日本財団 図書館


資料
○PARS (PDD ASJ Rating Scale)
 
○広汎性発達障害評定チェックリストの記入について(マニュアル幼児版)
 
○基礎資料
 
* PARSは更に全体としてブラッシュアップを進め、使いやすい評価尺度へと整えていきます。そのため現段階でのPARSの無断使用はお控えいただいております。研究協力としての利用は可能ですが一定の条件がありますので、ご希望の機関は、事務局までご一報ください。
 
1. はじめに
 今回の調査への御協力に感謝致します。この調査は、日本財団の助成のもと、自閉症・広汎性発達障害児者の適切な支援や、行政上の適切な処遇の実現のために作成したものです。
 チェックリストへの記入に際して、以下のような注意事項がありますので、熟読いただいた上で実施いただけますようお願い致します。
 
2. 記入の際の一般的なお願い
(1)対象者の通し番号について:@NOには、分析上の通し番号を、事務局の方で付けますので、記入しないようにお願い致します。(記入の際の通し番号は、「評定者ごとのNo」に御記入いただくことになります。)
(2)評定については、ご家族からの個別の聞き取りによる調査をお願い致します。
 
3. 評定者について
(1)評定者名は必ずフルネームでお願いします。評定の付け落としなどへの問合せ等の場合に必ず必要です。別途、機関(施設)ごとでの評定者一覧に御記入の上、送付下さい。
(2)評定者一覧表には、評定者のお名前とともに、職種、キャリア(職務年数)、性別、年齢を御記入下さい。よろしくお願い致します。
 
4. 対象となる方について
(1)評定者ごとでの通し番号をつける。
 その場合に、番号の頭に以下のようにIDをつけてください。
(2)性別をつける。
(3)IQ欄の記入について
・基本的にビネーまたはウェクスラーで、両方の数値がある場合はウェクスラーの数値を記入する。
・ビネーもウェクスラーもとれていない場合は、検査名を明記する。
・PEPの場合はDQを記入する。
(4)診断名記入の際は、下記の分類から診断名を選んでください。
(1)自閉症(自閉性障害)
(2)広汎性発達障害
(3)自閉症スペクトラム
(4)高機能自閉症
(5)アスペルガー症候群(アスペルガー障害)
(6)高機能広汎性発達障害
(7)特定不能の広汎性発達障害
(8)非定型自閉症
(9)自閉傾向
(10)その他
 
5. 各項目について
 以下、評定において補足が必要と思われる項目です。
 
* 項目1「視線が合わない」
 コミュニケーションを取るために子どもの方から視線を合わせてきたり、こちらが視線を合わせようとした際に、子どもの方から視線を合わせようとしたかを評定する。
 
* 項目2「他の子どもに興味がない」
 他の子どものすることに関心を持たない、他の子どもの方を見たり、まねをしたり、気を引こうとすることがあるかを評価する。
 
* 項目3「名前を呼んでも振り向かない」
 名前を呼ばれた際に、名前を呼んだ方向を向き反応するかどうかを評価する。
 
* 項目4「見せたいものを持ってくることがない」
 注意を引くための行動や共感を得ようとする行動があるかどうかを評定する。要求行動は含まない。
 
* 項目5「指さしで興味があるものを伝えない」
 興味を伝える際に、指さし行為を用いるかどうかを評定する。自分から行う行為を評価し、その場ごとで模倣させてできた場合は含まない。
 
* 項目6「言葉の遅れがある」
 発語の遅れがあるかどうかを評定する。
 
* 項目7「会話が続かない」、項目8「一方通行に自分の言いたいことだけを言う」、項目10「オウム返しの応答が目立つ」、項目11「CMなどをそのままの言葉で繰り返し言う」、項目25「同じ質問をしつこくする」
 発語自体がない対象者の場合、評定をしないで空欄のまま空けておいて下さい。
 
* 項目7「会話が続かない」
 会話のやりとりができたり、話されている話題について続けて話をしつづけられるかどうかを評価する。
 
* 項目8「一方方向に自分の言いたいことだけを言う」
 こちらから始めた会話に反応できたり、質問形式以外でも会話で対応ができるかどうかを評価する。
 
* 項目9「友達とごっこ遊びをしない」
 同年代の子どもとのやり取りを含む遊びをしていた場合に評定する。
 
* 項目10「オウム返しの応答が目立つ」
 会話において、相手の言葉のオウム返しがたびたび使用される場合に評価される。
 
* 項目11「CMなどをそのままの言葉で繰り返し言う」
 CMなど、聞いた言葉をそのままの言い回しで使用している場合に評価する。
 
* 項目12「感覚遊びに没頭する」
 くるくる回る、砂や水の触感、音などの感覚を楽しむ遊びを評定する。
 
* 項目13「道路標識やマーク、数字、文字が大好きである」
 道路標識、マーク、数字、文字などを特に教え込まなくても自ら好んで覚えている場合に評定する。ジグソーパズルなどを好んでいる場合もある。
 
