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1993/01/11 産経新聞朝刊
【斜断機】皇室の選択
 
 A男「皇太子妃に小和田雅子さんが内定し、新年早々大変な騒ぎだね」
 B子「本当ね。去年の秋以降は、宮沢りえ、貴花田の婚約で凄い騒ぎだったけれど、破局説がはやくもでてあれれ−と思う暇もなく、皇太子妃内定の報道でしょ。すっかりかすんじゃったという感じね。やっぱり天皇制は健在だったということかな」
 A男「ただ、男の僕としてはちょっとしたカルチャーショックだったぜ、なにしろみごとな経歴だろ。圧倒されて何もいえないって感じだよ。しかも美人で家柄もすごい。スーパーキャリアウーマンかつ正真正銘のお嬢さま、まさに新種のタイプ。女は結婚して家事、育児をするのが一番といった男の願望は粉砕されちまったな」
 B子「皇室が内助の功を自明とする母性的な女性ではなく、アメリカ的キャリアウーマン像を選択したというのも、やはり国際化時代の必然でしょうね。ファーストレディーというかクイーンのイメージよね。女性の時代と騒がれたけれど、不景気の今、女子の労働力など所詮景気調節弁で切り捨てられているのが現実。未来を見出せない女性たちに希望を与えるのは確かだと思うわ。美智子妃が性別役割分業を土台としたニューファミリーのモデルとなったのに対し、小和田さんは、自立志向の強い女性たちが望む新たな家族像のモデルとなるんじゃないかな。男社会に根をおろした芸者文化(ホステス文化)から夫婦で行動するパートナー文化が日本にも浸透していくと思うわ」
 A男「天皇制は新時代のニーズに答える形でみごとに生き延びたというわけだ」
 B子「というより閉じた天皇制から英国王室のような開かれたものに変容するということよ。その鍵をにぎるのは女性の生き方の変化にあるんじゃないかしら。でも旧勢力の抵抗も考えられるから小和田さんバッシングも起きるかも。美智子妃がフォローするだろうけどね」
 A男「皇室のウーマンパワーに期待ってとこだね」
(哲)
 
 
 
 
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