クルーズ人口について
○世界のクルーズ人口
そして、このクルーズ全体の流れをお話します。まず、世界に目を向けて、世界のクルーズ人口をお話したいと思いますが、現在、世界のクルーズ人口は1220万人位だと言われていまして、アメリカとカナダを合わせた北米のクルーズ人口がすでに900万人。これは2002年のデータなんですが、2003年の実数では、北米のクルーズ人口は950万人を越えました。1990年位から、21世紀には、北米のクルーズ人口は800万人を越えるだろうといわれていたんですね。ところが早々に2003年に越えてしまいました。
地元の歓迎、出港セレモニーも船旅ならでは
海を見ながらのお風呂は格別です
この理由というのは、多分たくさんあると思いますが、900万人のほとんどがアメリカ人ということがわかります。これはカリブ海という、クルーズに好適な海域が近くにあるということ。エア&クルーズの構築の導入が容易である。何よりも北米に就航しているクルーズの客船がハード、ソフトともに充実している。また、それによっての乗船料金も安いということなんですが。何といっても、早々に900万人を突破した一番の理由は、9・11の同時多発テロなんですね。このことによって、非常にアメリカ人の旅行客が飛行機を危惧するという傾向にありまして、圧倒的にクルーズ人口を、またたくまに押し上げてしまったというのが現状です。
○日本のクルーズ人口
日本のクルーズ人口は20万人と言われているんですが、この数字でもおわかりでしょうが、実質16万人位。日本船乗船者の91,600人の中にはチャータークルーズの乗船者も含まれていますから、つまり、自分からクルーズをこころざして買って乗ったというよりは、乗ってしまったというか、そういうお客様が含まれていますので、日本船隻の乗船者というのが、実は減りつつあるというのが現状です。
クルーズ客船のいろいろ
花火クルーズは毎年盛況(船上から鑑賞)
世界のクルーズ人口
順位 |
国名 |
人数 |
1 |
アメリカ |
8,650,000 |
2 |
イギリス |
823,000 |
3 |
アジア(日本を除く) |
800,000 |
4 |
ドイツ |
428,000 |
5 |
カナダ |
300,000 |
6 |
イタリア |
250,000 |
7 |
その他ヨーロッパ |
250,000 |
8 |
フランス |
225,000 |
9 |
オーストラリア |
200,000 |
10 |
日本 |
200,000 |
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※ベルリッツ社2004年版「オーシャンクルージング&クルーズシップ」より |
クルーズ客船というのが現在、世界各国にどれ位あるかといいますと、256隻もあるんですね。1986年から18年間であっという間に倍になってしまったというわけです。何といってもですね、今年の話題は世界最大の客船、クイーンメリー2で、151,400トン、全長345m、客船のクラスでいいますと、ラグジュアリークラスですね。この船は建造費が880億円。先ほども申しましたように、1997年のタイタニックの映画のヒットが、その就航を決定づけた。ところがですね、この船の世界一という数字も、もうあと2年ばかりになりました。実はロイヤルカリビアンインターナショナル社がボイジャークラス、16万トンを計画中です。2年くらいしますと、船隻の大きさが、あっというまに順番が変わっていくという現状ですね。
この大型船の増加がクルーズの大衆化を押しすすめたのです。たくさんの人を同時に、それも定期的に就航することによってクルーズの値段がぐっと安くなったわけです。
これは、船客の定員をみたものですが、最大のボイジャー・オブ・ザ・シーズ級では3800人位が乗せられるということですね。そうすると、日本最大の客船の飛鳥クラスをもってきても600人位、ということは6分の1しか日本の船隻では乗せられないということです。
その他、客船256隻の中、日本人が最も馴染み深いのが、クイーンエリザベス2。それとディズニーが総力をあげて作りましたディズニーマジック。様々な特色ある客船が就航しています。
世界のクルーズエリア
日本のクルーズ人口推移
年 |
日本船乗船者 |
内航フェリー |
外国船乗船者 |
合計人数 |
1993年 |
181,400 |
- |
32,800 |
214,200 |
1994年 |
176,600 |
- |
31,400 |
208,100 |
1995年 |
190,600 |
- |
34,400 |
225,000 |
1996年 |
154,300 |
- |
39,400 |
193,700 |
1997年 |
128,700 |
7,900 |
49,000 |
185,600 |
1998年 |
124,400 |
5,200 |
46,100 |
175,700 |
1999年 |
115,600 |
5,600 |
48,100 |
169,300 |
2000年 |
104,500 |
2,000 |
109,400 |
215,900 |
2001年 |
100,000 |
3,200 |
96,900 |
200,100 |
2002年 |
91,600 |
2,300 |
74,800 |
168,700 |
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※1泊以上の日本人船客をカウント。
※外国発着フライ&クルーズを含む。
※内航フェリーアンケートは97年より実施。 |
世界最大の客船
で、この大型客船、どうしてもっと導入されなかったかといいますと、実はクルーズエリアが原因です。大型の客船ですとカリブ海の周遊ができないということで、なかなか大型客船の時代にならなかったんです。ところが、1996年、ディスティニーという船が就航して、本格的な大型客船の時代が到来しました。これはなぜかというと、オーバーパナマックス、つまりパナマを通らなくてもいい、パナマ運河を通ることを放棄したということで、一挙に巨大化してしまった。
その問題を解決したのは、小さい島々を通る時に、ノルウェーという大型客船がですね、テンダーボートで島々を巡るという方法を見出して、一挙に大型船化がすすんでいった。それで大型客船は様々な島々をめぐるクルーズにも就航することができた。
とはいっても大型船は大体フロリダを出てカリブ海を周遊するクルーズ、地中海を周遊するクルーズ、もしくは最初からアラスカに、ダイヤモンド・プリンセス、サファイヤ・プリンセスのような、プリンセスクルーズが運航しているんですが、アラスカクルーズだけをやるスタイルを定着させている場合もあります。
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