* 項目14「くるくる回るものを見るのが好きである」
 扇風機や換気扇、洗濯機の水の回転など、回るものを好んで見たり、自ら好んでミニカーのタイヤを回してみている場合に評定する。
 
* 項目15「物を横目で見たり、極度に近付けて見たりする」
 物を見る場合にわざわざ横目で見たり、極度に近づけて部分を見るような見方をする場合に評定する。
 
* 項目16「玩具や瓶などを並べる遊びに没頭する」
 自ら遊ぶ場合に、玩具や瓶などを並べる行為そのものを好む場合に評定する。
 並べた瓶を乱すと怒ったり、自ら同じ並びに戻す場合が多い。
 
* 項目17「つま先で歩くことがある」
 歩く場合に、足全体でバランスよく歩くのではなく、つま先のみでバレエをしているかのように歩いていることがある場合に評定する。
 
* 項目18「多動で、手を離すとどこに行くかわからない」
 多動であれば評定する。
 
* 項目19「食べ物ではないものを食べたり呑み込んだりする」
 本来、食物ではない、紙や小さなものを口に入れている場合に評定する。
 
* 項目20「抱っこされるのを嫌がる」
 抱っこを好まなかったりして、自分から抱かれに来ない、あるいは抱こうとすると嫌がる場合に評定する。
 
* 項目21「ビデオの特定場面を繰り返し見る」
 絵本の特定ページを見ることでもよい。特に自分で好んで同じ場面を見ている場合に評定する。
 
* 項目22「ページめくりや紙破りなど、物を同じやり方で繰り返しいじる」
 ページめくりや、紙破り以外にも、同じやり方で繰り返し、反復的に物をいじっている場合に評定する。行動自体は例にあげたもの以外にもいろいろなバリエーションがある。
 
* 項目23「全身や身体の一部を、同じパターンで動かしつづけることがある」
 手もみをするような反復的な手の動きをしたり、身体全体をロッキングしたり、同じパターンでの身体的動きがある場合に評定する。
 
* 項目24「身体に触られることを嫌がる」
 触られることに過敏性があり、触られることを好まない場合に評定する。
 
* 項目25「同じ質問をしつこくする」
 解答がわかっているにもかかわらず、同じ質問を繰り返す場合に評定する。相手に解答を求めるためではなく、コミュニケーションのパターンとして、質問をするための質問を繰り返す場合も含む。
 
* 項目26「普段通りの状況や手順が急に変わると、混乱する」
 スケジュールや、環境などが普段と異なることに混乱する場合に評定する。
 
* 項目27「生活習慣が乱れ。身辺自立ができなくなる」
 今までできていた行動が崩れて、できなくなったりした場合、以前は出来ていた身辺処理の水準ができなくなった場合に評定する。
 ただし、身辺自立ができていない場合には、評価しない。
 
* 項目28「過去の嫌なことを思い出して不安定になる」
 過去の嫌な体験を言ったり、行為で再現して、フラッシュバックが起きていると判断できる場合に評定する。
 思い出しているか不明の場合は、評定しない。
 
* 項目29「偏食が激しく、食べ物のレパートリーが極端に狭い」
 偏食が激しく、通常の食事に困る程度の広い範囲の偏食である場合に評定する。特には主食を含む偏食がある。
 
* 項目30「特定の音を嫌がる」
 嫌いな音があり、その音に混乱したりする場合に評定する。一般的にも了解可能な大きな音ではなく、一般には気にならないほどのブザー音や、特定のCMなど、嫌がる場合に評定する。
 
* 項目31「痛みや熱さなどに鈍感であったり、敏感である」
 感覚が鈍感か敏感かどちらか極端な場合に評定する。
 
* 項目32「何でもないものをひどく怖がる」
 何でもないものとは、一般的には怖がられないもの、周囲から見ると普通のものを指す。物の一定の形や色などへの反応も含む。
 
* 項目33「急に泣いたり怒ったりする」
 パニックやかんしゃくなど、急激な強い不快反応、情動の変化を指す。特に理由が分かりにくいもの、一般的に理解しにくい場合に評定する。
 
* 項目34「頭を壁に打ちつける、手をかむなど、自分が傷つくことをする」
 自分を傷つけるような行為をしている場合に評定する。頭を壁や床に打ち付けたり、手をかむなどが含まれる。
 
 項目35以降については、日本自閉症協会にお問合せください。
 
 以上、御協力よろしくお願い致します。







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