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実習
◆ROVによる生物観察
 
水中テレビカメラロボット
 
 ROV(Remotely Operated Vehicle)とは、水中テレビカメラロボットのことで、陸上から遠隔操作により水中を航走し、内蔵されたビデオカメラにより海中の映像を見ることができます。
 
 海洋科学技術センターは、東京湾に面していますが、周辺の海は決してきれいとは言えません。特に夏は、赤潮が発生することが多く、水中での視界がほとんどきかない場合もあります。しかし、こんな海でもさまざまな生物が生きています。
 今回の実習では、海洋科学技術センターの岸壁で、みなさんが実際にROVを操縦して、東京湾の海底探索を楽しんでもらいます。さて、どんな生物と出会うことができるでしょうか?
 
陸上からの遠隔操作
 
(1)地球とその海底
(1)地球の構造
 太陽系の惑星は、主に固体から成る地球型惑星とガスが大きな割合を占める木星型惑星とに分かれます。地球型は、外側に主として岩石から成るマントルと内側に金属から成る核をもっています。地球では、さらにマントルの外側にごく薄い地殻を持つ三層構造をしており、その構造は、ちょうど卵のようになっています。
 
(2)熱的に生きている地球
 月などの小さな地球型の天体は、すでに内部も冷えて固まっていますが、地球や金星では、形成時からのエネルギーがまだ内部に残っており、内部の核にまだ溶けている部分があります。そのため、地球内部から外部に向けて絶えず熱の放出が起こっているのです。
 地球の場合、この熱は、各の外側にある“固体”であるマントルに、一億年以上かけて1回まわる、といったゆっくりした対流によって地球の外に運ばれます。この対流の地球表面での出口では、その熱によって火山活動が起こり、新たな硬い岩石から成る“表面地殻”が形成されます。
 
(3)地球全体の7割を占める海洋底
 地殻は、この対流によって更新される海洋性地殻と表面に殆ど止まる大陸性地殻とに分けられます。大陸性地殻は、海洋性地殻より軽い岩石が分離したもので、ちょうど海洋性地殻の上に浮いているような構造をしています。そして、地球表面が固まった後からのものが残っており、その最も古いものは、約40億年もかかって形成されたといわれます。
 一方、海洋性地殻は、常に更新されるため、最も古いものでも約1億5千万年程度にすぎません。これが地球表面の7割を占めており、すべてが海に覆われています。
 
(4)地球表面の更新とプレートテクトニクス
 海洋性地殻には、その上に大陸性地殻を乗せたものと、そうでないものがあります。また、マントル内の対流において、流れないで固まり、マントルの表面を覆う部分があります。それは、地殻とすぐ下のマントルの最上部から成り立っており、プレートと呼ばれます。このプレートは、地球の表面に14枚存在し、マントル層の上を年間1〜10cm程度の速度で移動しています。
 
※破線はプレートのおおよその境を示す。ローマ字はプレートの略語。
AF: アフリカプレート、AN: 南極プレート、AR: アラビアプレート、AU: オーストラリアプレート、CA: カリブプレート、CO: ココスプレート、EU: ユーラシアプレート、NA: 北アメリカプレート、NZ: ナスカプレート、PA: 太平洋プレート、PH: フィリピン海プレート、SA: 南アメリカプレート
 
(1)千島・カムチャッカ海溝(2)日本海溝(3)伊豆・小笠原海溝(4)マリアナ海溝(5)ヤップ(西カロリン)海溝(6)パラオ海溝(7)南西諸島(琉球)海溝(8)フィリピン海溝(9)トンガ海溝(10)ケルマデック海溝(11)アリューシャン海溝(12)中米海溝(13)ペルー海溝(14)チリ海溝(15)ジャワ(インドネシア)海溝(16)南西インド洋海嶺(17)南東インド洋海嶺(18)東太平洋海膨(19)大西洋中央海嶺
 
 これらのプレートは、お互いに別の動きをしており、離れたり、衝突したりする部分があります。この離れる部分では、地球内部に対流によるマントルの噴き出し口となり、海底に長く連なる大山脈、すなわち“中央海嶺”が形成されます。一方、プレートが衝突する場所では、軽い大陸性地殻をもつプレートの下に、重い大陸性地殻が潜り込む現象が起こり、このような場所では、長い溝、すなわち“海溝”が形成されます。このようにして海溝で潜り込んだプレートは、マントルの対流に乗ってそのまま地球内部に戻っていくことになります。なお、プレートが沈み込む場所を“沈み込み帯”と呼びます。これら一連のプレートによる地球表面での現象を説明する説を“プレートテクトニクス”といいます。







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