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(8)バラスト水交換のための設計及び建造基準のためのガイドライン(G11)の概要と対応
 バラスト水交換のための設計及び建造基準のためのガイドライン(G11)の構成は、次の通りである。本ガイドラインは、バラスト水管理条約の規則D-1におけるバラスト水交換基準への適合が技術的に達成可能で、かつ効率的に行える設計及び建造の指針となるものである。我が国としては、特に問題となる箇所はなく、適宜対処とした。
 
第1章 総論
1 序文
2 目的
3 適用
4 定義
5 バラスト水交換基準
第2章 バラスト水交換−設計及び建造の配慮事項
1 一般要件
2 新造船の設計段階での考慮
2.1 バラスト水管理装置
2.2 サンプリング
2.3 バラスト水交換
3 管理、制御、および操作上の戦略機能を強化を考慮する設計
3.1 総論
3.2 シーチェスト
3.3 バラスト水取水管
3.4 バラスト水排出管
3.5 取水ストレーナ
3.4 バラストポンプ
3.7 バラストタンク
3.8 制御
3.9 船舶と陸地バラスト移動アレンジメント
 
(9)船上での沈殿物管理ガイドライン(G12)の概要と対応
 船上での沈殿物管理ガイドライン(G12)の構成は、次の通りである。本ガイドラインは、バラスト水管理条約の規則B-5で要求されている沈殿物の除去と廃棄に関する方法と手順を示したものである。我が国としては、特に問題となる箇所は現時点ではなく、適宜対処とした。
 
船上での沈殿物管理ガイドライン
序文
2 定義
3 適用
4 目的
5 沈殿物の取り込み回避
6 沈殿物の蓄積を減らすための設計
7 沈殿物除去のための手順
[8 バラスト水に含まれる以外の沈殿物を最小化するための設計考慮
9 沿岸での沈殿物除去の方法
10 訓練の必要性
 
(10)緊急事態を含む追加方策のためのガイドライン(G13)の概要と対応
 緊急事態を含む追加方策のためのガイドライン(G13)の構成は、次の通りである。本ガイドラインは、バラスト水管理条約の規則C-1に規定されている追加方策を導入する場合の方法及び手順等を示したものであり、我が国としては、特に問題となる箇所はなく、適宜対処とした。
 
緊急事態を含む追加方策のためのガイドライン
第1章 序文
1.1 一般
第2章 国の意図で追加方策を導入するときの評価(規則C-1)
2.1 一般
2.2 評価
地域における有害な水生生物と病原体の進入の問題の記述
特定された問題の原因分析
導入される追加方策の検証
提案された方策の導入の効果と結果
追加方策を設立するとき従う手順
2.4 情報のコミュニケーション
第3章 国が緊急時か異常状況で追加方策を導入するときの評価(規則、C-1)
3.1 序文
3.2 目的
3.3 適用
3.4 緊急対応の計画と、バラスト水緊急対応計画の策定
危険性評価
義務
必要な通知
バラスト水緊急対応計画
3.5 船舶バラスト水非常時の対応プラン
3.6 予防措置
3.7 技術的、科学的協力
3.8 緊急バラスト水交換
付録1 フローチャート−追加方策導入のための手順
 
 G8以外のガイドラインに関しては、2005年4月のBLG9で審議予定である。しかし、現時点で新たに進展したのは、先に記したサンプリングガイドライン(G2)の他には、バラスト水交換のためのガイドライン(G6)の通信部会があっただけである。以下には、通信部会の結果とりまとめられた現G6草案の概要を示す(仮訳は、巻末の参考資料に添付)。なお、我が国としては、特に問題となる箇所は無いと考えられた。
 
バラスト水交換のためのガイドライン
1 序文
2 適用
3 規定
4 責任
5 バラスト水交換要求
6 バラスト水交換に伴う安全上の注意事項
7 乗員の訓練及び業務精通
8 バラスト水交換に関連する将来の検討事項
 
 基準等の条約の見直しに関しては、バラスト水管理条約の規則D-5で規定されており、管理方策の開発状況を基に、MEPC53から検討作業が開始されることになっている。見直し方法に関しては米国が積極的に検討しており、MEPC52においても次の提案文書を提出している。
(1)規則D-5改正のための付託指針(MEPC52/2/13、米国提案)
 よって、当調査研究では、この米国提案文書を解析した。また、MEPC52では、この米国提案を基に条約の見直しについて審議し、MEPC53での継続審議となったが、その草案を次の文書に取りまとめており、この文書も解析して課題を整理した。
(2)バラスト水管理条約の規則D-5規定のバラスト水管理技術の状況審査実行のための推奨事項(MEPC52/WP.7,ANNEX3、後にMEPC53/2/2、巻末の資料集に収録)
 MEPC52における米国提案文書:規則D-5改正のための付託指針(MEPC52/2/13)の概要は、次の通りである。
 この文書は、バラスト水管理条約の規則D-5の下での見直し審査のために、その情報項目の案を附属書で記載している。特に、処理装置の情報に関する情報項目を中心にしており、このフォーマットによって審査することによって、見直しの検討が可能になるとしている。
 附属書(規則D-5再審理のための指導要領の提示)は、見直しの期日、目的、一般情報、審査・情報項目で構成されている。審査・情報項目に関しては、バラスト水処理を含むバラスト水管理方策を船上で実施した場合における、操作・作動及び性能に関する各種情報を提示することになっている。
 本文書に対する我が国の対応としては、見直しを開始する時期としている2005年7月のMEPC53あるいは2006年頃までに、船上試験での各種情報が収集・提示されるかに関しては、大きな疑問が持たれるものの、見直しを行うためのクライテリアとしては特に問題が無いため、適宜対処とした。
 MEPC52では、上記、米国提案文書(MEPC52/2/13)を基に規則D-5に関して審議され、その内容はMEPC52/WP.7,ANNEX3(後にMEPC53/2/2、巻末の資料編に収録)にまとめられている。また、最終化作業はMEPC53で行うこととなった。
 MEPC53/2/2の構成は、次の通りである。
 
バラスト水管理条約の規約D-5に規定されるバラスト水管理技術の状況審査の実施の為の推奨事項
 
審査の為の参照条項
審査の目的
審査手続き
審査基準
一般情報
提出用のフォーマット
入手の可能性
安全性
環境への受入れ
実用性
費用効果
生物学的効果
 
 見直し審査に関しては、バラスト水管理条約規則D-5で規定されている内容であり、実施に関しては特段反対するものでは無い。また、米国が推奨する審査内容に関しても合理的なものであると考える。ただし、船上試験での各種情報は、本来であれば、バラスト水処理装置の型式承認ガイドライン(G8)及び活性化物の使用に関する承認手順(G9)が最終化され、その承認手順にしたがって装置が承認され、船舶に搭載されてはじめて収集できるものである。米国は、G8での船上試験の実施(事前審査あるいは陸上試験の後の試験として)を主張している。つまり、米国案では、正式な承認の前に船上での試験実施をすることになるが、この場合でも情報ソースとしては極めて少ない状況であろう。
 よって、我が国が考える課題としては、見直し審査に関する作業を進行させるにしても、現時点ではG8及びG9の作成を最優先し、早期に運航される処理装置を見いだすことにあると考える。







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