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(2)有人潜水船で観た深海底の様子
(1)深海底の大地形
 中央海嶺、海溝、島孤、背孤海盆、海山、深海平原など地球表面で起こる地震や火山噴火は、プレートが相互に接触するために起こります。これらが発生する場所は、中央海嶺と海溝の周辺ですが、その殆どが海底にあるため、直接観察するのは困難です。
 
(2)中央海嶺の様子
 中央海嶺の表面は、(玄武岩質を主とする)新しい溶岩によって形成されていますが、その多くは枕のような形をしていることから“枕状溶岩”と呼ばれています。
 これは、火山が噴火した際に海底に噴出した溶岩の表面が海水によって急速に冷却されることによってできます。また海底には、熱水の噴出が観られますが、これは、海水が岩石の中に浸透してゆき、マグマによって熱せられると同時に、マグマから金属元素などを溶かし込んで、熱水となって噴出する現象です。熱水の中に重金属を含み、それが周囲の海水で急激に冷やされて黒い結晶となると、あたかも黒煙が噴き出しているように見えるため、これを「ブラックスモーカー」と呼んでいます。これに対し、熱水の中に多量の硫酸化物を含み、それが冷やされて、結晶化して白く見えるものを「ホワイトスモーカー」と呼んでいます。これらが噴出する熱水の方が温度が高い方が浮力が大きいために勢いよく噴出します。また、一般的には黒煙を噴出する勢いは、熱水の温度が高い(約300℃以上)傾向があります。そして、これらの噴出口の周囲は、海水で冷やされた沈殿物が煙突状の形をしているため、これを「チムニー」と呼んでいます。
 
ブラックスモーカーとチムニー
 
しんかい2000で撮影された枕状溶岩
 
(3)海溝の様子
 海溝のできる様子については、先に述べましたが、それによってできた海溝の長さは、実に約11000mにも達します。海溝では、プレートが潜り込む時に大陸性地殻のプレートの表面に多くの断層が生じ、その時に大きな地震が起こり、津波が発生したりします。
 
海底地形とプレートの動き
 
(4)深海平原など
 実際の深海は、大半が極めて変化に乏しく、例えば陸上では、岩石等は“風化“浸食”“運搬”“堆積”という4つの作用によって運び去られますが、海底では温度が一定で風化を受けにくく、また水の流れは、運搬は行うものの浸食は殆ど行われません。そのため深海平原は、何千万年におよび静かであることが多く、深海底に眠るマンガンノジュールは、極めて長い年月をかけて成長するのです(1cm成長するのに百万年かかるといわれています)。







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