2)端末仕様
(1)入力データ:船底水温データ(水温センサー)
・ NMEA0183準拠シリアルデータ:$IIMTW,xx.x,C(CLRF)
日時・位置データ(GPS)
・ NMEAO183準拠シリアルデータ:
$**GGA,hhmmss,xxxx.xxx,N,xxxxx.xxx,W,uxx,M,uxxx,M
$**GLL,xxxx.xxx,N,xxxxx.xxx,W
$**ZDA,hhmmss.ss,dd,mm,yyyy,xx,xx
(2)データ収録周期:2,5,10,20,30,60minより選択
(3)データファイル:データのファイリングは,1日の0:00〜23:59:59を1単位として毎日作成される。ファイル名は自動的に付けられる。
例)D年月日(ShipNo.).dat
D011201(xxxxxx).dat
(4)データフォーム:ship No.xxxxxx,収録日時,位置,水温(符号±を含む)
Ship No.xxxxxx,yyyy/mm/dd/hh/mm,xxxx.xxx,N,xxxxx.xxx,E,±xx.x,℃
※収録日時は日本標準時間(GMT+9時間)とする。
※水温データの末尾に拡張用データ30バイトを付加している。
(5)データ出力周期:1〜7日間毎,手動により選択可能
(6)データ収録容量:2週間分の測定データ
(7)停電時サポート:収録データは,コンパクトフラッシュカード(以下,CFカード)に常時2週間分保持(停電時でも収録したデータは保持する。)
(8)データ送信:E-mailにて自動送信,送信時刻は任意に設定可能
送信先は,3つまで登録可能
(9)動作情報:LCDモニターに表示
水温データ 良/不良
GPSデータ 良/不良
データ送信中
良好終了/不良終了
(10)電源:AC100V
(11)消費電力:70VA
3)機器構成
(1)I-124制御指示器 データ収録・配信ソフト含む 1式
(2)モバイルアーク
DoCoMo回線接続用 1台
上記AC電源アダプター 1台
上記屋内アンテナ 1台
RS-232Cケーブル 1本
(3)エッジポート
RS-232C〜USB変換器(2ch) 1台
USBケーブル 1本
(4)水温計 本船既設を使用
(注)水温計設置位置が不適切(循環配管等で水温が異常に上がる)な場合は,設置位置を変更する。変更位置は,条件として既設ケーブルで届く範囲内である。
(5)GPS 本船既設を使用
4)動作概要
(1)データ収録装置の電源をONにする。
(2)Ship No.,収集周期をキーボードにて設定する。
(3)データ収録装置は,GPSデータと水温データの取り込みを開始し,取り込んだデータは1日単位でファイル化してCFカードに保存する。
CFカードヘの書き込みは,1測定毎に行い,1日で1ファイルになる。
したがって,停電が発生した場合でも,測定したデータは保存できる。
保存されたデータは,設定した送信周期で,設定した時刻にE-mailで送信される。
なお,例外処理は,以下のとおりである。
・ 停電時
(1)無停電電源装置を使用する。
(2)収録中データは,CFカード上でファイルを作成するので,停電時でも保存したデータの消失はない。
(3)停電復旧後,無停電電源装置は,瞬断のために,30分は動作できるよう設置するが,それ以上は機器の動作は停止する。
(4)再度通電時は,自動的に機器は立ち上がり測定を開始する。
・ E-mail送信不能時(圏外時)
(1)パソコンは,30分,1時間,2時間毎にデータの送信を試みる。
(2)1,3,5回(設定変更可)の試行後,不能で有れば翌日,再度試行する。
・ データ出力機能
(1)パソコンヘ測定したデータファイルを転送する機能である。
(2)転送は,USBインターフェイスを介して,他のパソコンヘCFカードのファイルを転送する。この機能は,測定停止時にのみ動作する。
3. 沖合海洋情報データベース
前項で説明した装置によって収集したデータは,JAFIC本部(東京)で受信した後,以下のようなフォーマットでデータベースに編集される。
なお,データはすべてテキストファイルにより作成して利便性を図った。
【データフォーマット】
(1)観測月日・時間
(2)観測位置
(3)エラーコード(位置・水温)
(4)表面水温(船底エンジン冷却水取り込み口:水深約7m)
出力例
(1)観測時間(時分秒)
(2)観測年月日(ddmmyy)
(3)緯度(度分)
(4)経度(度分)
(5)水温
4. データベースの解析例
前節までの手法で得られた沖合海洋情報を整理し,黒潮水域におけるフェリー航路上の表面水温場の変動を捉えるため,以下に示す各種の図面を作成した。
1)フェリー航走水温観測結果
商船フェリー「しゅり」の航跡と,それに沿った表面水温観測結果の一例を,図5-1〜図5-4に示した。青色の航跡が「東京→大阪→那覇」(下り)便,赤色の航跡が「那覇→大阪→東京」(上り)便である。
黒潮水域において大体同様の航路を運航していることがわかる。水温記録の方は各海域の表面水温場の特徴を明瞭に捉えていることがわかる。また,同一航路でも時間的に変動が激しいことがわかる。
2)月別コンター図
上記のフェリー航走水温記録を使って,2003年の月別表面水温場の変動を捉えるため,経度−時間変動図を作成した(図6-1〜図6-12)。図5に示した航走水温変動を上から眺めた図になっていて,0.5℃毎に等値線が引かれていて,色分けされている。色分けの区分は図7に示している。
東経130度以西の南西諸島海域が高温域で,東京湾や大阪湾が低温域になっている。水温の季節変動が卓越していて,2〜3月に最低水温,8〜9月に最高水温が記録されている。
3)年別コンター図
図6の月別表面水温場を合成し,2003年における黒潮水域の表面水温変動を眺めてみた(図7)。1.0℃毎に等値線が引かれていて,色分けされている。
概略ではあるが,図6で述べた季節別・海域別の特徴を捉えることができる。
なお,今回作成した沖合海洋情報データベースは,今後随時データを追加し,データベースを整備・拡張する。また,上記のような各種図面を作成し,広く一般に公表することを目指す。
図5-1 フェリー航走水温観測記録(2003年3月10〜17日)
図5-2 フェリー航走水温観測結果(2003年5月12〜18日)
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