■実施当日の様子■
[当日の模様]
当日はどんよりとした曇り空。風も強い。
室蘭はこの夏は記録的な冷夏で、7月の平均気温は16度とか。今日の室蘭から白老までの「日本ぐるっと一周・海交流」はどうなるのだろうといささか不安を抱きつつ、待ち合わせ場所の、祝津町は白鳥大橋たもとの、国土交通省室蘭港湾建設事務所へと向かう。
待ち合わせ場所には、既にNPO羅針盤のメンバーと国土交通省のスタッフが待っていた。出発時間の8時に室蘭港を出航。船は、国土交通省の監視船「みさご」だ。クルーザーを小振りにしたような形で、600馬力のエンジン二基を搭載し定員は25名。船室は差ながら観光バスの要で、さすがは国土交通省の監視船と感心。ちなみに、船員は5名である。
船は室蘭港を出ると徐々に速度を上げ、おおよそ28ノットで海上を快適に飛ばす。最高速は30ノットというから、ほぼ最高速度に近いスピードである。時速にすると約60km/hというところか。もちろん、マストには、高らかと、「日本ぐるっと一周・海交流」フラッグが掲げられている。
途中、北海道百景の第一位である「地球岬」を望みつつ白老に向かうが、あいにくの曇天で、陸地はぼやけている。しかしながら、乗船メンバーは口々に「海から見る室蘭はいいなあ」「港は室蘭の大きな資源だよなあ」と言いながら、わらわらと室外に出てきて、海を眺めている。船の速度と強風で、あやうく足元がふらつくが、そこはしっかりと手すりに巻きつき、風に飛ばされそうになりながらも、記録写真を撮る一同。NPO羅針盤のメンバーは、国関係者と、海や港を活かしたまちづくりについて、船上で議論をしている。
快調に飛ばして1時間ほどが経過しただろうか。鷲別に差し掛かる頃、船長の安原さんが船の速度を緩め、停止させた。なにごとだろうといぶかしむ一同だが、「みさご」船員の説明で納得。なんとイルカのお出迎えだ。室蘭市は、鯨イルカウオッチングのできるところであるが、まさか、実際にお目にかかるとは。船の周りを、あちらこちらで、三角形の背びれが見えている。しばし、イル力を眺めたところで船は再スタート。イルカも後を追うかの如く、併走している。
幌別あたりで、小雨がぱらつき出した。そのなかで、「みさご」は、予定通り、1時間半の航海で白老港に到着した。浮き桟橋にゆるゆると近づき停泊する「みさご」。こうして、室蘭から白老までの「曰本ぐるっと一周・海交流」は終了した。
しかし、イベントはまだ続く。白老港では、町民がこぞって楽しみにしている「白老げんき祭」が催されるのである。そのオープニングセレモニーの一環で、「日本ぐるっと一周・海交流」の意義や海の駅について説明する時間が設けられているのだ。これはプログラムに正規に入っており、NPO羅針盤のメンバーが働きかけて実現したものである。
会場を見物しながら時間をつぶし、オープニングを待つ一同。小雨はいつしか本降りに変わり、テントを叩く雨音がやかましくなった頃、祭の開始だ。ステージ前には来賓の方々が着席して待っている。地元選出の国会議員や道議会議長の姿も見える。そのなかで、「日本ぐるっと一周・海交流」の提唱者であるNPO地域交流センターが呼ばれ、挨拶をする。10分程度時間をいただいている間、海交流の意義や海の駅づくりを呼びかけた後、NPO羅針盤のメンバーからNPOしらおい創造空間『蔵』のメンバーに対し、親書が手渡された。これで、「日本ぐるっと一周・海交流」の室蘭版の完成だ。一同、雨の降るなかでステージに上がり、感激の面持ちである。もちろん、全員、『蔵』のメンバーも含め、オレンジ色の「日本ぐるっと一周・海交流」特製Tシャツを着ている。雨の中、ひときわ目を引く色である。フラッグも誇らしげにメンバーの手により、披露されている。
オープニングセレモニー終了後は、会場の一角で、室蘭市のNPO羅針盤と白老町のNPOしらおい創造空間『蔵』のメンバー、国土交通省、室蘭市の職員も交えて、海の町同士、今後の連携に対し、意見交換が始まった。今日がきっかけで、お互いの交流が始まるのだ。必ずや、室蘭市と白老町とは固い絆で結ばれ、交流が本格化して行くであろう。そして、「海の駅」もできるに違いない。すでに、白老町には、「海の駅」の雛型である「まちの駅」がある。
意見交換の後は、実際に、しらおい創造空間『蔵』の活動の拠点である、白老まちの駅『蔵』を視察することとなり、期待に胸を膨らませ、全員で向かった。『蔵』は、自慢の通り、とても良い施設である。「海の駅」も、これに負けずに、定着してくれることを祈りながら、無事、すべてのプログラムを追えた一同であった。
(地域交流センター 水 昭仁)
国土交通省監視艇 みさご
はるかに見えるは大黒島
靄の中に浮かぶ北海道の大地
さっそうとはためく交流
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