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5.4 塗装耐久試験の実験計画の策定と塗装耐久試験機の製作
5.4.1 塗装耐久試験の実験計画の策定
 当WGにおいて、上記日本提案を検証するためのTSCFガイドラインに記載されている試験法や評価法を調査し、実験計画(資料5-10)を策定した。
 当WGの議論の結果、塗装前の下地処理等の程度ならびに塗膜厚さの耐久性に及ぼす影響についての調査を目的とし、以下の項目を検証することとした。
 
○検証項目
1. 処理グレードの影響(健全なショッププライマーの有無の影響)
2. 処理グレードの影響(継手部等のプライマー損傷部の処理(ブラスト処理、パワーツルーによる処理の影響)
 上記2項目を最優先とし、以下の項目の影響も確認していく。(順番は、優先順位)
3. 塩分濃度
4. ゴミ付着
5. 膜厚
6. 塗料の質
 
5.4.2 塗装耐久試験装置の製作
 当WGにおいて、上記日本提案を検証するためのTSCFガイドラインに記載されている試験法を調査し、バラストタンク環境を模擬した塗装耐久試験装置(バラストタンク腐食試験装置および湿潤試験装置)を設計・製作した。
 各試験装置の仕様は以下のとおりである。
 
1)バラストタンク腐食試験装置(図5-1、5-4参照
1. 船舶の動揺(ローリング)を模擬した装置であること。
 ローリング条件は以下のとおり。
・ローリングサイクル:22〜25/min(固定)
・支点の位置:試験槽の底部から350mm
・角度:垂直に対し±5°〜10°(可変)
2. バラストタンクの環境(4箇所)を模擬した装置であること。
・試験片設置箇所は、上部1枚、側面2枚(ローリング方向に垂直)、底部1枚、合計4枚とする。試験片寸法は400mm×200mm×5mmとする。試験片は額縁方式(樹脂)で固定する。
・試験槽内の海水(自然海水(4%程度の塩分濃度)あるいは人工海水、温度:35℃)は、2週間は1/3まで満たし、続く1週間は底部の試験片の下面直下まで水位を下げること。なお、試験期間内は、この状態を繰り返し可能であること。
・上部に設置した試験片は、船舶の上甲板を模擬した環境にあること。すなわち、デッキ表面(試験槽外の試験片表面)は、12時間50℃、12時間20℃の熱サイクルを負荷すること。
・側面に設置した試験片の内1枚は、試験片板厚方向に20℃の温度差(試験槽外を冷却)を設けること。
・底部の試験片には、直径25mm×厚さ25mmの犠牲陽極を取り付けるので、試験片設置にはこのことを考慮すること。
3. 8ケースの試験(最大試験片枚数:4枚×8ケース=32枚)が同時に実施可能なこと。ただし、それぞれの試験槽は個別に分割されていること。
2)湿潤試験装置(図5-25-5参照
1. ISO6270に準じた試験が可能である装置であること。
2. 試験片は水平面から15°の角度を有した状態で2枚設置すること。試験片寸法は150mm×150mm×5mmとする。
3. 試験室の雰囲気は、底部には40℃±2℃の純水を入れ、試験室内の湿度が100%であること。純水の給水は設置する容器から行うこと(純水は幣所で用意する)。
4. 試験室外(試験片裏面)の温度は23℃±2℃に保持すること。
5. 試験室内には、試験片からの露受けを設置すること。また、水面が観察可能な窓を設けること。
6. 8ケースの試験(最大試験片枚数:2枚×8ケース=16枚)が同時に実施可能なこと。ただし、試験室は個別に分割されていなくてよい。
 
図5-1 バラストタンク腐食試験装置(上段:正面図、下段:側面図)
(拡大画面:101KB)







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