海を見守るセミナー 〜博多港から世界の海へ〜
主催:海を見守るセミナー実行委員会 共催:日本財団/海守 後援:朝日新聞社/日刊スポーツ新聞社 協力:福岡競艇 |
Kyushu Transport Colloquium
21世紀の都市鉄道の課題と新たな役割
(財)運輸政策研究機構 常務理事
伊東 誠
日時 平成16年6月4日(金)
場所 ホテルセントラーザ博多(福岡市博多区)
主催 (財)九州運輸振興センター
ただ今、ご紹介いただきました運輸政策機構の伊東でございます。本日は九州の交通関係の皆様にお話をする機会をいただきまして、大変有難うございます。
今日は「21世紀の都市鉄道の課題と新たな役割」ということでお話させていただきたいと思います。
20世紀は急増する交通需要への対応、足の確保、幹線交通へのアクセスなど、世紀の課題としていろんなことをやってきたわけです。
それで、21世紀どんなことになるんだろうということで、21世紀の課題というのは何があるのか、都市鉄道・軌道に新しい役割というのは本当にあるんだろうか、あるいは整備をどういうふうにやっていったらいいのかということを考えたいわけです。まあ、21世紀のことですからあまりよくわかりませんので、ちょっと乱暴な話になるかもしれませんけれど、そんなことを議論させていただきたいと思います。
それで、本日、お話したいのは次の4点でございます。
まず、20世紀、特に戦後30〜50年の間に都市鉄道、軌道を含めて都市鉄道の課題というのがどんなものであったか、そして、どんなふうに整備してきたかをおさらいしておく必要があります。
2つ目が、その結果、現在の公共交通、あるいは交通全般に対するサービスがどのように評価されるのかということ。
3つ目が、都市鉄道、モノレール、新交通ももちろんそうですが、整備するといろんな効果、大きな効果が出るわけでございまして、それがどんなものかをお話したい。
そして、4つ目がそれを踏まえまして21世紀の都市鉄道の課題なり、あり方はどんなものかということ。この4点についてお話させていただきたいと思います。
I 都市鉄道の課題と設備の経緯
まず、今まで30〜50年の整備の経緯でございます。あるいは課題となるものをここに6点、挙げておきます。
(1)輸送力増強と混雑緩和(2)住宅地への足の確保と都市構造再編の促進(3)幹線交通のアクセス機能の向上(4)国鉄/JRの都市鉄道サービスへの参入(5)安全性、信頼性の確保(6)快適性・利便性の向上です。
1 輸送力増強と混雑緩和
(1)新線整備
まず、輸送力増強と混雑緩和ということで実施したのが新線整備であります。
戦後、3大都市圏において、人口がものすごく増えて道路も混んできた。それで、路面電車を廃止して地下鉄を作ろうということになりまして、1954年に東京に丸の内線が開業したのがはしりであります。そして、地下鉄が急速に整備されたわけであります。大阪、名古屋についても同様であります。
それから、福岡、札幌等の地方の大きな都市ですね。人口が増加して、あるいは東京、大阪、名古屋で始まったモータリゼーションが、やや時間を遅らせて地方の都市にも来たわけです。その結果、大都市圏の郊外部、横浜とか神戸で地下鉄の整備が進められました。
さらにはモノレール、新交通システムの整備ということで1970年代、モノレールの博覧会が頻繁に開催され、いろんなシステムが出来ました。無限の可能性があるような形で、個別の自動車交通にかわるようなものまでいろいろあったわけですが、結果的には中量の輸送機関というような位置づけで、世界中にできたわけであります。1981年に、神戸市ポートピアを契機に作ったのが最初で、同時期に大阪にも出来ました。
その後、地下鉄ができないかわりに、こういった新交通を作りたいという都市はたくさんあったのですが、結果的に、やはり、財源、採算性の問題でみんなあきらめてしまいました。結局大都市の郊外部、埼玉新交通とか桃花台新交通(名古屋)、それから、広島とか北九州といった地方の大都市で整備が進められたにとどまったわけです。
博多ポートタワー
新交通は、本当はもっとあちこちに出来ればよかったんですけれど、皆さん立派なものを作りすぎましてですね。駅なんかすごく立派なものを作るものですから、下手をすると地下鉄とあまりコストが変わらなくなっちゃうという形になりまして、残念ながらその辺の、普及するためにはもう少し違った戦略もあったと思います。
図1
図2
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