鞆の津のにぎわい 浮世絵など
浮世絵 備後鞆の湊(みなと)
五雲亭貞秀 作
江戸時代末期
作者の五雲亭貞秀(1807〜1873)は、歌川国貞の門人で、幕末に活躍した浮世絵師。
本作は、海上から見た港町鞆のようすをよく伝えている。手前に北前船を大きく配し、港には多くの商船が着いている。町並みからも、鞆の津の繁栄ぶりがうかがえる。
浮世絵(木版画)備後鞆津
歌川廣重 作
江戸時代後期頃
歌川広重の初代か二代の作かは不明。
北前船でにぎわう鞆港と背景には仙酔島が描かれている。実景とは少し違っているが、風情豊かな港の情緒を出している。
引札(木版画)備後鞆の津 港繁栄
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澤村猪兵衛
明治15年(1882)頃の作
鞆港全体を描いた引札は、この作のみで、全体に細かく描写され、美術的にも優れている。
海から鞆へ案内するように描かれ、多くの商船の出入り、石積みの波止場やびっしりと詰まった商船群などもよく表され、港町としてにぎわう「大都会」の様子が一目でわかる。数隻の蒸気船も見られるが、まだ北前船などの帆船の方が多い。
下側には、当時の鞆の主な問屋など49の商家名や取り扱う商品も刷られ興味深い。
上側の一面に続く鮮やかな赤が、港町・鞆の活況を象徴するかのようだ。