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■岩手県・宮城県 気仙沼市〜大船渡市
■実施日:平成15年(2003年)9月20日(土)〜21日(日)曇り
■コース:気仙沼港〜大船渡港
■主催:大船渡市、気仙沼市
■共催:大船渡市教育委員会、気仙沼市教育委員会、「日本ぐるっと一周・海交流」実行委員会「日本一周プロジェクト」気仙沼地区準備会、大船渡市ヨット協会、気仙沼市ヨット協会
■協力:釜石海上保安部、気仙沼海上保安署、岩手県、宮城県、三陸沿岸都市会議、みやぎ沿岸県土軸形成推進協議会、岩手外洋帆走協会、宮城外洋帆走協会、大船渡市観光物産協会、三陸町観光協会、気仙沼湾観光協会、大船渡市体育協会、気仙沼市体育協会、岩手日報社、東海新報社、河北新報社、三陸新報社、三陸河北新報社、気仙沼ケーブルネットワーク
■使用艇:SAGAII(佐藤孝船長)、麻衣子(谷地磨伎夫船長)、蘭3世(松岡克之船長)、TOPWIND(佐藤徹也船長)、NAUCICAA(宮野敦志船長)、大海(小松裕一船長)、VOYAGER(山本岬船長)、DREAMER(菅原清志船長)、アテルイII(多田均船長)、みずたま丸(熊谷 清)、SEAGULL(斉藤 賢治)(監視艇「さんりく」(岩手県警察)ほか1艇)
 
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■いきさつ
 大船渡は資料一式を二宮君に渡していますが、大船渡市の甘竹市長は首長会のメンバーであり古くから付き合いのある市長の一人です。
 ここは三陸海連携を以前から模索しており、東北地方整備局も応援しています。
 大船渡港は内陸の工業地帯にもポートセールをしたいので、地域交流センターもお手伝いして、「港と道の利用促進」をテーマにした物流シンポジウムも内陸の水沢市で開催したりしています。
 一昨年夏には気仙沼に大船渡や石巻からヨットが来て、海交流シンポジウムを実施しました。当時は安井さんが東北地方整備局副局長であったため、安井さんにも基調講演をお願いし、パネルディスカッションにも参加いただきました。
 昨年(今年度)は、それを受けて大船渡市で開催することになりました。
 気仙沼からも荒天をついてヨットが参加し、内陸部の子供たちにも声をかけて、大船渡のヨットと気仙沼からのヨットに分乗し、体験乗船を実施しました。
 この夏は今給黎さんがセーリングカヌー(ほとんどディンギーくらいの帆掛け舟)で鹿児島から北上していたので、今給黎さんにも来ていただいて話を聞こうということになり、お願いしました。けれども、風任せの航海であったため、当日までにとても大船渡には着けないということになり、清水港から鉄道で大船渡に来ていただきました。
 
行程
9月20日(土)
8:00 気仙沼港出港式、親書受け渡し
12:00 大船渡港帰港式、親書伝達式、出港式
13:00〜16:00 ヨット体験乗船(大船渡湾)
17:00〜20:00 交流会
9月21日(日)
9:00〜12:00 海交流フォーラム
 
 もちろん今給黎さんには子供たちと一緒にヨットに乗っていただき、翌日の講演では単独無寄港世界一周のビデオを交えてお話いただき、それは大好評でした。
 今給黎さんは、プロジェクト1年目の今回は清水で航海を打ち切り、今年天候が安定したころから、清水から続きの航海をはじめるので、夏ごろには東北に入る予定なので、また東北の海交流に登場願えればと考えている自治体もあると思います。
 海上保安庁との調整等の事務的作業については、江刺さんはじめ、大船渡市の職員の方々が熱心に遂行し、無事海交流の事業が成功のうちに終わりました。
 地元のヨット関係では、谷地さんをはじめ地元のヨットマンが協力してくださいましたが、一部のヨットは気仙沼までフラッグを受け取りに行ったりするほどの熱の入りようでした。
 子供の参加については、内陸地域の子供たちに対する呼びかけも考えていたのですが、準備期間が足りなかったため、つてを頼る程度に終わりました。
 先も述べたように、もともと三陸地域の港の活用や海利用は、道路整備も含め、内陸との連携が大変重要なので、これは積極的に取り組む価値があります。
 
