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第3章 関係者の意向の整理
1. アンケート調査結果
 本節では、アンケート調査から得られた奄美群島における廃棄物の処理、輸送に係る関係者の意向を整理する。
 
 奄美群島における廃棄物等の処理、輸送の現状、問題点等を把握するため、地元自治体14市町村および関係事業者656社を対象としたアンケート調査を実施した。回答の回収率は25.3%だった。(表−3.1.1)
 なお、調査時期は平成16年10月、アンケート調査票を郵送し、回答は郵送またはFAXにより回収した。
 
表−3.1.1 アンケート調査の配布・回収状況
分類 配布数
(a)
不明等
(b)
回答数
(c)
回収率
(c/(a-b))
業種別 自治体 14 0 11 78.6%
産業廃棄物収集運搬事業者 80 1 27 34.2%
産業廃棄物処理事業者 24 0 6 25.0%
船社 28 1 13 48.1%
港湾運送事業者 23 0 10 43.5%
自動車リサイクル事業者 395 12 71 18.5%
家電リサイクル事業者 106 3 27 26.2%
回答者所在地別 奄美群島 527 13 130 25.3%
 奄美大島 291 7 64 22.5%
 喜界島 37 2 10 28.6%
 徳之島 110 1 29 26.6%
 沖永良部島 59 3 19 33.9%
 与論島 30 0 8 26.7%
鹿児島県(奄美群島を除く) 110 4 35 33.0%
県外 33 0 0 0.0%
670 17 165 25.3%
 
 
 
1)使用済自動車の放置退蔵に対する市町村の取り組みについて
 各自治体ともに指導や通達等で撤去を促している。また、瀬戸内町は毎年予算措置をして放置自動車を撤去している。
 
島名 自治体 回答
奄美大島 名瀬市 使用済自動車等を発見次第、警察と共同調査の上、最終所有者に撤去を促している。
大和村 奄美大島の各自治体で協議中
瀬戸内町 定期的に巡回し、撤去勧告を実施している。また、毎年予算措置をして放置自動車を撤去している。
喜界島 喜界町 放置自動車は、直接指導している。
沖永良部島 知名町 調査指導
与論島 与論町 適正処理するよう文書で通知している。
 
2)使用済自動車の処理・輸送に関する問題点等について
 各市町村とも、輸送費の高さを問題点としてあげている。知名町はさらに専用コンテナがないことによる輸送時の安定性の欠如、効率の低下をあげている。
 
島名 自治体 回答
奄美大島 名瀬市 海上輸送を伴うため、コスト高で、引き取り価格が高い。
瀬戸内町 現在、販売店、修理業者7店で引き取り、名瀬市の処理業者に引取りを依頼している。また、町内に中間処理業者がいないため、費用が高い。二次離島(加計呂麻島、請島、与路島)からの搬出は、さらに割高で不法投棄につながっていると思われる。
喜界島 喜界町 輸送コストが高い。十分な保管場所がない。適切な処理、リサイクルをする島外の業者がなかなか見つからない。
沖永良部島 知名町 鹿児島本土と沖縄に破砕業者があり、海上輸送費が高い。以前は、ユーザーから処分料をとっていなかったために、ストックしてあった野積み自動車の処分が進まない状態にある。専用コンテナがないため、荷姿が不安定で、輸送効率が悪い。
与論島 与論町 現在、使用済自動車処理料が持ち込みで、12,000円〜100,000円(大型バス)の料金がかかっている。
 
3)自動車リサイクル法に関連しての問題について
 名瀬市、瀬戸内町、与論町は離島対策支援事業の出えん金の割合を引き上げること若しくは10割にすることを要望している。また、喜界町は出えん金の適用時期が自動車リサイクル法施行よりも遅いこと、知名町は廃油、タイヤ、バッテリー等の処理が自動車リサイクル法の対象になっていないことを指摘している。
 
島名 自治体 回答
奄美大島 名瀬市 法施行後、速やかに出えん措置を実施して欲しい。また、資金出えん額の割合を100%にしてほしい。
大和村 離島苦解決して欲しい。
瀬戸内町 本島の他に3島(加計呂麻島、与路島、請島)を抱えているため、かなりのコストがかかる。2割は、市町村または、最終所有者となっているが、財政面で深刻になっている状況の中で、負担金を出すことは、かなり厳しい。離島は、本土と比べていろいろな面で、格差があります。離島の実情をご理解いただき、資金出えん金の割合を10割にしてほしい。
喜界島 喜界町 1.資金出えん適用時期をリサイクル法と同様にすべき。2.リサイクル法施行時には、リサイクル料対象外処理が発生する。どうしても施行前の廃自動車の最終破砕処理は遅延するため、同様に、なんらかの対処法を考慮して頂きたい。(11月〜12月廃車分)
沖永良部島 知名町 廃油、タイヤ、バッテリー等をリサイクル料金に含めるべきで従来の有償+リサイクル料金となるとリサイクルシステムが軌道に乗るか疑問である。
与論島 与論町 今後、自動車リサイクル料と島内処理費の二重負担になるので、資金出えん額の割合を引き上げてもらいたい。
 
