日本財団 図書館


水質
水質を調べる実験
「私たちの海や川の水はきれいかな?」
 水は私たちの生活に欠くことのできない大切なものですが、空気と同じようにあまり身近すぎてそのありがたさを忘れがちです。言うまでもなく水は動植物体の生命の根源をなすもので、私たちの体内の水から海水に至るまで、種々の形で人間の生活に係わっています。日本人は古くから豊かで、きれいな水に支えられて来ましたが近年、人口増や工業化社会の豊かな生活のためのひずみとして、水の量や質の維持に問題が生じてきています。世界的にみても水質汚濁は広まる傾向にあり、水資源の確保は深刻な問題となっています。
 ここでは、雨水、河川水、海水など身近な自然水の水質を調べる方法を学ぶとともに、水質の違いがそこにすむ生物の種類に反映されていることを野外に出て調べてみましょう。
 
目的 雨水や海水など身のまわりの水の酸性度を測り、水の酸性度についての理解を深める。特に近年問題となっている酸性雨が実際降っているかどうかを明らかにする。
 
準備するもの
・ビーカー ・リトマス試験紙 ・万能pH試験紙
・pHメータ ・ろうと台 ・pH4標準液
・pH7標準液
<サンプル>
・雨水 ・海水 ・河川水 ・家庭用洗剤 ・酢
・1%水酸化ナトリウム水溶液 ・ジュースなど
 
手順
(1)サンプルをビーカーに約100mlとり、リトマス試験紙でそれぞれの酸性度を測定する。
 
 
(2)万能pH試験紙でそれぞれのサンプルのおおまかなpHを測定する。
 
 
(3)pHメータを用いて、サンプルのより正確なpHを測定する。
(4)特に雨については、降り始めからの水を集めてpHを測定したあと、2〜3回雨水を集め、手順(1)と同様にしてpHを測定する。
 
考察
(1)ここで測定したいろいろな水のpHの一覧表を作成し比較しなさい。
(2)雨の酸性度が高くなる原因について考えてみよう。
(3)降り始めと、降り始めから一定時間経過したあとの雨水の酸性度の違いが見られたら、その原因を考えてみよう。
 
応用
(1)種々の水のpH測定で、違ったpH試験紙を使ったときや、pHメータで測定したときのpH値の変動を観察してみよう。
(2)植物の葉や花にpH2、3、4、5の硫酸溶液をスプレーで吹きかけたときの変化を観察してみよう。
 
 
目的 実験1と同様に身のまわりのいろいろな水について、汚染の目安となるCOD(化学的酸素要求量)を測定する。
 
COD(化学的酸素要求量)
 水に溶けた有機物などの酸化されやすい物質を酸化したときに、使われる酸素の量を表す。
 この数値は一般に小さいほうが望ましい。
 
準備するもの
・ビーカー ・CODパックテスト
<サンプル>
・雨水 ・海水 ・河川水 ・家庭用洗剤
・酢など
 
手順
(1)いろいろな水について、市販の簡易COD測定キット(パックテスト)により、図のようにCODを測定する。
 
〈パックテストによるCODの測定〉
(1)
チューブ先端のラインを引き抜きます。
 
(2)
指で強くおして、中の空気を追いだす
 
(3)
穴のあいた方を水に入れて、半分くらい吸い込む
よく振りまぜ、5分後に標準色表と色を比べる
 
考察
(1)上記の実験で得られたサンプルのCODを図表に表してみよう。
(2)食品工場や食堂のあるところからの廃水や、同じ川の上流と下流の水についてCODを測定し比較しなさい。







日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION