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解剖学への招待

 事業名 篤志献体の普及啓発
 団体名 日本篤志献体協会 注目度注目度5


解剖学実習を終えて
広島大学医学部保健学科 原口尚子
 
 私は将来理学療法士になるために解剖学実習を行いました。大学に入学した時から解剖学実習は大変だと聞いていたため、正直言って実習が始まる前から嫌だな、と思っていました。実際、解剖学実習は予習など大変だったし、楽なものではありませんでした。しかし、この実習で本当に大きなことが得られたと思います。
 まず、何よりもヒトの身体についての理解が得られました。もちろんすべてを理解できたわけではなく、一部分にしかすぎません。けれどもそれまで図や文字など紙の上でしか勉強したことがなかったものを実際に自分の目で見て、手で触れて、考えたことは、それまでどれだけ勉強していたとしても比較できないくらい、自分の中に刻みつけることができたと思います。私たちは主に筋・神経・血管・関節を学びましたが、筋の弾力性、腱への移行の仕方、神経の太さ・丈夫さ、動脈・静脈の判別、関節包などなど、挙げればきりがないほど、それまで言葉でしか知らなかったものを実感することができました。今ではそれらが頭の中でちゃんとイメージすることができます。これからはさらに知識を身につけ、そのイメージを確かなものにしていかなければならないと思います。
 次に、パートナーと話し合いながら実習を進めていくことで、考えようとする力と協力して進めていくということが得られたと思います。これは〜〜ではないか、それはこっちではないか、など二人で意見を出し合いながら行うことで理解を深められました。解剖学実習は私一人だったら絶対にできなかったと思います。自分だけの知識よりも、二人の持っているものを出し合うことでお互いが共有でき、また相手の知識も自分のものにすることができてとても得した感じになります。実際の医療現場においても、医者や看護師、その他医療スタッフ、患者様やその家族と話し合い、考えを出し合いながら治療を進めて行かなければならないと思います。医療は一人ではできません。そういった意味でも、解剖学実習がグループで行われたことで大きな力になったと思います。
 そして最後に、私たちはとても恵まれていると実感しました。将来理学療法士・作業療法士になって社会に貢献できるようにと、私たちのまわりの環境は多くの方々に支えられているのです。献体してくださった方、ご遺族の方々に心から感謝したいと思います。医療の発展のためにとご協力いただいた方々の希望に応えられるよう、私はこれからさらなる努力をし、人々の役に立てる医療人になろうと思います。本当にありがとうございました。
 
専門学校社会医学技術学院理学療法学科 藤本英明
 
 運動器の障害をもつ個人に多く接していた臨床にいた頃、解剖学の重要性を強く感じていました。教育の現場に移り、その思いはさらに強くなっていました。今回、解剖実習セミナーに参加させて頂くという貴重な機会を与えて頂けたことに感謝するとともに、私自身の課題も浮き彫りになってきたと思っています。
 
 以前より、身体や疾患名で細分化して個人をとらえることをよく批判しておりました。しかし他ならない私自身が細分化してとらえていたことを実習中に痛感しました。それは、実習中部位毎に興味のある部分にばかり目がいっている、そんな自分がいることに気づいたからです。全身のあらゆる部分に張り巡らされた血管、神経、軟部組織、解剖書でみる平面ではない立体構造、身体の合理性と脆弱性、様々なことが80年以上の生を遂げた一人の個人に改めて、教え諭して頂けたのだと思ってます。この経験をいかに教育や臨床にいかしていけるのか、伝えていくことができるのか、考えていかなければならない課題であると感じています。
 