■大船渡港の概況
 大船渡市は岩手県の南東部に位置し、太平洋に面しています。海岸線は典型的なリアス海岸で、急峻な山地が海岸線まで追っています。大船渡港は物流の中心として本市発展の牽引役を担ってきました。気候は黒潮の影響を受け、冬でも積雪は少なく、比較的あたたかい。
 明治14年、軍艦「雷電」の大船渡湾への入港により、港湾としての重要性が注目され、明治30年代には、大船渡港を生かした臨海型の工業都市建設が構想されました。
 明治29年、昭和8年と、三陸大津波により大被害を受けながらも復興に努力しました。また35年のチリ地震津波では国内最大の被災地となりましたが、市をあげて復興に取り組み、水産業、窯業、木材加工業等を中心に発展してきた。天然の良港大船渡湾を活力源として今日まで発展してきました。湾岸には水産加工場が立地しています。
 大船渡港は、湾口を太平洋に向かって開き、陸地に深く入り組んだ湾で、全長は6kmあり、湾内の最も広いところで2km、水深20m、周囲は丘陵等で囲まれ、常に風波を防いでいる天然の良港です。また、中央部にサンゴ島自然公園があり、波静かな湾内では、カキ、ホタテなどの養殖が盛んに行われています。
 大船渡港は、昭和42年6月に開港となり、大船渡市の基幹産業である合板、セメントの原材料となる丸太材、石炭、石油コークス及び漁船等に供給する燃料油などの輸入で貿易額の約9割を占めているのが特色です。
 港湾整備計画として、物流拠点としての機能強化を目指し、新たに永浜・山口地区に水深13m(4万トン級船舶対応)岸壁などの多目的国際ターミナル整備が進められており、平成18年度供給開始を目指しています。
 外国貿易船の入港状況は年間約100隻で、国籍別ではパナマ、ロシア、シンガポール、カンボディアなどの貨物船が入港しています。
 
 
 
■気仙沼港の概況
 気仙沼市は宮城県の最北端に位置して北部・西部は岩手県に接し、東部は太平洋に面して三陸リアス式海岸の気仙沼湾があり、東西約16.7km、南此紛20.5km、面積は184km2で、海岸線の総延長は62.2kmとなっています。海岸線は台地・丘陵状を呈した穏やかな地形です。気仙沼湾は湾口に離島大島を抱いて風波をさえぎり、四季静穏な天然の良港が形成されています。
 気仙沼市は、遠洋・沖合漁業の根拠地として良好な立地条件を背景に古くから水産業を基幹産業として地域経済を支えてきました。また、沿岸の一部がリアス式海岸の景勝地で、陸中海岸国立公園に指定されるなど、自然環境に恵まれていることから、水産業と観光を中心とし、水産関係産業や商業の集積も高いです。特に漁船漁業においては、遠洋・沖合漁船の全国屈指の船籍港として、本市経済の重要な地位を占めているほか、各沿岸国との交流にも大きな役割を果たしています。また、全国一の生産量を誇るイカ塩辛、サメヒレ加工をはじめとする、水産加工業も全国有数の生産高を誇り、本市経済発展の基盤をなしています。しかし、近年、国際的な漁業規制の強化や輸入水産物の増加に伴う魚価の低迷などにより、水産業を取り巻く環境には厳しい状況にあります。
 
 
■当日の様子■
 9月20日(土)、21日(日)は大船渡で三陸海交流事業が行われました。
 21日は事前に気仙沼から大船渡にヨットが出向き、気仙沼市長の親書を託されて、大船渡に戻ってきました。
 親書は大船渡市長に手渡され、引き続いて大船渡ヨットクラブのヨット8艇と監視艇2艇で体験乗船が行われました。
 参加したのは小中学生を中心に55人、大人も若干乗船しました。
 体験乗船には女性で単独無寄港世界一周を行った今給黎さんも参加し、寒そうに乗っていました。彼女は鹿児島から北海道に向けて一番簡単なセーリングカヌーのような舟で移動中です。大船渡に参加するため、焼津に舟を置き、電車、新幹線で駆けつけてくれました。今給黎さんの鹿児島から北海道までの日本縦断は今年は伊豆半島までで打ち切り、来年暖かくなってからその続きを行うことになっており、ちょうど秋ごろには三陸海岸に辿り着くことになりそうです。
 その日の夜は交流パーティが開催され、内陸(江刺市など)からの参加者もあり、良い交流ができました。
 翌日は約130名の聴衆を集め、今給黎さんの基調講演と、大船渡ヨットクラブ会長斉藤さん、気仙沼の大島汽船白幡常務も加わってのフォーラムが行われました。進行役には不肖米村が対応しました。
 今給黎さんの話は前半にビデオを交えた世界一周の話でしたが、後半は海交流に関する応援演説のようなことを話していただき、おかげさまで、その話を通じてその後のフォーラムへとスムースにつながりました。
 三陸地域では海の駅ネットワークなどの構想もあるので、これを実体化することを目標に来年も海交流をさらに発展させようということで幕を閉じました。(地域交流センター 米村 洋一)







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