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(2)高齢者、身体障害者の目的別行動状況
 ここでは移動目的別に高齢者、身体障害者の行動状況やその目的先の分布を整理する。
 
(1)通勤・通学状況
1)通勤状況
 通勤状況については、データの制約上、高齢者のみを整理する。
 長崎県及び福岡県における高齢者の就業率は長崎県が18.7%、福岡県が17.1%で、15歳以上全体と比較して自宅従業者の割合がそれぞれ59.4%、46.5%と非常に高いのが特徴である。
 離島部の高齢者就業率をみると、対馬市が24.9%、壱岐市が31.1%、大島村が27.8%でいずれも県平均より高い。自宅従業者の割合も県平均に比べて非常に高く、対馬市が67.7%、壱岐市と大島村では82.8%、85.9%と8割を超えている。
 
表3-1-6 離島部における高齢者就業者数
注)
長崎県・福岡県の「15歳以上」は高齢者以外も含む。
資料)
「国勢調査(2000)」よりUFJ総合研究所作成
 
 自宅外に従業している高齢者についてその従業先をみると、自市区町村内での従業者が大半で、他県で従業する人や、他県から従業する人はほとんどいない。県内他市区町村での従業や県内他市区町村から従業するケースについても、そのほとんどが島内での移動であり、離島の高齢者が海上輸送を利用して他島へ通勤するのはまれなケースと考えられる。
 
表3-1-7 離島部における自宅外従業者従業先分布
資料)「国勢調査(2000)」よりUFJ総合研究所作成
 
2)通学状況
 通学状況については高齢者の通学はほとんどないと考えられることから、身体障害者のみを対象とするが、その行動状況に関するデータが得られないため、特殊学校の分布状況を整理する。
 長崎県内には、盲学校が1校、聾学校が2校、養護学校が15校分布している。また福岡県内には盲学校が4校、聾学校が5校、養護学校が31校分布している。離島部には特殊学校は分布していないため、離島で生活する身体障害者が特殊学校に通学するには、海上輸送を利用して本土の学校へ通うか、下宿などをすることとなる。
 
表3-1-8 長崎県・福岡県内における特殊学校分布状況
  盲学校 聾学校 養護学校
長崎県 1 2 15
福岡県 4 5 31
対馬市 0 0 0
壱岐市 0 0 0
大島村 0 0 0
北九州市 1 1 8
宗像市 0 0 0
新宮市 0 0 2
福岡市 0 2 7
志摩町 0 0 0
資料)「全国学校総覧 2004」(全国学校データ研究所)よりUFJ総合研究所作成
 
(2)通院状況
 自宅で生活する人のうち、病気やけが等で自覚症状を持つ人(有訴者)の比率は、人口千人に対して長崎県全体が342.7、福岡県全体が335.8である。これを人口にすると長崎県が約51.7万人、福岡県が約167.6万人となる。高齢者の有訴者率は、県全体のそれぞれ約1.5倍となっている。また通院者率は長崎県全体が345.4、福岡県全体が294.8で高齢者はその約2倍となっていることから、高齢者の約半数の人が健康上何らかの問題を抱え、その数を上回る6〜7割の人が実際に通院をしている。
 日常生活に影響のある者率は長崎県全体では118.4、福岡県全体では104.9である。人口にすると長崎県が約16.8万人、福岡県が約49.3万人で、これは両県において身体障害者手帳を持っている人(長崎県7.1万人、福岡県19.6万人)の2倍強にあたる。このうち外出に影響のある者の率が長崎県全体が41.8、福岡県全体が35.8でそれぞれ日常生活に影響のある者率の約3分の1であることから、残りの約3分の2にあたる人は、生活に何らかの影響を持つものの、自宅で生活しながら通院等の外出は可能なことがわかる。さらに高齢者の外出に影響のある者率は県全体の約3倍となっており、外出が困難な人の割合が高い。
 
表3-1-9  長崎県・福岡県における有訴者率・通院者率・日常生活に影響ある者率(人口千対)
注)
有訴者:世帯員(入院者を除く)のうち、病気やけが等で自覚症状のある者
通院者:世帯員(入院者を除く)のうち、病院、診療所、老人保健施設、歯科診療所、病院の歯科、あんま・はり・きゅう・柔道整復師に通っている(ここ1月くらい通院・通所治療が継続している場合)者
日常生活に影響ある者:世帯員(入院者、一月以上の就床者、6歳未満を除く)のうち健康上の問題で日常生活の動作・外出・仕事・家事・運動・スポーツ・他などに影響のある者
資料)
「国民生活基礎調査(2001)」(厚生労働省)よりUFJ総合研究所作成
 
 長崎県及び福岡県で通院先として考えられる医療施設数をみると、長崎県内では一般病院が173ヶ所、一般診療所が1,429ヶ所に分布している。福岡県内では一般病院が485ヶ所、一般診療所が4,281ヶ所に分布している。
 
表3-1-10 長崎県・福岡県下における医療施設数
  一般病院 一般診療所
長崎県 173 1429
長崎市 50 544
長崎市以外 123 885
福岡県 485 4281
福岡市 121 1269
福岡市以外 364 3012
注)一般病院:精神病院、結核療養所以外
資料)「地域保健医療基礎統計(2003)」(厚生労働省)よりUFJ総合研究所作成
 
 離島部における医療施設の分布及び医療従事者の状況をみると、対馬島に病院が3ヶ所、一般診療所が25ヶ所、壱岐島に病院が7ヶ所、一般診療所が15ヶ所分布している。それ以外の離島には病院は分布しておらず、一般診療所のみ分布しているか医療施設が全く分布していないため、一般病院への通院に海上輸送を利用する必要のある離島も多く存在する。
 医療従事者についてみると、対馬島に常勤の医師が47人、非常勤の医師が2人、壱岐島に常勤の医師が48人、非常勤の医師が11人となっている。それ以外の離島においては、常勤または非常勤の医師が1〜2人従事しているか、全く従事していない状況となっている。
 
