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東京都小平市 重度身体障害者グループホーム「一歩」
目的:「一歩」は、重度(規定では身体障害者2級以上)の身体障害などを持つ人たちが、地域で自立生活をするためのグループホームです。
 障害を持つ人が、ここで介助や援助を得ながらおのおのの作業所や活動センターに通い、夕方に戻ってくるという、普通の生活を築くことを目指しています。
 また、「一歩」の住人は地域の一員として暮らし、「一歩」は地域の共有財産として活用するようにします。
 
設立まで
 「一歩」は、平成13年に制定された東京都重度身体障害者グループホーム(B型)実施要項による最初の施設です。そこに至るまでには、小平市内の身体障害児の母親たちが(小平市肢体不自由児者父母の会)中心となった、小平市や東京都に対する粘り強い働きかけなどがありました。
 この母親たちの会が、「ふきのとう」という名称で、レスパイトや緊急一時保護事業を独自に営んできたことも、このグループホームの下地になっています。
 また、社会福祉法人ときわ会は、全国的にもっとも早い時期から、身体障害だけでなく知的障害や精神障害を持つ人の作業所を設置・運営してきましたが、重度の身体障害を持つ人のためのホームが望まれました。
 本グループホーム制度の実施主体は小平市ですが、ホームの設置と運営は、こうした実績と計画を持っていた社会福祉法人ときわ会が行っています。
 
住まいとしての「一歩」
 全員が個室ですが、家庭の個室のようにどちらかというと開放的で中の様子は見なくてもある程度わかることがあります。鍵はついていますが両方から開けられるもので、ないと同じです。また、何かあっては困るという親と本人の要望があって、職員の出入りは自由ということになっています。個室が開放的か自分だけのものになっているか、職員の出入りがどうかに、そのグループホームの特徴があります。
 「一歩」の場合は、自分の緊急事態を人に知らせることができない人が多いこともあり、プライバシーを尊重しながらも安全を重視しています。火災になっても全員自分で避難することはできないので、対策として熱感知器と煙感知器を設置して、火災の際には東京消防庁へ自動的に通報されるようになっています。また、全館禁煙となっています。なお、事故を防ぐために関係者は毎年、救命救急訓練(人工呼吸、心肺蘇生法等)を受けています。
 
グループホームの特徴
 グループホームの最大のメリットは規模が小さいということです。そのため、一人一人の入居者が個人として尊重されることが多く、各自の希望や好みを取り入れた運営がしやすくなります。入居者全体を一括するような管理や運営、あるいはルールなどはほとんど必要ありません。入居者同士の刺激や影響もメリットの一つです。スタッフや親の百の説教よりはるかに入居者同士の刺激や影響の方が説得力があります。
 グループホームに入居した場合には、生活の場はグループホーム、日中の活動は会社や作業所やデイケアセンターでと職住の分離が可能になります。日中は一定の緊張した活動をし、夜はグループホームでゆっくり過ごして翌日のエネルギーを培うという緊張と緩和のリズムが生活の中にできます。
 グループホームは街の中につくりやすく、入居前の同じ作業所などに通うなど、これまで生活してきた地域の一員としての暮らしを継続しやすくなります。
 
重度身体障害者グループホーム 一歩
1階平面図
 
2階平面図
 
3階平面図







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