質疑に答える
中国は広い国です。「群盲、象を撫でる」ではありませんが、1つの事例をみて、これが中国だとは、とても言えません。
生活環境は厳しいか?
中国は東西南北に広がった国で、いわゆる少数民族も56の種族がいると言われ言語、風俗、習慣も異なります。同様に気候も極寒、熱帯、乾燥地帯、多湿地帯まであり、多様です。
同じ漢民族でも、北京語、上海語、福建語、広東語では、あたかも民族が違うかのように言葉が通じません。
生活環境も、地域によって、大いに異なります。入浴ひとつとっても、長江の北側はシャワーで南側には日本同様に入浴の習慣があると言います。食事も魯菜(山東料理)、川菜(四川料理)、粤菜(広東料理)、淮菜(淮楊料理)に代表されるように多彩です。
生活環境を左右するのは、地域のインフラ整備がどの程度進んでいるかの他に、赴任校の経済状況があります。同じ地域でも学校によっては、「快適」か「不快」にわかれます。特に重要な要素として、赴任校の人間関係が係わってきます。
しかし、中国での生活を豊かにするのは、「中国の(地域の)風土、文化をジカに確かめよう。」という意欲だと思われます。どこに行っても「日本ではこうだ!」「日本と比べたら・・・。」と言うように、日本の価値判断を持ち込む限り、決して成功はしないと思われます。(海外青年協力隊では(1)現地人と同じところに住み、(2)現地人と同じ物を食べ、(3)現地人と同じ視点で考える。ことをモットーにしています。)
専家局は、中国の大学・学院の日本語教師招聘資格の審査基準に「炊事施設」「シャワー(入浴)施設」をあげて、生活環境の改善に努力しています。一定の基準に合格しないと「招聘資格」を与えられません。しかし、停電、断水、水質等は、地域全体の場合が多く、どうしようもありません。
中国語は必要ないか?
赴任される先は中国の大学・学院で、通常、複数の中国人の日本語教師がいるようです。(通常と言ったのは、大学・学院によって条件が異なります。)
つまり、中国人日本語教師の存在を前提として言えば、当センター派遣教師が行う日本語教育は、初級の段階から直接法ですから、その限りでは、日本人教師の中国語の能力は問われません。しかし、学校内外の中国人との交流を考えれば、中国語の会話能力が高いに越したことはありません。また言葉の概念を伝えるとき、直接法では困難であってあっても「媒介語」として中国語で説明すれば、一発で理解させることができます。
派遣中の某教師は、中国人教師のなかで、中国語が分からないために孤独感に陥り寂しい思いをする、と述懐しておられます。これは、中国語が出来ない方々は、大同小異の感慨をお持ちのことと思われます。生活に必要な「買い物」などは、日本語の学習を兼ねて、学生達が喜んでついてきてくれるようです。
結論として、中国語が堪能であれば、中国での交流や生活が、もっと大きく、豊かになることは間違いありません。
ワープロかノートパソコンが必要か?
教材をつくるのに、どうしても日本語ワープロか、ノート型パソコンは必要です(過去には、昔懐かしいガリ判や、ボールペン原紙を使って、教材づくりをしている教師もありました)。中国の電圧は220ボルト。日本製の電気製品は100ボルトですから、当然に変圧器が必要になります。
中国へ赴任する日本語教師は、日本語ワープロを持参いたしておりますが、以前は文教専家の持参するワープロは入国の際「無税」であったものが、1995年夏から「課税」の対象となりました。しかし、99年の中国財政部第5号の通知によって「外国人専門家が、初めて中国に入国する際の個人使用のビデオカメラ、VCD、携帯型コンピューター等、教育用器機、サンプル、工具等は免税待遇にあたる」とされています。(しかし、手続きに問題が残っています。)
なお、中国語の打てるワープロかパソコンは?ということですが、日本製ではパソコンに中国語のソフトがあります。入力方法ですが、ピンインで入力する必要があるとすれば、余程中国語に堪能でないと入力できないし、また、中国製のワープロの入力方法は鄭碼、王碼、五筆字形、ピンインなど10数種があり、なかには一定の記号を覚えなければ打てないものもあります。こういう特殊な機器ではとても使いこなせるものではありません。(中国製ワープロは約10,000元くらい)
〔パソコンの配置〕
当センターでは日本財団の協力を得て、97年から99年の3年間で60台のパソコンを赴任先に配置しました。
'97年度に配置した学校は、
山東大学、東北師範大学、長春外国語学校、内蒙古林学院、長春師範学院、白求恩医科大学、延辺大学、烟台師範学院、大慶石油学院、焦作工学院、山西農業大学、北京機械工業学院、河南大学、吉林大学、山西工業大学、天津理工学院、大連外国語学院、大同医学専科学校、北京外交学院、専家局
'98年度では
同済大学、遼寧師範大学、大連水産学院、吉林工業大学、福建師範大学、福建華僑大学、東北電力学院、山西大学、上海科技幹部管理学院、曁南大学、長春税務学院、佳木斯大学、天津商学院、南開大学、人民日報日語講習所、杭州大学、北方工業大学、山東中医薬学院、湖北汽車工業学院、中国人民武装警学院
'99年度では
上海鉄道大学、中山大学、長春中医学院、藩陽薬科大学、秦皇島燕山大学、大連民族学院、西南師範大学、瀋陽師範学院、錦州師範学院、遼寧大学、淮海工学院、民弁青島濱海職業学院(2台)、江蘇省常州旅游学校、大連外語学院、曲阜師範大学、上海工商日本語学校、内蒙古農業大学、東北育才学校
一時帰国は?
