II-1-2. 文献調査票
分類学的位置付け 2
題名 |
Caulerpa taxifolia in the northwest Mediterranean
: introduced species or migrant from the Red Sea? |
著者名 |
CHISHOLM J.R.M., JAUBERT J.M., GIACCONE G. |
誌名 |
C. R. Acad. Sci. Paris, Sciences de la vie/Life sciences |
年 |
1995 |
巻・号・ページ |
318:1219-1226 |
キーワード |
コーレルパ・メキシカーナ(Caulerpa mexicana)の変形、イチイヅタ(Caulerpa
taxifolia)、スエズ運河からの移入、生物地理学の伝播 |
要約 |
1995年2月にシシリー島で採取したコーレルパ・メキシカーナを23℃の光の強く当たる水槽内で培養したところ、地中海北西部で異常繁茂している変異型イチイヅタと非常によく似た葉状部が発生した。シシリー島で生育しているコーレルパ・メキシカーナとイチイヅタは季節的な生活史も似ており、共通の表現型をもつ個体群である。この実験から、イチイヅタは、コーレルパ・メキシカーナの単なる変形型であるといえる。熱帯産であるCaulerpa
racemosaなどは、すでに紅海から1939年に移入されたのが確認されているし、モナコからたったの200kmしかはなれていないところまでにCaulerpa racemosaは入植済みである。これらのことからも、地中海北西部やアドリア海で発見されたイチイヅタは紅海から地中海への自然の移入拡大であって、単に地球温暖化がその生長を助長しただけである。
(A)Caulerpa mexicanaの葉状部、 (B)と(C)Caulerpa taxifoliaの葉状部
|
その他 |
『地中海で発見された変異型イチイヅタは、紅海から移入され生育を拡大してきたものである』と、『水族館の水槽から出たイチイヅタの破片が、地中海の生態系を破壊した』説への反対意見を述べた論文である。 |
|
分類学的位置付け 6
題名 |
Sur l'origine de Caulerpa taxifolia en Méditerranée. |
著者名 |
MEINESZ A., BOUDOURESQUE C.F. |
誌名 |
C. R. de l'Académie des Sciences |
年 |
1996 |
巻・号・ページ |
319:603-613 |
キーワード |
イチイヅタ(Caulerpa taxifolia)、コーレルパ・メキシカーナ(Caulerpa
mexicana)、地中海 |
要約 |
イチイヅタは、1984年に初めて地中海で発見された。場所は、水槽内でイチイヅタを展示中のモナコ海洋博物館の前面海域であった。
その後、イチイヅタは地中海北西部を速いスピードで多い尽くし、1995年には最初の発見地から10kmの範囲内の場所では90%の占有率にまで広がった。この地中海で見つかったイチイヅタは熱帯産のイチイヅタが耐寒性をもった変異型と考える。CHISHOLM
J.R.M.,JAUBERT J.M., GIACCONE G.が、C. R. Acad. Sci. Paris, Sciences de la vie/Life sciencesの318号
1219-1226.において発表した『イチイヅタは、紅海から自然に移入してきたもので、コーレルパ・メキシカーナの変異型である』としたデータは、誤りであると指摘した。実験に使ったメキシカーナ自体が違っていたのである。
(A)Caulerpa taxifoliaと、(B)Caulerpa mexicanaの判別が容易な個体
↑(A)(B)両個体ともCaulerpa taxifolia。(B)は、Caulerpa mexicanaに酷似している。
|
|
その他 |
【分類学的位置付け2】に対する反対意見を述べた論文。研究に使用した藻体サンプルの同定間違いを指摘した論文である。イワヅタ属の仲間は、形態変異が激しく、高度な同定技術が必要である。 |
|
|
|
|