?
 
6.2.4 もしシステムが取入れ、排出ないしは移動を含むバラスと作業中でも作動する場合、船舶の安定性及び構造が損なわれないことを保証する適切な安全連動装置及び制御手段が備えられているか?
 
6.2.5 船舶事故の場合システムは追加リスクを呈するか?
 
.1 大水の場合追加リスクが存在するか?
 
.2 船舶の電力の損失は追加リスクを呈するか?
 
環境への受入れ
 
6.3 提出書類は正常な使用の機能としてまたシステム不具合ないし船舶事故の場合、管理システムの構成物及び加工と環境との相互作用を含む危険性のある環境への影響に言及せねばならない。
 
6.3.1 システムは環境への排出前に処理されたバラスト水の調整が要求されるか?
 
6.3.2 管理システムを使用することに起因する追加の空気の放出の原因は何か?
 
6.3.3 管理システムの使用は周囲の温度以外でのバラスト水の排出の結果を招来するか?
 
6.3.4 濾過工程ないしは遠心凝縮の残留物のような廃棄流が存在するか?
 
.1 もしそうであれば、廃棄流の特性は何か?
 
.2 廃棄流の計画している処分は何か?廃棄に適しているか或いは陸上で処理されねばならないか?
 
.3 もし排出されるなら、如何に早く次の排出までに廃棄流は消滅するか?
 
6.3.5 活性物質を使用するないしは扱い、保管或いは処理上で問題を呈する残留物ないしは副生産物を製造するシステムの構成物ないしは加工が存在するか?
 
6.3.6 バッテリー或いは鉛を含む備品のように、どのような特別な処理問題がシステムに存在するか?
 
6.3.7 船舶の事故の結果として損傷を受けた場合どのシステムの構成物が環境へのリスクを呈するか?
 
実用性
 
6.4 提出書類は作動上の要求と同様システムの作動能力も言及せねばならない。
 
6.4.1 システムは船上の適用に適切として査定されたか?
 
− 新造船に対し?
 
− 既存船に対し?
 
6.4.2 甲板、耐天候性の空間ないしは機関室の空間に対するシステム要求は何か?
 
6.4.3 システムの作動パラメーターは何か?
 
.1 バラスト水量あたりの処理時間はどれくらいか?何度の温度で?
 
.2 排出前に要求される処理後の滞留はあるか、もしそうなら、要求される時間はどれくらいか?
 
.3 船舶システムは作動可能か?
 
.4 システムの流速ないしは能力はどれくらいか?システムの縮小スケールに制限はあるか?
 
6.4.4 システムの設置要求は何か?
 
.1 システムはドライドック期間中にのみ設置可能か?
 
.2 システムは船舶が岸壁に接岸中、修理中ないしは修理から出たときに設置され査定されることが可能か?
 
.3 耐水容器、発電機の能力などのように船舶の既存のレイアウトに影響する個々のシステムの要求は存在するか?
 
6.4.5 システムの修理要求は何か?
 
.1 システムはドライドック期間中にのみ修理されることが可能か?
 
.2 システムはドックサイドの施設で修理されることが可能か?
 
.3 特別な修理専門家が要求されるかまた世界中で確保できるか?
 
6.4.6 構成部品のスペアー及び消耗品の船上での保管の要求は何か?
 
6.4.7 システムの計測要求は何か?
 
6.4.8 あるシステムの複数の製造ユニットの統一的な結果は何か?
 
6.4.9 システムに対する人員要求は何か?
 
6.4.10 システムの信頼性及び耐久性試験の結果は何か?
 
6.4.11 システムの予想される使用年数は何年か?
 
6.4.12 熱、寒さ、湿気、振動及び電力量の変化を含む種々な環境上の極限状態に対するシステムの露呈試験の結果は何か?
 
費用効果
 
6.5 提出書類は設置及び作動の既定ないしは推定の費用を示さねばならない。
 
6.5.1 建造時及び既存船への据付の際船舶への設置の既定ないしは推定の費用はどれくらいか?
 
6.5.2 容量ないしは単位時間当たりの容量の表示による、バラスト水の単位を処理する既定ないしは推定の費用はどれくらいか?
 
6.5.3 システムの設置及び/ないしは操作に対する船舶の人員要求は何か?
 
6.5.4 年ベースでの既定ないしは推定の補修費用はどれくらいか?
 
6.5.5 年ベースでの構成物の部品及び消耗品の既定ないしは推定の費用はどれくらいか?
 
6.5.6 廃棄物、残留物、構成物ないしは代替品の部品の既定ないしは推定の処理費用はどれくらいか?
 
生物学的効果
6.6 提出書類は数量的データー、現行のシステムに直接適用可能な以前の実験及び試験から得られた理解、及び規約D-2の基準を満足する能力を記載しなければならない。生物及び病原菌の状態(生死に関わらず)の判定に採用された分析技術はまた記載されねばならない。
 
6.6.1 有害水生生物及び病原菌の除去、殺傷ないしは取入れ或いは排出の回避に関しシステムの生物学的効率試験の結果は何であるか?
 
.1 ベンチスケール試験のため、実験及び設備の詳細な記述は何か?
 
.2 パイロット及びフルスケール試験のための、実験、設備及びシステムの配置の詳細な記述は何か?
 
.3 処理アプローチの効率(制御及び処理内で達成された実際の凝縮の意味で)、分析技術の精度、システムの作動を予測する際の計測された変数値の適正さ、及びフルスケールでの船上のシステムに対し同等の結果の確度を確立する理解度はどのような結果であるか?
 
.4 システムはどのような種類の船舶に対しまたどのような条件の下で試験されたか?







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION