厚生省の食用の暫定基準はPCBの一日体重1kgあたり5マイクログラムです。体重50kgの人が一日100gのイガイを食べる場合は、イガイ中の濃度が2500ng/gまでなら基準を満たすことになります。今年東京湾で採取したイガイ中のPCBの濃度は25ng/gでしたから暫定基準値以内ということになります。しかし、この暫定基準値は1970年代に決められたもので、内分泌系への影響等最近の毒性学の知見が取り入れられていません。残念ながら内分泌攪乱など最近の知見も取り入れた基準は作られておりません。そのような基準を作るべきだと最近私たちが主張しています。
例えば、東京都が行った調査では隅田川河口で採取したムラサキイガイ中のダイオキシン類の濃度は1.5pg/TEQ/gです。これを体重50kgの人が100g食べたとすると、一日体重1kgあたり3pg-TEQのダイオキシン類を摂取することになります。ダイオキシン類の最大耐用摂取量はWHOから1pg-TEQ以下が理想であると提案されています。3pg-TEQはそれを超えております。せめて三分の一程度の濃度にならないと勧められません。風の塔のイガイならば隅田川河口の三分の一程度になるのではと推定されます。
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