湖の水
◆やってみよう
手前の取っ手を動かすと下に見える絵のようすが変わります。水の中がこんなふうに変わるのはなぜだと思いますか?
◆考えてみよう
水中に住んでいる生物が必要とする酸素は、主に水面から取り込まれます。水面を通して空気中の酸素が水の中に入ってきます。水中では、藻も光合成をするときに酸素を発生しますが、合成物を分解するときにそれ以上の酸素を自分で使ってしまいます。水中では、酸素は底の方まであまり届きません。
富栄養化が進むと、植物プランクトンや藻が大量に繁殖し、水中で利用できる酸素がすべて消費されてしまいます。
●解説
窒素は生命に不可欠なものですが、これは植物によって吸収され、その成長に大きな影響を与えます。洗剤のリン酸塩などの廃棄物が流れこんだり、窒素肥料が多く含まれた土地が雨で洗われたりすることによって、河川、湖、沿海で、水面に生える藻類や植物プランクトンの養分が豊富になり過ぎ、異常繁殖が起ることがあります。
植物プランクトンや藻類の光合成によって酸素が発生されても、合成物の分解のためにさらに多くの酸素が消費されるので、環境内では酸素量の低下が起ります。この現象は通常4月から10月の間、湖や流れのゆるやかな川などで発生します。また、それは水の深さや透明度とも関係しています。
いきすぎた富栄養化現象が引き起こすアンバランスな状態によって生態系が大きく乱され、完全な破壊に至ることもあります。
100%リサイクル?
◆やってみよう
リサイクルとは、くり返して再利用することをいいます。
どれが、一番リサイクルしやすいでしょうか?
現在、リサイクルが一番進んでいるものはどれでしょうか?
◆考えてみよう
年間の家庭ゴミは、フランス人では一人当たり400kg、日本人では1000kgです。先進国では、ゴミは重さも「かさ」もどんどん増えています。この現象を改善するために、少なくとも四つの方法があります。廃棄物の発生量を減らすこと、不必要な包装を止めること、ビンのような容器は繰り返して利用すること、そして再生・処理をすればもう一度利用できるものはすべて利用することです。
●解説
ある工業製品の設計を考えるときからすでに、その製品が生態系に与える影響を包括的に理解しようとすることが必要です。
最近では、ある製品が利用されはじめると何が起るかということに関心が向けられるようになり、それは廃棄物と公害の発生を抑制しようとする意志の表れでもあります。
この傾向の中で、主に取り上げられる問題は、廃棄物の回収とリサイクルの方法です。再利用(自動車部品)、再生利用(紙、ガラス、プラスチック)、再処理(油)、エネルギーの効率利用(都市暖房)により新たな価値を生み出すことを考えます。
水はふくらむ!?
◆やってみよう
容器をまっすぐに立て、下側のガラス容器の底を手で暖めて下さい。何が起るでしょう。そして、それはなぜでしょう?
◆考えてみよう
手で暖められるぐらいの温度でも水は膨張します。
地球温暖化等の影響で平均気温が数度上がればこの原理から海水自体が体積を増やし、海の水位が上昇するおそれがあることが理解できます。その影響は氷山や氷河が融けることよりもはるかに大きくなります。
水位が1メートル上昇すると、世界の3分の1の人びとの生活がおびやかされます。大きな河口地帯が水没したり、淡水が塩水になったりするからです。
海面の温度が上昇すると、異常気象や台風が頻繁に発生する原因にもなります。
●解説
この実験はアルコール温度計の原理を示しています。液体は暖められると膨張し、体積が大きくなります。冷えると逆に体積は小さくなります。
水は4℃までこの法則に従い、この温度で密度が最大になり体積は最小になります。温度が4℃より高くなると水は膨張しますが、この温度以下でも膨張し、氷は水の時よりも体積が大きくなります。密度で考えれば、氷は水よりも密度が小さく、したがって、氷は水に浮かぶということが説明できます。湖が底まで凍ることがないというのも、この原理のためです。
海の温度が上昇すると平均潮位が上がるということの一番大きな理由も、この原理に求められます。それは、海が熱膨張するということに他なりません。潮位上昇による影響はいろいろありますが、海岸地帯に人口が集中している場合は、問題が特に深刻になります。
どこのゴミ箱?
◆やってみよう
ゴミ箱のふたを全部開けてみて下さい。
どのゴミ箱が、どの国のものか分かりますか?
◆考えてみよう
豊かな国では1人が1年に300kgから700kgのゴミを出すのに対して、100kgほどしか出さない国もあります。ゴミの中身はいろいろです。有機物(台所からのゴミ)の割合は、先進国のものほど少なくなります。その多くは、プラスティックや包装ゴミの割合が大きくなるからです。
●解説
ゴミ箱の中身は、ゴミを出した人々の生活様式や消費様式に関して多くのことを教えてくれます。このことは人にも都市にも国にもあてはまります。
ある都市の家庭から出るゴミは、その町の社会・経済的な姿をそのまま反映しています。ゴミ分析研究者はゴミからその都市の特徴を決めることができます。
工業が発展し消費が進むにつれて、廃棄物もたくさん出ます。廃棄物の量は、この10年間で50%以上も増えています。
暑さ、寒さ 熱の循環
◆やってみよう
ランプで熱されたアルミ粉の動きを見てみましょう。どんなことが起っているでしょうか。
◆考えてみよう
ランプで暖めると底の方の水は膨張して密度が小さくなります。そのため渦を巻きながら上に昇っていきます。一方、水面の水は昇ってくる水より冷たく、より密度が大きいため、下に降りていって、はじめに底の方にあった水と位置を変えます。このような動きを対流といいます。
大気の中でも、つねに対流が起っています。それは大気が地球の発散する赤外線によって下から暖められているからです。海では暖かい水が水面にあります。温度の違う水の層が混じりあう速度は、空気の場合よりも、もっとゆっくりしています。
●解説
アルミ粉を見ていると、ランプによって暖められた流体の中に流れが発生するのが分かります。この流体は熱くなると膨張し、表面に向かって上昇し、そこで冷えて濃縮され、今度は下降して来ます。こうして動きはいつまでも続きます。
流体では、それが水であっても空気であっても、このような流れが熱を伝え、温度のちがう各層を混ぜ合わせます。これを対流と呼びます。テレビの天気予報でもおなじみですが、地球の回転とともに、この流れが気象状況を変化させているのです。
気象状況の変化には、海が一番大きな役割を果たしています。
・海は雨となる水を大気に与えます。
・赤道の熱を寒い地域に伝達し、夏期に熱を貯え、冬期に放出します。
・空中の二酸化炭素(CO2)を取り込みます。このように、海は気候の調整をしています。
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