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事例から窺える「おやじの会」立ち上げ成功の秘訣
(Q & A)
Q 学校(校長)との関係
A 学校、特に校長の理解と協力を得ることは必須、常に「報告・連絡・相談」の姿勢で。また、一般の先生達は、地元に戻れば、その地域の一住民、よって、主催する行事等への参加、特に子ども達が参加しているからといってこれを強要することは差し控えること。また、このことにつき保護者、特に母親の理解を得ておくこと。
 
Q PTAとの関係
A PTAの理解と協力を得ておくこと(特に、お母さんが中心的に活動しているPTAでは)。
 「おやじの会」は、PTAとは異なり、規約といったものが無い場合が多く、出入りも自由である。
 PTAとバッティングするような行事は行わず、むしろそれに協力する姿勢が必要。
 
Q 行政との関係
A 最近は行政の支援もあるので、学校を通じ、常に情報提供と情報蒐集を怠らないこと。
 
Q どのように立ち上げるのか
A 校長の働きかけで立ち上げる場合は、日頃から学校のPTA活動や行事によく顔を出される父親に母親を通じて、声かけする。その際、核になって貰うメンバー4-5名を頭に描いておく。
 父親達が自主的に立ち上げる場合は、学校の何かの行事にたまたま協力した父親達が、いわゆる「飲み会」で盛り上がり、次に何かやろうということで立ち上がる場合が多い。
 
Q メンバーの募集はどうするか
A 学校、PTAの協力を得て、紙ベースで募集することもあるが、お母さんたちの口コミの力も大きい。「会員募集中です」とストレートに呼びかけるよりも、例えば、学校のウェッブを通じ、「―をやるのでお手伝いをお願いできませんか」と言った形で行事ごとのサポーターを募集するのも有効。
 
Q 会員の範囲または資格
A 主として子ども達の父親らがメインになるが、これに限定せず、「すべての児童のおやじ」として何か行いたいと思う人はすべて「おやじの会」の会員になれる。すなわち、父親でなくてもよく、母親、女性の方や卒業生の保護者の方、地域の学生や高齢者の方でもよいなど「おやじの会」が地域の接着剤になればよい。
 また、行事の内容によっては、中高生などの先輩や、5、6年生が実行委員として加わることでより面白くなる。
 
Q 立ち上げ行事としては何がよいか
A 良くあるのは、冬の餅つき大会の手伝いと夏の校庭でのキャンプ大会のお手伝い等であるが、学校からお願いする場合は、校内LANの整備、校庭の植栽の整備、ビオトープ造成の手伝い等が考えられる。また、地域のNPOの力を借りて行事を行うのも面白い。一般論であるが、子どもにはやはり、食べ物関連の行事がうける。
 
Q おもなイベントと留意点
A 餅つき、キャンプ以外にもパソコン教室、科学実験教室、焼き芋大会等々が考えられるが、父親達も一緒に楽しむ姿勢、自分の子どもだけでなく、参加した子ども達全員のおやじになる気持ちが大切。1日行事の場合は、いろいろな講座をちりばめるいわゆる「縁日方式」のほうが子ども達は喜ぶ。
 最近では、インターネットで面白い行事を検索することもできる。また、地域の児童館に行けば、子ども達が喜ぶ遊びに詳しい指導者がいるので相談するのも良い。
 事前の役割の明確化とマニュアルの作成、メンバー間のメーリングリストで意見交換を行ったり、情報の共有化を図ることも大事。
 
Q お金(活動費)のこと
A 父親達の寄付、PTAからの補助金、行政からの補助金、イベントでの剰余金、飲み会のおつり積み立て等々。なお、参加者からは実費を徴収してよい。
 
Q 長続きの秘訣は
A ゆっくりと、あせらず、気長に自分達が楽しめる好きなことに取り組むこと、出入り自由、例えば、出欠の事前連絡不要等の配慮も必要。
 
Q 施設の利用方法
A 自治体にもよるが、学校、特に小学校は、休日に学校開放することになっている事が多い。運動場や体育館は校長の許可を得て利用できる。
 
Q 広報は
A PTAを通じて紙ベースと学校のウェッブを通じた広報、そして意外と有効なのが、口コミ、特に母親達の口コミ。
 
Q リスクマネジメントは
A 行事の前に参加者への説明会を行う。行事保険(PTA活動保障制度の活用や民間の傷害・賠償保険)を手配する。当日は、参加者名簿で出欠を確認し、防犯・警備担当を置くことが望ましい。
 
Q ストレスとその解消方法
A まじめにやればやるほど、ストレスがたまるのは必然。でも、子ども達の喜ぶ姿がほとんど全てのストレスを解消させることが多い。「飲み会」と称する反省会も有効。
 
 今回の調査は、きわめて限られたモデル地域での調査であり、「おやじの会」立ち上げ支援の取り組み自体も、首都圏のごく限られた地域でのモデル取り組みであり、これらを汎用性があるものとは、必ずしも思っていない。全国それぞれの地域では、その地域性を生かした形での取り組みが、行われるべきは当然であるが、今回の報告が少しでもそれらの取り組みの参考になれば、幸いである。
 今回の調査および取りまとめ事業は、以下に記載のプロジェクト推進委員の皆様、ならびに全国12のモデル地域に立ち上げた地域プロジェクト委員会の皆様のご協力を得て、完成した。この場を借りて、謝意を表したい。
 
土屋隆之 氏 (小平市立第八小学校校長)
羽田睦徳 氏 (板橋区立金沢小学校PTA会長)
藤井 誠 氏 (国際理解教育情報センター代表)
矢内正孝 氏 (東京都教育委員会生涯学習スポーツ部計画課係長)
 
 また、本事業は、日本財団からの助成金をベースにして実施した。この場を借りて日本財団には、厚くお礼申し上げたい。







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