赴任中、春休み(春節)や、学期末休暇を利用して、一時帰国されることは自由です。しかし、外籍文教専家の安全について、学校当局はかなり気をつかっていますので、一時帰国の際はもちろん、小旅行の際も、必ず学校当局(外事処)へ連絡しておいてください。なお、一時帰国の際は、必ず「再入国ビザ」(これは外事処へ頼む。)を取っておいてください。これがないと、また最初から健康診断、ビザの申請などの手続きをやり直すことになります。
アルバイトは?
現地の中国人と親しくなって、その人から、一時的に校外での「仕事」を頼まれるケースがあります。いわゆるアルバイトで、その際、一定の報酬を受けたということで、学校当局を憤激させたという事例があります。(中国人教師が「通訳」等で外で働く場合には、その収入の部を学校へ納入する建前のようです。)
このような場合には、必ず学校の外事処に連絡し、その同意を得てから行ってください。
家族の訪中は?
配偶者や家族の訪中は、学校(外事処)へ話して同意を経てからお呼びください。(短期滞在の「観光ビザ」であれば、健康診断書の提出などは不要です。)
中国へ送金する確実な方法は?
中国へ赴任したらすぐに、中国銀行(もしくは工商銀行)へ、日本円なら1,000円、US$なら10$を預けて口座を開設します。(旅券と居留証を提示する。)(日本で送金する時、漢字での記入が出来ないので、銀行の支店名、支店住所をアルファベットで控えておき、日本へ知らせておくことが重要。なお、送金時には身分証明書が必要。)
その口座へ、日本の銀行(在日中国銀行でも可)から送金すれば、約1週間程度で、中国で日本円(もしくはU.S.ドルが引き出せます。但し、中国の地方の支店では外貨を扱わず、すべて人民元で支払われる場合があります。なお、開設した口座に帰国時に残金があれば、残高0にして帰国してください(日本では引き落とせない)
ついでに、日本にある中国銀行(BANK OF CHINA)を紹介しておきましょう。
東京支店 〒107東京都港区赤坂3丁目4番1号
TEL:(03)3505-8818
横浜支店 〒231横浜市中区山下町89番地1シイベルへグナールビル1階
TEL:(045)663-2288
大阪支店 〒550大阪市西区北堀江1丁目1番35号
TEL:(06)539-3666
丸の内出張所
〒100東京都千代田区丸の内1丁目5番1号新丸ビル1階
TEL:(03)3214-4411
もう一つの確実な方法は、日本の郵便局(特定郵便局を除く)から、「国際送金」する方法です。現金書留も利用しやすいでしょう(6万円限度)
但し、中国へは「郵便振替口座送金」「電信扱い」の送金はできず、通常の送金方法となるようです。(送金額によって、手数料が変わります。詳しくは郵便局へ)
中国で日本の新聞、雑誌等を入手する方法は?
北京にある下記の公司へ注文すると、日本の新聞、本、雑誌等を購入することができます。
中国図書進出口公司 外賓服務科 連絡人:徐頻
北京市朝陽区工人体育場16号
電話: 010-65063067
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なお、当センターとも関係の深い、中国労働部の「中国職業技能開発交流中心」の東紅女史に連絡すれば、斡旋していただけます。(日本語可)
中国職業技能開発交流中心 東紅女史
電話: 010-6402-3623
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◎北京に「中国公司図書音像中心」(北京市朝陽区工体東路16号南小楼1、2層)電話(日本書刊部)010-65001336には日本書籍が豊富にあるという派遣教師からの情報です。
ペットの犬や猫を連れていきたいが?
猫や犬については、日本国が発行したペットの健康診断書、ワクチン注射済の証明書と人民元1000,00(交換比率15円として約1.5万円が必要です−99年5月現在)。
旅客機から降りてから、ターミナル1階の「動物検疫所(1163号室)」へ行ってください。問題がなければ20分で出られるが、何か問題がある場合、ペットに限って北京での留置期間が30日間延長され、ほかの地方と北京市内への連れ出しが禁止されます。また30日以内にペットを連れて、再び動物検疫所へ行って、ワクチンの注射をさせなければなりません。
なお、鼠や鳥類の場合は、中国に来る1ヵ月前に、中国側を通じて国家動物検疫所へ申請し、許可を得なければなりません(電話=64922255)。
子どもを連れていけるか?
「子ども連れで赴任できるか」ということですが、中国が主催する国際会議(日、米、欧などの文教専門家派遣団体を集めて行う会議−前記参照)などでは、同伴者として配偶者の来華は歓迎するが、保育幼児、学齢児童については受入れ態勢がないため「受入れない」旨の発言が中国側から相次いでいます。
現実には、日本人学校がある地域は少なく、あってもその費用は高額です(授業料、送迎費用、食費等)。かなり難しい問題のように思われます。
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