二十一世紀における国連のあり方などについて世界の首脳が討議する国連ミレニアム・サミットが、ニューヨークの国連本部で六日(現地時間)から始まる。国連によるサミットは五年前の創立五十周年総会以来だが、新規加盟の南太平洋のツバルを含め百八十九カ国の元首、首相が集う今回は、史上最大規模の首脳会議となる。
各首脳は五分ずつの演説と、五十カ国ごとに円卓形式による三時間の自由討議に臨む。国際社会がいま直面する課題は何か。はたして国連はそれらに有効に対処し、来世紀に存在感を増すことができるのか。会議を単なる顔見せやお祭り騒ぎにしてはなるまい。
最大の課題は何といっても機能強化のための改革、とくに安全保障理事会の改組である。七日に演説する森喜朗首相もその必要性を強調する。半世紀以上も前に発足した米英仏露中の常任理事国による現行安保理体制は国際社会の現状を正当に反映しておらず、改革の要を多くの国々が認めてきた。
だが過去、日本は改革の機運を自らのものとする強い意思を欠いた。今度こそ常任理事国入りの姿勢を明確にするとともに、安保理拡大の速やかな合意形成に向けてイニシアチブを発揮する絶好の機会としてほしい。
これに関連して財政改革も重要である。日米二カ国は通常予算の四五%、国連平和維持活動(PKO)予算の五割強を負担する。日本は国連加盟以来、その活動に財政的寄与を惜しまないで今日まできた。しかし英五%、仏六%、ロシア一%、中国〇・九%(通常予算)は、どう見てもアンバランスである。国連は慢性的財政危機にあり、加盟国の適正な分担による財政基盤の確立も機能強化には不可欠だ。
また地域紛争がますます頻発、複雑化し、PKOが試練にさらされるなか、先に国連平和活動委員会がまとめたPKO強化策に関する報告書の議論も必須である。このほか貧困の根絶、紛争への対応、環境保護、テロ・国際犯罪の撲滅なども重要な議題として挙げられている。
いま、世界の人口の二二%は一日一ドル未満の収入しかなく、過去十年で五百万人以上の命が内戦で失われている(国連総会を前に発表されたアナン事務総長の報告書による)。
これらはいずれも一国家では対処し得ず、まさに国連という国際機構が関与するにふさわしいグローバル化のなかの負の問題ばかりである。現在の国連がそれらに対して十分な機能を備えているとはとてもいえない。だが国連の命運を握るのは、加盟国の意思の有無であることを再確認したい。
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