4)廃家電4品目の処理輸送について
 各市町ともに、鹿児島市にある家電4品目の指定引き取り場所までの輸送費がユーザーの大きな負担となっていることが問題であるとしている。
 
島名 自治体 回答
奄美大島 名瀬市 廃家電のリサイクルに海上輸送を伴うため、収集運搬料金が割高となっている。
瀬戸内町 ・鹿児島新指定引取り場所まで運搬している。
・海上輸送を伴うため、負担が大きい。
・島外地区は、二次離島(加計呂麻島、請島、与路島)をかかえており、海上タクシー利用以外に手段のない島があり、さらに高額な負担となっている。
喜界島 喜界町 輸送コストが高いのが大きな問題点(ユーザーには大きな負担となっている)
徳之島 徳之島町 海上運賃を船会社より見積もりを取り、輸送費も含めてリサイクル料を設定している。
沖永良部島 知名町 海上輸送費が高い。
与論島 与論町 輸送コストが高い。業者が見つからない。
 
5)家電リサイクル法について
 島内への指定引取り場所の設置や家電販売時に廃家電を引取る工夫、リサイクル料金を販売時に先払いするシステムの適用等、輸送コストを低減させるための要望があげられている。
 
島名 自治体 回答
奄美大島 名瀬市 廃家電のリサイクルに海上輸送を伴うため、収集運搬料金が割高となっている。
瀬戸内町 ・鹿児島新指定引取り場所まで運搬している。
・海上輸送を伴うため、負担が大きい。
・島外地区は、二次離島(加計呂麻島、請島、与路島)をかかえており、海上タクシー利用以外に手段のない島があり、さらに高額な負担となっている。
喜界島 喜界町 輸送コストが高いのが大きな問題点(ユーザーには大きな負担となっている)
徳之島 徳之島町 海上運賃を船会社より見積もりを取り、輸送費も含めてリサイクル料を設定している。
沖永良部島 知名町 海上輸送費が高い。
与論島 与論町 輸送コストが高い。業者が見つからない。
 
6)その他の廃棄物の不法投棄に関する問題点等について
 不法投棄が発生している廃棄物としては名瀬市でのFRP船や喜界町での農業用廃プラスチックが、退蔵している廃棄物等としては喜界町での廃タイヤがあげられている。喜界町では、看板の設置や啓発活動によって農業用廃プラスチックの不法投棄を抑制しようとしている。
 
島名 自治体 問題点・課題 廃棄物の種類・量 市町村による取り組み
奄美大島 名瀬市 (1)不法投棄が発生している廃棄物等 FRP船 なし
喜界島 喜界町 (1)不法投棄が発生している廃棄物等 農業用廃プラ類 看板等の設置、啓発等
喜界町 (2)退蔵している廃棄物等 廃タイヤ 検討中
徳之島 伊仙町 (3)処理基準に反した不適当処理が発生している廃棄物等 違反ごみ、収集日以外のゴミ出し -
 
7)その他の廃棄物の島外搬出に関する問題点等について
 回答を得た名瀬市、笠利町、喜界町、知名町、与論町ともに輸送コストの高さが問題であると指摘している。他にも喜界町が十分な保管場所がないこと、適切な処理、リサイクルを行なう島外の業者が見つからないことなどを問題点としている。
 
島名 自治体 回答
奄美大島 名瀬市 以前、紙パックの分別収集を計画していたが、有償引取りでも海上輸送費は支払わなければならず、結果的に逆有償という形になったので、断念した経緯があり、離島におけるリサイクルの限界を感じている。
笠利町 海上運賃を含む高額な収集運搬料金が消費者の負担となる。
喜界島 喜界町 ・輸送コストが高い。
・十分な保管場所がない。
・適切な処理、リサイクルをする島外の業者がなかなか見つからない。
沖永良部島 知名町 離島におけるリサイクルの障害は、海上輸送費である。
与論島 与論町 輸送コストが高い。







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