 最後に御献体をなされた全ての方に感謝を申し上げるとともに、そのご冥福をお祈りいたします。ありがとうございました。
 
東京YMCA医療福祉専門学校 堀田晶子
 
 人体解剖実習見学に初めて参加して、多くの学びがあった。そしていろいろなことを考えさせられた期間だったと思う。
 最初の献体についてはいろいろなことを思わされた。私は「白菊会」という献体を登録できる団体を初めて知った。「人生の最期に自分たちの体を献体することによって役に立ちたい」という思いで登録される方が多いと聞いて、浮わついた気持ちで実習に臨んではいけないと思った。もし自分の知っている人や身内が人体解剖に出されていたらと思うと、その献体を大切に扱うと思う。
 献体に出すということは多くの人に見られなければならないし、臓器を取ったり切ったりされなければならない。当人が登録することはとても決断しがたいことだと思う。そしてその家族の了解も大変な決断だったと思う。献体をされた方はたくさんのことを承知で登録される。とても大きな勇気だと思う。それは「私の体を使って多くを学んで、これからの役に立ててください」というメッセージに聞こえた。私はとても厳かな気持ちで今回の実習に臨もうと決意をした。多くを学んで次に生かすことが、献体をされた方への恩返しだと思うからだ。
 そして私が今回見させていただいた献体は、窒息死をされた五十代の女性だった。その肺の部分は息を最後に必死に吸ったと思われる。赤くなり、肋骨が浮き出ている部分が残っていた。それを見たら、悲しい気持ちになった。たとえ遺体とはいえ、その時の状況を明確に残しているものだと思った。
 最後に私は将来医療の仕事(作業療法士)につき、一人でも多くの方に最善の治療をしたいと思っている。今回人体解剖実習に参加して、勉強ということもそうだが「生きる」ということについて考え、学んだ三日間だったと思う。この偉大な体をいただいて生きていくことをもっと大切にしたい。そしてその身を献体して、一生を終えた方とその家族の方に敬意を示すと同時に一人でも多くの方の役に立ちたいと思った。そしてもっと「生きる」ということを大切にしたい。
 
栃木県南高等看護専門学校 吉野晴香
 
 はじめは、正直言って遺体を見るのが怖かった。私は、亡くなった方をあんなに近くで見た事がなかったため驚いた。黙祷をした時、献体を申し出て下さった方々の気持ちを無駄にしないように、一生懸命勉強させていただこうと思った。教科書に書かれてある事を覚えたり、写真や図でしか今までは勉強した事がなかったが、今回、実際に人の解剖を目で見て、手で触れてみた事はとても貴重な経験になった。臓器の大きさや形の特徴など、文字で覚えるよりも、今回のように、自分で持ってみて、触ってみて覚えた事の方が一生忘れないと思った。臓器の位置関係や筋の様子など、実際に見る事ができ大変に勉強になった。上腕二頭筋は、本当に2つに分かれていたり、教科書の図の筋の走行と実際にみた筋の走行が同じだった事に、当たり前の事だが感心した。小腸と大腸も境目があまりにもはっきり違い、分かりやすく名前は似ていても、本当に作用も形も、特徴も全く違う臓器なんだという事が改めて再認識することができた。
 私は、献体を提供して下さった皆様に深く感謝しています。そして、説明して下さった先生方、本当に良い勉強になりました。ありがとうございました。
 
