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ムール貝の汚染物質分析結果
東京農工大学 農学部
高田 秀重
 
 東京湾(風の塔、アクアライン橋脚、東京湾内、)北海道、三重、福井、宮城で採集したムール貝中のPCBとLABを分析した。
 PCBは1960年代に絶縁油等の工業製品に使われていた有害物質である。
 魚貝類に蓄積しやすい、PCBの中にはダイオキシンに近い毒生を持つものも含まれる。
 LABは直鎖アルキルベンゼンの略称である、合成洗剤の主成分に含まれる汚染物質である、LAB自体の生物への毒性は明らかにされていない、家庭排水の指標と考えられる。
 PCBはいずれの場所で採集されたムール貝からも検出された、このことはPCBによる汚染が地球全体に広がっていることを示している、ただし、北海道、三重、福井、松島で検出された濃度は東京湾で検出された濃度よりも低濃度であった。
 特に北海道で採集したムール貝のPCB濃度は非常に低濃度であった、PCBは毒性物質であり、人間が摂取する量が低ければ低いほど安全である、人間への影響は未知の部分も多く、どの程度までならそのムール貝を食べて安全であるという基準もない、あえて食用ということで今回の結果から考えると、北海道で検出された濃度を基準として比べてみるのがよいではないだろうか、北海道のムール貝と比べると東京湾のムール貝は10〜40倍PCB濃度が高く、食用には勧められない、しかし、風の塔は沖合にあるため濃度は汚染源に近い東京湾のものに比べて低い、風の塔で採集したムール貝を浄化してPCB濃度を10分の1程度まで下げることができれば、食用に勧めることも可能ではないだろうか、また、潮流等の季節変化も考えると、秋と冬の分析結果も必要と考えられる。
 
分析結果表(1)
 
(資料No.4)
計量証明書
 
  Lipid
(mg/g-dry)
total PCBs
(ng/g-dry)
total LABs
(ng/g-dry)
I/E ratio Total PCBs
(ng/mg-lipid)
Total LABs
(ng/mg-lipid)
北海道雄冬50u 73.2 2.4 15 1.08 0.03 0.20
福井 92.2 6.7 39 2.73 0.07 0.42
三重 86.6 7.7 619 2.62 0.09 7.15
松島 109.6 31.4 589 5.29 0.29 5.37
             
アクアライン橋脚F 111.3 30.9 165 4.52 0.28 1.48
アクアライン橋脚F 85.9 27.1 15 1.70 0.32 0.17
橋脚P1秋 99.6 46.0 95 6.29 0.46 0.96
橋脚P1冬 92.0 36.9 34 2.42 0.40 0.37
Average 97.2 35.2 77.4 3.7 0.4 0.75
SD 10.9 8.3 67.7 2.1 0.1 0.59
             
分岐No.2春 108.5 110.7 729 5.66 1.02 6.72
分岐No.2夏 106.5 110.0 409 5.32 1.03 3.84
西航路ブイNo.2秋 83.7 148.8 680 3.65 1.78 8.12
西航路ブイNo.2冬 80.7 164.3 1044 6.56 2.04 12.94
Average 94.9 133.5 715.7 5.3 1.5 7.91
SD 14.7 27.4 260.4 1.2 0.5 3.80
             
風の塔春 75.0 23.8 141 5.51 0.32 1.88
風の塔夏 80.3 32.0 81 3.22 0.40 1.01
風の塔秋 108.6 54.1 193 3.96 0.50 1.77
風の塔冬 77.6 39.9 176 6.09 0.51 2.27
Average 85.4 37.4 147.7 4.7 0.4 1.73
SD 15.6 12.9 49.3 1.3 0.1 0.53
 
  Lipid
(mg/g-dry)
total PCBs
(ng/g-dry)
total LABs
(ng/g-dry)
I/E ratio Total PCBs
(ng/mg-lipid)
Total LABs
(ng/mg-lipid)
浄化実験            
風の塔秋 108.6 54.1 193 3.96 0.50 1.77
ゼオライト 76.7 22.4 99 2.50 0.29 1.29
             
活性炭 85.0 24.2 116 3.36 0.28 1.36
             
減少率            
ゼオライト 29% 59% 49%   41% 27%
活性炭 22% 55% 40%   43% 23%







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