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電気
ボルタの電池・くだもの電池
「ジュースやくだもので電気を起こそう!」
 
実験 ボルタの電池
目的 2種類の電極を電解質溶液に入れた簡単なボルタの電池を作成し、電流発生の原理を知る。
 
準備するもの
・銅板 ・亜鉛板 ・導線 ・マルチメータ
・ワニ口クリップ ・ビーカー ・紙やすり
・果物ナイフ ・果物(リンゴ、レモンなど適量)
・2%希硫酸 ・3%過酸化水素水 ・ピペット
 
<負荷>
・まめ電球 ・電子オルゴール
・電子ブザー ・プロペラつきモーター
・発光ダイオード
 
手順
(1)まず銅板、亜鉛板を紙やすりでよく磨き、図のように接続してボルタの電池を組み立てる。
〈ボルタの電池〉
 
(2)マルチメーターで電圧を読みとり、また豆電球の発光やプロペラがまわるのを確認する。
 
(3)時間がたち、電圧が下がったら過酸化水素水を滴下し、もう一度電圧を読み取る。
 
(4)リンゴ(又はレモン)に銅板、亜鉛板を差し込み、発光ダイオードの発光の度合いや、電子オルゴールの音を確認する。
 
ボルタの電池
 
考察
(1)電解質溶液(硫酸など)の希硫酸に亜鉛板と銅板を浸すと亜鉛(Zn)は亜鉛板上に電子を残して亜鉛イオン(Zn2+)となって溶液中に溶け出し、亜鉛板に電子がたまる。一方、銅板上では溶液水の水素イオン(H+)が電子を受け取り、水素ガスが発生する。従って電流は外部回路を銅板から亜鉛板のほうへ流れる。これら電流発生の様子や正負の符号を図に書き表しなさい。
(2)各電極の表面の状態変化を注意深く観察し、過酸化水素水の添加がどのような作用をしているのか考えよう。
(3)亜鉛板をマグネシウムリボンと取り替えた場合、どのような変化が見られたか。またその理由を説明しなさい。
 
応用
 リンゴのような果物を使った電池で、リンゴの代わりにバナナ、大根、豆腐、ジュースなどを使ったらどうなるか考えよう。
 
 
太陽光を利用しよう!
「太陽電池で遊ぼう!」
 私たち人間を含め、地球上のあらゆる生物は、さんさんと輝く太陽の恵みで生きています。しかしこの無尽蔵のクリーンなエネルギーは地球上全体に薄く分散されているので、これを直接発電や熱源にするには技術的難しさがあります。今、もっともよく利用されているのは太陽熱を利用した温水器や、卓上計算機などに使われる太陽電池です。太陽光を電気エネルギーに変換する太陽電池も次第に研究が進み、21世紀初めには実用的な大型の太陽光発電所ができるのも夢ではなくなってきています。
 
目的 市販の半導体を用いた太陽電池を使い太陽光が電気に変換されることを観察し、その原理を知る。
 
準備するもの
・小型太陽電池 ・マルチメータ
・蛍光灯 ・ワニ口クリップ
 
<負荷>
・電子オルゴール ・電子ブザー
・プロペラつきモーター ・発光ダイオード
 
手順
(1)図のように太陽電池を接続してセットする。
 
 
(2)直接日光の下で電流発生の様子を観察する。
 
(3)同様に暗室での電流発生の様子を観察する。
 
(4)日陰や蛍光灯の下での電流発生の様子を観察する。
 
考察
 太陽光エネルギーを電力に換算すれば、年間平均して地表1平方メートルあたり約200Wである。上記の実験で太陽光の電気エネルギーヘの変換率は何%になるか、概算で出しなさい。
 
応用
 化学電池は電気をためた池、すなわち蓄電機能を持つものですが、太陽電池は蓄電機能は持っていません。ただ光のエネルギーを電気エネルギーに変換するための装置です。
 しかしある一面は化学電池に似ているところもあります。太陽電池が2個以上あれば、それらを直列につないで電圧や電流の変化を観察すれば化学電池と似ていることが分かります。
 
 
環境中の放射能を見つける実験
「身のまわりの放射能を調べてみよう!」
 私たちが住んでいる地球は約46億年前に誕生したといわれていますが、その地球のもとになる物質はそれより更に60億年も前からさまざまの核反応によってつくられたのです。したがって、今でも地球上にはおよそ100種類もの天然の放射性物質が存在し、また宇宙空間からは昼夜の区別なくたえず宇宙線が入射しています。この章ではそれら天然放射能を実際に見つけ出して測定し、また放射線の性質を理解するための実験を列記しています。また地球に突入してくる宇宙線を霧箱の中の飛跡として観察することも可能です。
 
目的 放射線を簡単にはかれる2、3のサーベーメータの取扱い方法を学び、実際に身のまわりの放射線を測定して、放射性物質についての認識を深める。
 
準備するもの
・放射線サーベーメータ各種 ・岩石数種類
・化学肥料 ・昆布 ・放射性鉱物
 
手順
(1)手もとにあるいくつかの型のサーべーメータを取扱い説明書にしたがって作動させる。
(2)それらのサーべーメータを用い、周りに放射性物質のない状態で放射線測定を行う(バックグラウンド)。
 
左:シンチレーション式サーべーメータ
中:電離箱式サーベーメータ
右:GM式サーベーメータ
 
(3)サーべーメータの検出器を、次のものに近づけて放射線測定を行う。
a. 花こう岩の塊り
b. 化学肥料
c. 放射性鉱物
d. 乾燥コンブ
 
考察
(1)いくつかのサーべーメータで、バックグラウンドや岩石、鉱物等を測った結果を一覧表に表しなさい。
(2)測定した岩石や鉱物の放射線は何に起因すると思いますか。
(3)バックグラウンドの放射線もゼロではありません。その放射線は何に起因するか考えよう。
 
応用
 サーべーメータの違いによって、同じものを測っても値が異なるのはなぜか考えよう。
 
 
目的 べータ(β)線やガンマ(γ)線はかなり物質を透過する力をもっている。そこでβやγの線源と計数器の間にアルミニウムや鉛の吸収板を置き、それら放射線の透過力(逆に言うと物質による吸収のされ方)の違いを見る。
 
準備するもの
・β線源 ・γ線源 ・GM計数管 ・スケーラ
・吸収板(アルミニウムや鉛) ・線源支持台
 
手順
(1)GM計数管の近くに放射線源を置かない状態での計数率を測定する。(10分間、バックグラウンド)
(2)図のように、線源、吸収体、計数管をセットし、計数率の測定を始める
 
放射線の透過力を調べる
 
(5分間、放射能強度は一番薄い吸収板を置いたとき、10000カウント/分くらいになるのが望ましい)。
(3)吸収板の厚さを順次変えて放射能強度を測定する。
(4)最後にもう一度バックグラウンドを測定する。
 
吸収曲線の1例
 
考察
(1)上の手順の(1)と(4)で測定した値からバックグラウンドの平均値を求めます。(1)と(4)の値が必ずしも一致しない理由を考えなさい。またそれぞれの測定で、1分間の計数値にも変動があることを確かめよう。
(2)各吸収板を置いて測定したときの値から、バックグラウンドを差し引いた計数率(cpm)と吸収板の厚みの関係を片対数グラフに描きなさい。(計数率を対数側にとる)。
(3)手順の(3)の実験をβ線源とγ線源について行い、吸収曲線の違いについて考えてみよう。
 
応用
 吸収体として木材、プラスチック、鉄、コンクリートなどをつかったとき、放射線の吸収の度合いはどのように変化するかを考えてみよう。







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