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2002/11/16 産経新聞朝刊
【主張】中国新体制 新鮮さ欠く江時代の延長
 
 中国共産党の新指導部が発足した。トップの総書記には、七十六歳の江沢民氏に代わって、五十九歳の胡錦濤氏が就任し、最高指導機関である政治局常務委員会は九人に増員されたが、胡氏以外の八人は新任で、しかも六十歳前後の第四世代が中心になった。しかし新指導部が清新のイメージを欠いているのは否めない。路線も組織も江政権の延長だからである。
 今十六回党大会の焦点は、江氏ら七十歳超の第三世代から第四世代への政権交代がスムーズに行われるかどうかにあった。形の上では、党史上初めて「正常な交代」ができたかに見える。前政治局常務委員七人のうち、胡氏を除く六人は中央委員会からも身を引き、来春には、兼任していた国家や政府の指導ポストからも外れることが確実になった。政治局のメンバーも一人を除いて一新された。
 これほど全面的な指導部の交代は前例がない。しかしこれを胡体制というのには疑問がある。なぜなら江氏は、総書記は辞任し、来春には兼任している国家主席も辞めることが確実なものの、中央軍事委員会主席には留任したからである。
 中央委員を辞めた後も軍事委主席にとどまり、実権を振るったトウ小平氏の前例に倣ったともいえるが、トウ氏は一九八九年に江氏が総書記に就いた五カ月後に軍事委主席を江氏に譲り、権力の集中を図っている。
 江氏は引退後も「院政」を敷き、次期政権への影響力を行使するつもりのようだ。その点は新政治局常務委員会の絶対的多数が、江氏の側近や江氏に近い指導者で占められていることも同様である。これでは院政どころか、江体制の継続ではないか。その中で胡氏が独自の政策を打ち出すのは難しいだろう。
 実際、胡氏は十五日の記者会見で、私営企業家も入党させ、経済発展を図る「三つの代表」論を指導思想に、江路線を継続することを明らかにしている。江路線は上海など沿海部の発展を重視、内陸部との格差を広げ、失業増加や腐敗を深刻化させた。
 そうした社会矛盾を解決するには、表現の自由の保障を含めた政治改革が不可欠だが、胡氏には今のところ多くは期待できそうもない。
トウ=登におおざと
 
 
 
 
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