●九州の輸出事例
福岡県はご紹介しましたように過去、売り上げピークが1億数千万円だったものが、去年がんばりまして、SARSで半年動けなかったにもかかわらず、2億円を突破いたしました。5年後には20億円にしようなんていう大きな目標も立てながら、とにかく一所懸命に輸出していこうと考えております。
九州各県のこういう物産が、香港や台湾、大連、青島、上海でも見られるようになってきているという状況です。
図18 九州の輸出事例
●九州・福岡が輸出の拠点
精密部品および生鮮食品というような納期に厳格な貨物がどんどん輸出されています。それが日本の強さでもあるのですが、こういう食品を扱っている現地の日本人マネジャーの方々に聞くと、皆さん、一にも二にもリードタイムが大切、と言われます。1日違うだけで価値が全く違うということです。1日ライフタイムが長いだけで絶対有利な輸出港を選ぶのです。
先程の軟弱野菜や果物のエアカーゴの話なんですけれども、香港向けについて言えば成田や関空では前の日までに、通関をしなければいけないのに比べて、福岡は当日通関がきれて、10時のキャセイ航空に乗せて、2時には発着して4時には並べられるのです。こういう所は他にないんだということで全国ネットの大手総合商社にも福岡空港を利用していただいています。物流が非常にカギになっているのです。ここの大手商社の方が言われるには、「福岡に船便を増やしたいんだけれども、毎週木曜日に香港に着く便がありませんか?もちろんライフタイム短くなければいけないんで、寄港地がなくて、木曜日にダイレクトに香港に着くような船があればすぐそこに変えます」ということで、「九州は近いから非常にやりやすいです」というお話をされています。
半導体も機械もそうです。まさにサプライチェーンマネジメント、あるいはリードタイム、デリケートな貨物の取扱には九州は非常に条件がいいんだという認識がありまして、ますますこれで差をつけていかなきゃいけないと思うのです。そういう環境にあるんだということが、ヒト、モノ、カネ、特にモノでこういうふうに言えるわけです。同様に他の県、他の空港、他の港がもっと条件がよくなれば、そちらに簡単に変わっていくのです。
九州の高速道路網、鉄道網と直結しているので、産地からすぐに香港、台湾に繋がる。香港に関して言えば、その日の朝の6時に競り落とされたものが、同日の夕方に並ぶということは東京よりも一日早いのです。例えば、東京に九州の野菜を出すと翌々日に並びます。香港は翌日に並ぶということで香港は実は東京よりも近いんだということになります。
やはり半導体にしても機械にしても出も入も、九州をゲートウェイにして東京や大阪に運ぶ。皆様方が、ご尽力されてるように、九州のものは九州から、あるいは本州のものも九州をゲートウェイにするということが、着々と進んでいるということで、大変ありがたいことだと我々も感じています。
そういう勢いを借りまして我々がやれることはいかにして九州をアピールしていくのかということです。九州の物流を伸ばしていこう、特に輸出貨物を増やしていこうと頑張っています。
●九州の農産品輸出
こういうことで本当に去年の今頃まではどなたも関心を寄せていない、農業関係者でさえも全く見向きもしていただけなかった農産品の海外輸出が、去年の11月「あまおう」という福岡の新しいイチゴが売れるようになりまして、1.5トン位の大きな契約を取りまして、経済新聞、一般紙で注目されて関心を呼びました。
TVでも放映されました。NHKのローカル番組だったんですけれども、再放映が全世界にも配信され、香港でも数回に分けて放映され、九州の農産品がアジアで売れてるんだと注目を浴びまして、やっと陽の目をみてきているのかなというところです。
小売業もこれからどんどん日系の有力スーパーとかデパートが進出する予定で、ますます競争が激しくなる中で少しでも日本の素晴らしいものを置きたいというのが、バイヤーの共通した願いです。そのために大切なのが物流と決済と通関ですが、こういうものが特に中国向けでは難しいということで、これを解決できる自治体をパートナーにしたいと、皆さん言われています。
図19 九州の農産品輸出、テレビで紹介
図20 香港での青果物物流
●青果物物流の現状
ところが物流の問題があります。今、香港では毎週何便も福岡をはじめいろんな所から飛行機だけではなく、できるだけ海上でもということで、野菜や食品が輸出されているのですが、冷凍コンテナを使っても、炎天の直射日光の下で開梱しているので、わずか5分以内に30℃以上になってしまうのです。ごぼうはフニャフニャになり、キャベツは結露して大変です。
日本側の心配は、「これでクレームつけられたらかなわない」ということで、この辺の物流がなかなか解決できません。どんなに品質あげても、結局物流というのがとても大事だということを知らされるわけです。
物流と金融決済が本当に大切なんだと私はますます感じています。
●重要性を増す物流機能
特に今日申し上げたいのはリードタイムがますます重要になってるということです。温度差とかショックとか、痛みが激しいとか、イチゴも、ぶどうも半導体もすべてそうです。我々が企画をする、商談をする時には物流の専門の方々も取り込まなくてはいけない。物流の知識がどうしても足りない。パッケージ、結露など、どうしたらいいんだろうかということを本当に日々頭を悩ましていまして、物流と商流がもっともっと結びつくような、理想的なチームができないだろうかと考えています。
図21 重要性を増す物流機能
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