杏林大学保健学部 松本誠治
 
 生物学の講義と実習を担当している関係で、医学部の解剖学実習を一度は見学したいものと思っていました。昨年のセミナーに参加のお誘いを受けたときは、校務と重なり参加できませんでした。今回の実習セミナーには是非にと申し込みはしたものの、見学ではなく実習ですから、自分にどれだけのことができるのか不安でした。
 私の班は4人でしたが、実習予定と説明を聴いた後、実習書を見ながら予定をこなしていく医学部3年生のNKさんの手際よさは、前年の解剖学実習の経験が生きていることがわかり、教育の重要性を再確認しました。コメディカルスタッフを目指すTMさんは、解剖を進めながら、これが何々、これは何々と筋肉、神経、血管の名称を確認していたその知識と熱意に感心しました。作業療法士養成課程の教員であるNT先生は、作業療法中の皮膚の下での出来事をイメージできると、作業の途中に腕、足、指などを動かして、その動きにつれて筋肉がどのようになるか、それに伴う腱や神経、血管の位置関係の変化を丁寧に確認されていました。私はと言えば、体の場所による皮膚の厚さの違いに驚き、手足を走る動脈や座骨神経の太さに驚き、また、血管分布の細かさ、血管や神経の走行の合目的とも言える的確性と多様性とに感心し、驚きと感心の連続でした。
 作業前のS先生の説明では、神経の走行や支配部位、筋肉の名称や作用について、生物進化や個体発生に関連させて解説して下さいました。私には、そのことが理解を深める助けとなり、実習内容を身近なものにしてくれました。また、実習中に巡回してご遺体の各部分を剖出、説明して下さったM先生の手際にみとれました。
 今回の実習セミナーに参加して思うことは、ヒトに関係した職業に就いている方、これからそのような仕事に就く方は、一度はこのような実習を体験するといいということです。ご遺体に対面し、ご遺体にふれることは、実際にどれほどのこともできなかったとしても、生物としてのヒト、人の生と死、そして人間の尊厳を考えるきっかけを与えてくれます。実習セミナー参加の機会を下さった保健学部、医学部の関係各位、ご遺体、そしてご家族に改めて御礼を申し上げます。
 
杏林大学大学院保健学研究科 藤田勲
 
 解剖実習を終えて、はじめに指導してくださった松村先生や白石先生、そしてご献体くださった方とそのご遺族の方々の厚意に感謝します。ありがとうございました。
 私は、今までに大学において解剖見学や病院実習の中で解剖を行っているのを実際に見て、触れて、解剖の観察をするということはしていました。しかしメスやハサミ、ピンセットを用いて自分たちで解剖を行ってみてどんなに大変な作業であるかがわかりました。実習中は時間の過ぎるのが本当にあっという間で、先生方のサポートおよびその場での説明がなければとても間に合いませんでした。その苦労の分、教科書上の知識を実際の体の部位と一致させて理解することが出来たと思います。
 今回、特に印象に残ったのは上肢における血管と周囲の神経の走行をじっくり観察できたことです。様々な採血を行う際に神経を傷つけ障害を起こすことがあるということ、皮静脈の走行には人によってバリエーションがあること、そして傷害を受けた場所によっては典型的な症状が現れたり、程度も異なるという講義を受けた後、実際にご献体を通して自分の目で確かめられたからです。ただ日程の都合で内臓まで詳細な観察ができなかったのは少々残念でした。
 最後に、今回のような解剖セミナーは普段ではできない貴重な体験であり、人体の構造がどんなに精密かつ柔軟になりたっているかを知るには最適の場であったと思います。
 今後もぜひこのような機会を設けていただきたいと思います。4日間ありがとうございました。
 
あとがき
 『解剖学への招待』平成十六年度版をお届けすることができました。
 
 医学・歯学教育の最も基本ともいえる解剖学の教育に欠くことのできないもの、それが人の体です。解剖体は篤志の方々の尊いお志によっています。献体を希望された方々は、すすんで自分の体を提供し学生が学ぶことにより医学・歯学の発展のために役に立つとの誇りを持っておられます。
 
 一方学生は解剖学実習にあたっては一大決心で臨みます。そこで解剖体が本人の生前の意志であることを知り人体の構造を学ぶだけでなく、献体者の気持ち、家族のこころなどを想い、友情を知り、医の倫理など医師・歯科医師の人生を左右するほど多くのものを学び取ることができます。
 
 献体者も学生もともに将来は病を治し、苦しむ人達の支えとなり、生きる力を与えられる医師・歯科医師を目指そうとの気持ちがこの冊子から読み取れるのではないかと思います。
 
 この冊子が献体運動への理解を深めることに役立つことを祈っております。
 
平成十六年十一月十二日
(財)日本篤志献体協会
篤志解剖全国連合会
編集委員一同







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更新日: 2019年8月10日

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