図1.1-16 燃焼器尾筒
図1.1-17 遠心圧縮機インペラ
SMGT2では信頼性の向上の為に定格点のタービン入口温度をSMGTより50℃下げることとしたが、ガスジェネレータ部についてはSMGTの成果を有効に使用するため基本的に同じとした。このため、ガスジェネレータの定格点条件における回転数、圧力、空気流量が変わらないようにSMGT2ではパワータービンについて新設計を行った。
平成14年度に、パワータービンモジュールの設計・製作を行い無負荷慣らし運転まで終了した。平成15年度は、負荷試験などの各種試験を実施し、第1回の耐久試験を行い、第2回の耐久試験を開始した。また、パワータービンの信頼性向上のため、NO.3及びNO.4軸受を転がり軸受から滑り軸受への変更を検討し、改良設計を実施した。平成16年度は滑り軸受を製作して運転に適用し、滑り軸受の作動確認試験、第2回耐久試験および第3回耐久試験、性能試験等を実施して性能及び信頼性を確認した。
1.2.1 パワータービンの設計
表1.2-1に示す設計仕様をもとにパワータービン部の子午面流路形状、速度三角形設計、翼型設計、振動解析等について詳細設計を実施した。
(1)速度三角形及び流路設計
パワータービンの子午面流路形状を図1.2-1に示す。流路形状については、他機種パワータービンにて実績のある内径一定の形状とした。速度三角形は半径方向の分布を考慮し、各翼列の効率、各段での負荷配分、転向角等を検討して設計を行った。また、パワータービン出口以降の排気ディフューザ部の圧損が大きいとパワータービンの膨張比がとれなくなり所定の仕事ができなくなるため、パワータービン出口の流速を抑えるとともに、負荷配分を調整して2段ブレード出口の流出角がほぼ0となるようにした。主要3断面での速度三角形を図1.2-2に示す。
(2)空力設計
前項の速度三角形に基づき、各ステージの翼について空力設計を行い、流れ解析によって翼間流れの妥当性について評価を行った。各段の翼断面形状及び翼型を図1.2-3に示す。これら翼型について実施した翼間流れの圧縮性流れ解析結果を、図1.2-4に示す。翼面マッハ数は滑らかに変化し、翼間マッハ数にも急加減速している領域は無く、問題ない翼型が得られた。2段ノズルについては図1.2-5に翼型と流れ解析より得られた翼面のマッハ数分布を示す。他の翼と同じく翼面マッハ数は滑らかに変化し、損失の少ない翼型を作成することができた。
(3)強度解析
前項の空力設計により得られた翼部形状をもとに、強度解析及び固有振動数解析を行った。ブレードとディスクの一体の強度解析結果例を図1.2-6に、また第1段ノズルの強度解析結果を図1.2-7に示す。第2段ノズルの強度解析結果を図1.2-8に示す。ブレード、ディスク、ノズルとも問題ない応力であることを確認した。
また、1段および2段ブレードの固有振動解析により得られた振動モード図をそれぞれ図1.2-9および図1.2-10に示す。翼振動解析の結果、問題となる共振点の無いことが確認できた。
(4)構造設計
前項までの流路及びディスク形状を実現する構造を検討した。パワータービンの構造図を図1.2-11に示す。ディスクとシャフトの締結方法は、パワータービンシャフトにメインシャフトを組み付けて締結を行うこととした。
本構造図内に示すロータの固有振動解析を実施し、問題が無いことを確認した。
1.2.2 パワータービンモジュールの製作
前述の設計結果に基づき、鋳物素材の形状の検討、加工方法の検討を行い、ケーシング等との取り合い形状や寸法、公差を確認したうえでパワータービン部およびモジュール全体の製作を行った。
1段及び2段ブレードの完成品写真を図1.2-12に示す。1段ブレード及び2段ブレードはチップシュラウド付きを採用した。また、2段ブレードをディスクに植翼した2段タービンロータの写真を図1.2-13に示す。第1段ノズルの写真を図1.2-14示す。第2段ノズルの写真を図1.2-15示す。1段、2段ノズルともに一体型の精密鋳造部品とした。さらに、図1.2-16にパワータービンシャフトの写真を、パワータービンロータアッシの写真を図1.2-17に、パワータービンモジュール組立写真を図1.2-18に示す。
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