蝋燭掛け工程
(1)芯巻き
燈芯となる芯作りの作業です。まず芯の下に巻く生紙・和紙を蝋燭の大きさにより、例えば十匁、七匁、五匁など寸法に合わせて切ります。
芯巻き 芯巻き串に生紙を巻き、 イグサを2本くらいずつ巻いていく
巻き上がった芯
次に芯巻き串に和紙を巻いていく。そこに先の方からイグサを二本ぐらいずつ巻いていきます。巻き終わりは真綿をからめて留め、最後に全体に薄く真綿をからめます。
イグサは、柔らかく、ポツン、ポツンと切れやすいので、これを切らずに一定の厚みにして巻き上げるには技術を要し、根気のいる作業です。
(2)芯湿し(芯堅め)
巻いた芯に蝋を湿し芯を固める作業です。六十度〜七十度くらいの温度に溶かした蝋に、串にさした燈芯をひたす作業です。蝋を全体に浸したら(数秒)、少し乾かし、串を抜きます。蝋の温度が熱すぎると串から抜けなくなることがあります。
岐阜の研修先では、巻き芯の先と根元だけを蝋に浸す。ということでしたが、その方法だと蝋掛けをした後、串から抜けないものも出てきたので、私たちは、全体に蝋を湿すことにしました。
(3)蝋掛け
蝋を鍋に入れ、あまり高温にしないようにしてとかします。生蝋がとけると茶色になり、泡などもでてくるので、不純物やゴミを取り除くためフルイにかけてロウブネ(蝋舟)にあけます。温度管理が非常に重要で、五十度〜六十五度くらいに保つように度々温度計で計ります。別に電熱器に掛けた鍋にとかした蝋を保温し、下がったら、それをヒシャクですくって混ぜ温度の調節をします。
巻いた芯に蝋を湿し芯をかためる
ロウブネの蝋は、あまり熱くても蝋がつきにくく、温度が低いと一度に多くの蝋が掛かり太くなりますが、あまりいい蝋燭ができません。薄く何度も掛けるのが良く、蝋燭の持ちがいいそうです。
蝋を鍋に入れてとかす
最初に串に薄くマシン油を塗ります。これは最後に抜けなくなるのを防ぐためです。次に芯湿しをした巻芯を串にさし、芯棒の先を石鹸水またはマシン油にひたし、後で芯出しをしやすくします。
二本か三本づつロウブネにひたし、一回蝋を掛けるごとにロウタテバコ(蝋立箱)に蝋燭の先を下に立てかけ乾かして、順次掛けていきます。一通り終ったら最初の蝋燭にもどり繰り返し掛けていきます。この時ある程度間をあけないと蝋燭に横ヒビが入ってしまうので、注意して作業する必要があります。
また、始めの五回くらいは、先の方を太くするために、真ん中くらいまで掛けます。
一回(一日)掛けるのは四〇本くらいが適当です。
蝋がけ ていねいに芯の先から蝋を掛ける
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