表3-1-11 離島部における医療施設分布及び医療従事者の状況
注)医療施設以外の場所に勤務する助産師、看護師等がいる場合は()内にその数を示している。
資料)「離島統計年報(2003)」(財団法人日本離島センター)よりUFJ総合研究所作成
 
(3)通所状況
 高齢者や身体障害者の生活をサポートする施設として、社会福祉施設がある。ここでは、入所を要する老人ホーム等を除いた、自宅から通所可能な社会福祉施設に着目する。以下の表に示す8施設についてまとめた。ただし、福岡県における通所型施設の分布状況はデータが得られなかったため、長崎県の状況についてのみまとめることとする。
 老人デイサービスセンターと在宅介護支援センターは、介護を要する高齢者とその家族をサポートする施設で、県内に広く分布している。身体障害者福祉センターは長崎市の1ヶ所、視聴覚情報提供施設も長崎市と佐世保市に1ヶ所ずつしか分布していないため、離島部には分布していない。
 
表3-1-12 長崎県における通所型社会福祉施設数
  老人福祉
センター
老人
憩の家
老人デイ
サービス
センター
高齢者
生活福祉
センター
在宅
介護支援
センター
身体障害者
福祉センター
視聴覚
情報提供
施設
身体障害者
デイサービス
センター
長崎県 25 56 251 24 158 1 2 28
長崎市 5 9 47 0 31 1 1 1
長崎市以外 20 47 204 24 127 0 1 27
注)
・老人福祉センター等:無料又は低額な料金で、老人に対して各種の相談、健康の増進、教養の向上、レクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設。高齢者福祉センター、老人福祉会館、総合福祉センター、ふれあい温泉センターも老人福祉センターに含める。
・老人憩の家:市町村の地域において、老人に対し、教養の向上、レクリエーション等のための場を与え、もって老人の心身の健康の増進を図る施設
・老人デイサービスセンター:虚弱老人に対して入浴、給食、日常動作訓練等各種のサービスを提供し、生活の助長、心身機能の維持向上等を図るとともに、その家族の身体的、精神的な負担の軽減を図る施設
・高齢者生活福祉センター:独立して生活するには不安のある高齢者に、介護、居住、地域住民との交流の場などを総合的に提供する小規模多機能施設で、老人デイサービスセンター等に居住部門が併設された施設。生活支援ハウスともいう。
・在宅介護支援センター:在宅の寝たきり等の高齢者の家族からの介護に関する総合的な相談に応じて、ニーズに対応した各種の保健・福祉サービスが受けられるよう市町村等関係行政機関との連絡調整等を行い、介護を必要とする高齢者やその家族の福祉向上を図る施設
・身体障害者福祉センター:身体障害者に関する各種の相談に応じ、身体障害者に対し機能訓練、教養の向上、社会との交流促進及びレクリエーションのための便宜を総合的に供与する施設
・視聴覚情報提供施設:無料又は低額な料金で、点字刊行物、聴覚障害者用の録画物等を視聴覚障者の利用に供する施設
・身体障害者デイサービスセンター:地域において就労が困難な在宅の身体障害者が通所して文化的活動、機能訓練等を行うことにより、その自立を図るとともに生きがいを高めることを目的とする施設
資料)長崎県ウェブサイトよりUFJ総合研究所作成
 
 対馬地区と壱岐地区における施設の分布状況をみると、老人憩の家が対馬地区に7ヶ所、壱岐地区に24ヶ所と多い。そのほか老人デイサービスセンターが対馬地区に10ヶ所、壱岐地区に5ヶ所、在宅介護支援センターが対馬地区に6ヶ所、壱岐地区に4ヶ所分布している。一方、老人福祉センター等、身体障害者福祉センター、視聴覚情報提供施設は全く分布していないため、これらのサービスを受けるためには、島外に出ることが必要となる。
 
表3-1-13 対馬・壱岐における通所型社会福祉施設分布
  老人福祉
センター
老人
憩の家
老人デイ
サービス
センター
高齢者
生活福祉
センター
在宅
介護支援
センター
身体障害者
福祉センター
視聴覚
情報提供
施設
身体障害者
デイサービス
センター
対馬地区 0 7 10 1 6 0 0 3
厳原町 0 4 3 0 1 0 0 2
美津島町 0 2 1 1 1 0 0 1
豊玉町 0 0 1 0 1 0 0 0
峰町 0 0 1 0 1 0 0 0
上県町 0 1 2 0 1 0 0 0
上対馬町 0 0 2 0 1 0 0 0
壱岐地区 0 24 5 0 4 0 0 1
郷ノ浦町 0 17 1 0 1 0 0 0
勝本町 0 5 2 0 1 0 0 0
芦辺町 0 2 1 0 1 0 0 1
石田町 0 0 1 0 1 0 0 0
合計 0 31 15 1 10 0 0 4
資料)長崎県ウェブサイトよりUFJ総合研究所作成
 
(4)購買動向
 日常的な生活圏に影響を与える指標として、住民の購買動向に着目する。福岡県では消費者購買動向に関する調査が実施されていないため、以下では長崎県における消費者購買実態調査から、対馬地区と壱岐地区の動向をまとめた。ただし、市町村合併が行われる前の2003年に調査が行われているため、対馬地区においては厳原町はじめ旧6町、壱岐地区においては郷ノ浦町はじめ旧4町が調査単位となっている。
 商品品目は、日常的に購入する飲食料品と、より遠方まで買いに行くと思われる衣料品を対象とする。







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