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九州ブロック 平成16年12月12日
 
大分県
 
【今年度作成配布したリーフレットより】
 
肢体不自由者に対するグループホーム制度整備のための調査研究
〈重度身体障害者グループホーム制度の創設〉
 
■なぜ、重度身体障害者グループホームなのか
■課題と対応
■地域生活への支援体制について
■提言(2003年度)
 
社団法人 全国肢体不自由児・者父母の会連合会
 
なぜ、重度身体障害者グループホームなのか
 
 知的障害、精神障害のある人の地域居住については、グループホーム(地方自治体においては、「生活寮」「生活ホーム」等多様な名称が使用されている)が制度化されています。しかし、身体障害のある人の地域居住についてグループホーム的な制度はなく、福祉ホームが制度化されています。ここで言う「重度身体障害者グループホーム」とは、重度の身体障害のある人が利用できるグループホームということの名称としています。
 グループホームは、障害のある人の地域居住として、好ましいものといえますが、福祉ホーム同様重い障害のある人たちが利用することは困難です。
 「社会福祉基礎構造改革」等において、障害のある人も地域で必要な支援を受けながら生活することが示されました。身体障害者に対するグループホーム制度も国の制度としてはありませんが、一部の地方自治体では、事業として実施取り組みが行われています。東京都や横浜市、大阪府、大阪市、堺市等、また、医療を必要とする障害者のグループホームにも取り組んでいる地方自治体もあります。
 しかし、基本的には現在の制度化されている知的障害者グループホーム制度に介助加算がされている場合や福祉ホーム(国の制度)に上乗せした補助がされている場合があります。
 現在では施設から移行という利用の形に加え、親と同居していた人がグループホームを利用するようになりました。また、比較的障害の重い人も現実に利用している実態もあります。
 このため全肢連では現在、基本的に地域居住の制度として重度身体障害者グループホームが位置付けできるよう、重い障害のある人も利用できるグループホーム制度の創設に向けて調査研究を行っています。
 
課題と対応
 障害の重い人たちが、地域で安心して暮らすことのできる重度身体障害者グループホームを運用するためには、解決しなければならない課題があります。
 
(1)不動産・住宅(土地・建物)の確保
 グループホームの規摸について、基本的に車いすで移動できるスペースの確保とバリアフリーが必要となります。もちろん、重い障害のある人には落ち着いた環境が必要となります。そのためにも、基本的にグループホームの規模は3〜4人の利用が望ましいと思われます。
 また、住宅や土地の確保には大家・地域住民の理解が必要となりますが、どのような種別の建物をどのような方法で確保するかが問題となります。どのような建物(戸建、民間、公営等)をどのような建築(新築、改造等)でどのような所有(賃貸、自己所有等)で確保するのか問題で、建物を建てる段階よりグループホームとして新築・新設してもらうことが望ましいと思われます。公営住宅の利用についても利用する側の積極的な姿勢と建設時からグループホームとして利用しやすい設計や仕組みを考えてもらうことが大切となります。
 
(2)人材の確保
 世話人について、重い障害のある人の生活を支援するために365日24時間の支援が必要です。このため、2〜3名の世話人の確保が必要になりますが、労働時間等、雇用上の問題もあり成り立つのは困難です。
 また、世話人にもある程度の障害に対する知識と技術の専門性が必要とされてきています。このように、世話人の複数配置を可能にすること、世話人の専門性の確保など、重い障害のある人への人的支援の充実を図ることが必要です。
 
(3)ホームヘルプサービス利用について 〜支援費制度の活用〜
 福祉ホームやグループホームでのホームヘルプサービスの利用は現在可能とされています。そのため、重い障害のある人が利用する重度身体障害者グループホームにおいて、どのようなホームヘルプサービスが必要か、そしてそれを実際利用できることが必要とされます。
 家事援助や食事作りなどはホームヘルパーを利用し、世話人は障害者との対応や全体的な支援を行い、家事援助はホームヘルパーに全面的に依頼することが必要です。重い障害の人がグループホームを利用できるようにするには、世話人の複数確保と必要なサービスとしてホームヘルプサービスを上手に利用することが重要となります。
 
(4)利用条件について
 「数人で共同の生活を送ることに支障がない程度に身辺自立ができていること」「日常生活を維持するに足りる収入があること」など、従来のグループホームを利用する場合の利用条件として、いくつかの要件がありますが、重い障害のある人がグループホームを利用する場合の要件としては、あてはまらず、重い障害のある人でも、日常生活の援助を受けながら、地域居住を可能にするためにも、この要件を検討していく必要があります。
 
(5)所得保障について
 グループホームの暮らしは普通の地域での暮らしですので、食費や光熱水費など個人負担となります。しかし、就労ができない人の収入は障害基礎年金や作業所などの収入だけとなります。これでは、十分な自己負担はできない状況です。また、都市と地方において、食費や光熱水費などには大きな格差はないものの家賃に関しては大きな格差が生じています。利用者への負担は大きく地域生活への障害となっている要因の一つです。一部の地域では家賃の捕助を行っていますが十分とはいえません。
 具体的な支援については、障害という本人の責任からは生じない部分について、社会的な支援、負担と考え今後、社会保障の充実が求められます。
 
地域生活への支援体制について







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