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1997/10/11 産経新聞朝刊
日本初ディレクTVが来年にも 公営ギャンブルの在宅投票 リモコン操作で馬券も
 
 12月に91チャンネルで放送を始める通信衛星(CS)デジタル放送「ディレクTV」が、中央競馬など公営ギャンブルの在宅投票ネットワークと接続し、テレビのリモコン操作で馬券など投票券を購入できるシステムを構築する方向で主催団体などと協議に入っていることが、10日明らかになった。来年中にも開始させたい意向。在宅投票会員が視聴者になれば、競馬など中継テレビ画面上に「出走表」「オッズ」など好きなデータを随時表示し、そのままリモコンで券が購入できる“参加型番組”が実現する。
 リモコン操作で商取引を可能にするのは、日本のテレビでは初めて。CSデジタル多チャンネル放送は、将来的に電子商取引の場へと拡大すると見込まれているが、今回のディレクTVの試みは、その流れに道を開くものといえそうだ。
 中央競馬、地方競馬、競艇、競輪、オートレースの公営ギャンブル五競技のうち、オートレースを除く四競技には、本場や場外発券場へ行かなくても、自宅のパソコンやファミコンなどで購入が可能な「在宅投票制度」がある。
 会員は、日本中央競馬会(JRA)や日本自転車振興会など主催団体が毎年募集、応募者を審査して決めている。中央競馬で約五十七万人、地方競馬約一万人、競艇約一万人、競輪約四万人の在宅投票会員がいるが、実際にはこの十倍以上の応募者がいるといわれ、潜在的な需要は大きい。
 会員は主催団体のネットワークと自分の電話回線をつなぎ、端末機器にオッズなどのデータを呼び、それを参考に端末機器から券を購入することができる。
 ディレクTVが進める計画は、在宅投票権をもつ視聴者のテレビ(受信機)と、電話回線を別売りのアダプターで接続。八つのチャンネルに割り当てる予定の公営ギャンブルの中継番組を見ながら、オッズや出走表など好きなデータを画面上に随時表示させ、そのままリモコン操作で券を購入するシステム。費用は主催団体に届ける銀行口座などから自動的に引き落とされ、払戻金も同様に指定口座に振り込まれる。
 日本のデータ放送は、放送局側が一方的にデータを流しているのが現状で、視聴者側の要求に応じての表示はできない。
 テレビ投票券購入システムの実現には、双方向データ放送システムの開発が不可欠。ディレクTVと契約した松下電器はこれを実現させる機能を開発、十一月から販売を始めるディレクTV受信機に標準装備させる。
 購入システムの実現に先立ち、ディレクTVは来年夏から、一部の公営ギャンブル中継で双方向データ放送を開始させる予定だ。
 中央競馬の場合、年間約四兆円の売り上げのうち約三兆五千万円を場外での売り上げが占め、本場以外での売り上げが主流になっている。しかし場外発売所(WINS)の増設は周辺住民の反対などで厳しい情勢。このため販売チャンネルの拡大が公営競技主催団体の課題となっており、ディレクTVの打診に前向きなもようだ。
 一方でディレクTV側は、需要の大きい公営ギャンブルファンをテレビ投票券購入システムで取り込み、競争激化が予想されるCS放送事業で他放送との差別化を図る戦略とみられる。
 
 
 
 
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