第1要素 組職と意思決定者(規制、監督等の機関、企業等)
【運航者(COSCO)】 ◎不十分な安全管理体制 ◎不十分な乗組員に対する教育・訓練
・自動制御システムの保守と検査を自ら行わず、その確認をノルウェー船級協会に頼っていたため、本船の自動制御システムが正常に機能していなかった
・推進力喪失などの緊急時に対応する主機自動制御のオーバーライド機能を使用する方針を乗組員に対して規定していなかった
【SOLAS条約の規定にかかわる事項】◎不十分な規制
・定期的に無人となる機関室のための自動制御の検査手順を義務付けていない。
・自動制御システム使用に関する研修や訓陳の必要に対応するための標準手順書の備え付けを義務付けていない。
・Vessel Event Recorderの装備を義務付けていない。装備されていればBRMが果たしたであろう役割を著しく高めたであろう。
【CFR33連邦規則にかかわる事項】◎不十分な規制
・タンカー以外の船舶に制限水域等における機関室の配員を義務付けていない
・自動制御のオーバーライド機能の使用可否、水先人への手順連絡の要件を定めていない
・制限水域を航行中に錨操作員の配置が必要とされるかどうかについて明らかにしていない
・機関室自動制御システムのSOLAS条約により装備が義務付けられる可視可聴警報機について、発航前検査を明らかにしていない
・USCGのPSC船上検査には、自動制御システム及びこれらのシステムに関する訓練や保守記録の検査は含まれない
・船舶技術系統に関する試験手順、マニュアル、その他の文書の搭載要件を含んでいない
・制限水域航行船にガバメント・ニコル又はグレトナの灯台オペレータとのVHF67chの連絡を義務付けていない
【USCGにかかわる事項】◎不十分な安全の推進
・海洋安全情報システムに入っている船舶事故記録へ水先人等が容易にアクセスできる手段がなかった
・乗客を乗せて係留する旅客船の保護対策に関する全国規模の方針が定められていなかった
・船橋監視を命じた船舶についても避難命令の能力と権限について監視員の資格が明確でなかった
【DNVノルウェー船級協会規則にかかわる事項】◎不十分な基準
・自動制御システムの自動減速及び自動停止機能に情報を送る温度及び圧力センサーの校正確認を義務付けていない(国際船級協会も同様)
・本事故調査で証拠として扱われた自動制御の4つの検査手順は、ノルウェー船級協会の検査プログラムの一部として使用することが可能(国際船級協会も同様)
・同協会承認の検査プログラムを整備し、自動制御システムの体系的な保守や機能検査のために計画的に利用することを義務付けていない
・機器に障害が発生した際、船主と操船者が行う通知について要件があいまいであり、報告すべき重要な船舶システムが具体的に示されていない
・ノルウェー船級協会検査官はCOSCOが積極的な保守や検査を行うための要件を省くことを許した
【水先人会にかかわる事項】◎不十分な安全の推進
・ミシシッピー川の航行情報、特有な操船に関する情報を外国人乗組員に十分に提供していない
【ニューオーリンズ海事安全事務所】◎不十分な安全の推進
・管内水域内での係留旅客船のリスク評価を実施していなかった
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